エステサロンに勤める主人公。コロナ禍で経営が傾いた店の 強欲な店長の元で働くことに悩んでいて・・・「清く正しく美しく」。
祇園祭によさこい祭。コロナ禍で中止になっていた祭の復活は、やっぱり嬉しいもので。・・・「ゴールデンパイナップル」
ある家電メーカーで働く主人公は、3歳年上の先輩のことが気になっていた。・・・「恥ずかしくて見れない」身も心も宝塚一色に染まっちまう登場人物たちのひた向きさが中心の物語。コロナ禍だからこそ生まれた短編集。

母の死・父の再婚・沖縄の継母との思い出。休暇で久しぶりに沖縄に帰ってきたリョウは、親孝行のため「おかあさん」と3日間島内を観光する。一人目の「お母さん」はリョウが子どもの頃に亡くなり、再婚した父も逝ってしまった。観光を続けるうち、リョウは・・・。
かりゆしの名曲「アンマ―」に着想を得たとあるが・・・。
子供よりも子供ぽい父親との思い出を中心に沖縄の風景と観光地を舞台に継母との思い出と回想とで展開される物語だが2人の母と父の死を見送るリョウが感傷的過ぎて面白みに欠けた作品だった。2016年7月講談社刊
「だれも知らない小さな国」コロボックル物語シリーズ(佐藤さとる著)の続編版。
小学校3年生のヒコは「はち屋」の子供。みつ蜂を養ってはちみつをとり、そのはちみつを売って暮らしている養蜂家。
お父さん、お母さん、そしてみつばちたちと一緒に、花を求めて全国を転々とする小学生だ。
あるとき採蜜を終えたヒコは、巣箱の置いてある草地から、車をとめた道へと向かっていた。・・・
村上勉氏の挿絵も同じ、昔読んだ人には懐かしい物語の続編現代版。
違和感なく今風のファンタジー作品に出来上がっている。表題の「知っている→知らない」の意味がよくわかる展開で終わっている。
2015年10月講談社刊
著者の出身地高知県を描いた観光小説。舞台は高知県庁に突如生まれた新部署“おもてなし課”。
観光立県を目指すべく、入庁三年目の25歳若手職員掛水史貴が主人公。
観光部おもてなし課では、振興企画の一環として、地元出身の人気作家吉門喬介に観光特使就任を打診するのだが、電話で「バカか、あんたらは」。いきなり浴びせかけられた吉門からの言葉に掛水は「いったい何がダメなんだ」と思い悩む。!?
ここからお役所仕事と民間感覚の狭間で揺れる掛水の奮闘が始まった。
この物語は掛水とおもてなし課面々と民間感覚を注入すべくアルバイトで採用した女の子明神多紀ちゃんとの、地方活性化にかける苦しくも輝かしい闘いの日々の活躍を描いた小説です。
かって県庁職員で「パンダ誘致論」を唱えて敗れ去り今は民宿を娘佐和と営む清遠と吉門の関わりも実に面白く、町も人も恋も成長していく展開に読み終わって高知県に足を運んでみたくなった痛快小説でした。
2011年3月角川書店刊