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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

安萬純一著「不可解事件請負人火垂柚葉」

2025-07-31 | あ行
助かる寸前で無言のまま自らから墜落死した男。充分な食料がありながら一人きりで脱水死した麻薬取締官。連続する不可解な事件に挑む謎めいた女探偵。探偵火垂柚葉と助手の油杵島はある日、団地の10階に人がぶら下がっているという情報を得て駆けつけるが不可解な表情を浮かべた男は近づいた油杵島たちの目前で自ら転落死してしまう。・・・刑事でもない探偵が警察官と一緒に行動したり、謎の依頼人甲羅魏警部など設定がかなり無茶苦茶だし、火垂と実妹菊井刑事の家族関係の話も絡んで話が錯綜して展開。やたら人が出て来るが個々のキャラ設定不足、人間関係がややこしくイマイチ不明。謎ばかり残る結末にスッキリ読了出来ず。付録に 「本格ミステリーを書きたい人のためのトリック作成法!」がついてるが作家になる気がない人には小説のアイデアが生まれる過程の参考程度になるかも。
2025年5月南雲堂刊
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染井為人著「歌舞伎町ララバイ」

2025-07-26 | さ行
復讐サスペンス小説。中学卒業と同時に毒親元から飛び出し歌舞伎町にたどり着いた15歳の少女・七瀬。わずか15年の人生で絶望を味わい、すべてをあきらめている七瀬にとって、歌舞伎町は唯一、心を安らげる場所だった。トー横広場で仲間とダベり、危ないバイトに手を出していくうち、歌舞伎町の闇社会や家出少女たちを食い物にしようとする大人やヤクザたちとも関わっていく。そして事件は起きた。炊き出しをするボランティア団体の裏の秘密を手に入れる。唯一の友人愛莉衣がオーバードーズで死んで傷心の七瀬は手に入れた秘密を告発しようとするが、ヤクザに捕まり殺されかける。その5年後。別人のような大人の女性になった七瀬が、愛と名乗り自分を陥れた大人たちに次々と復讐してく令和の仕事人の様子が痛快。黒人のコカインの売人コディ、スナックの老ママがキーマンでもあるらしいが、スピード感ある物語の展開にただあまり調子よく行き過ぎそんなに都合よく行きそうにないと思うのだが痛快に読了。
2025年3月双葉社刊
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藤岡陽子著「僕たちは我慢している」 

2025-07-21 | は行
日本屈指の進学校に通う高校生たちの大学受験。周囲の期待というプレッシャーを背負いながら挑み続ける彼らの青春が生き生きと描かれている。中学から野球部で一緒だった三人。千原道人は高校では受験に専念するつもりが、中小企業を営む父の病気が再発した・・・。高校でも野球を続けている穂高英信は、総合病院の四代目として期待されているが、医学部受験には及ばない成績に迷う・・・。唯一夏の大会を最後に引退した中森揮一は、周回遅れの受験勉強にまったく身が入らず、大学受験を辞めようかとさえ思う・・・。もう一人、中一から学年トップを維持する香坂淳平。彼にも思い悩みが・・・。それぞれに容易ならざる事情を抱えながらも、彼らはどのようにして心を決めたのかその軌跡と到達点を描く。家庭が裕福で優秀な進学校に進んだ一人一人に生き方に苦労があり大変だと思う。なんのために学ぶのか?という問いかけへの多様な答えがここにはある。特に母親たちのほどよい寄り添い方や、先生のそっと背中を押すような言動が素晴らしい。相手を尊重し、ひとりの人格として認めることが何より大切。主体性を育てるには、それを受け入れる素地が欠かせない。そして何より、彼らたちが学校の仲間とお互いを高め合うさまに感動。努力の先にある結末もさらに熱い。自分の未来のためにする我慢の尊さや美しさ、そして、がんばったからこそ得られる喜びが、心に刺さりました。
2025年5月株式会社COMPASS刊 
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長浦京著「シスター・レイ」

2025-07-17 | な行
東京墨田区の外国人たちの相談役的存在で、「シスター」と慕われる、予備校の英語講師、能條玲。フィリピン出身の友人女性からの頼みで彼女の息子を探すことになった玲は、彼を探すうちに、ひょんなことから暴力団浦沢組と外国人半グレ集団とのトラブルに巻き込まれてしまう。普段はただの一般人としてふるまう彼女だが、元フランス特殊部隊のエースという隠された経歴があった。前職の技術を活かし、暴力団と半グレたちを制圧して事件を解決に導く玲。その後も相次ぐトラブルに巻き込まれた外国人たちを助けていくうちに、玲は下町に隠された国際的な陰謀に巻き込まれていく。二転三転する国際的なアンダーグラウンドで負の連鎖が続く。強いスーパーウーマンレイは中国人勢力、ブラジル人、ベトナム人勢力相手に手に汗握る怒涛に続くアクションは流石。報酬を求めない活躍と訳ありの過去、最近の在日労働者の問題等リアル感もあり楽しめた。続編もありかも。
2025年3月角川書店
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今野敏著「リミックス神奈川県警少年捜査課」

2025-07-13 | 今野敏
「わが名はオズヌ」「ボーダーライト」に続くオズヌシリーズ。 
神奈川県警少年捜査課の高尾と丸木のもとに、旧知の高校生・賀茂が失踪したという報せが届く。賀茂は古代の霊能者・役小角の呪術力を操る不思議な少年だった。
賀茂は失踪前、半グレに追われていたという。高尾たちが失踪の経緯を調べると、外国にルーツをもつ若者たちと半グレ集団の間で抗争が起きつつあることが判明する。事態はやがて、カルト的人気を誇る女性ボーカル・ミサキを巻き込んだ誘拐事件へと発展し・・・。
オズヌが氏名を聞いて問題が解決するという安直さが陳腐。ストーリーも結末も想像できる人物描写も心の動きや深みもなくご都合主義の展開で著者の駄作決定。
2024年9月小学館刊


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鶴形山登山

2025-07-10 | 
NHK東海のローカルで紹介されていたお勧めの3つの低山の一つ美濃の鶴形山360mにハイキング。気温33度熱中症に気おつけながら洲原神社の駐車場に車を停め頂上目指す。
ときたま吹く涼風と森の中は木陰ばかりの登山道で何とか無事登頂し下山。写真は登山口にある岩門でこの中を通り頂上を目指す。約2時間。歩行距離4k.標高差登り380m。
洲原神社前の長良川の巨大岩、神島
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米澤穂信著「可燃物」

2025-07-05 | や・ら・わ行
警察推理短編小説5つ。群馬県警察本部刑事部捜査第一課葛(かつら)警部。余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。『彼らは葛をよい上司だとは思っていないが、葛の捜査能力を疑う者は、一人もいない。』警部の鮮やかな思考と推理で事件を捜査報告や資料から細かな不明点や矛盾を丁寧に粘り強く紐解き事件解決につなげる。スノボでの遭難?頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない犯人は何を使って刺殺したのか?・・・「崖の下」、強盗致傷事件の容疑者の深夜の交差点での交通事故、複数の証言が不自然に一致・・・「ねむけ」。バラバラ殺人死体遺棄、不審な遺体・・・「命の恩」、住宅街で起きた可燃物ゴミへの連続放火、読めない動機・・・「可燃物」、郊外のファミリーレストラン立てこもり事件が発生、かみ合わない証言・・・「本物か」。とにかく情報集めて取捨選択。意味のなさそうな雑多な情報が、真実に近づくための鍵に、淡々と謎を解く予想を裏切る展開で短編ながらスリリングでとても面白かった。
2023年11月文藝春秋社刊


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福田和代著「ヴァンパイア・シュテン」

2025-07-05 | は行
ファンタジーサスペンス。明治三年、陰陽師たちによって丹後に封じられていた最凶にして不死の吸血鬼・酒呑(シュテン)童子が永遠の命を求める者たちの手によって現代に甦った。その背後に、いにしえにシュテンを鬼にした方士・徐福の影が。平安時代から鬼と戦ってきた陰陽師安倍晴明の末裔・那智行人を中心とする警察庁特別調査課(トクチョー)はシュテンを追う。シュテンは人間世界に身を潜めてきた仲間の茨木童子によって東京へ。その東京でも、シュテンも知らぬ吸血鬼による凄惨な事件が頻発していた。徐福によるものなのか。東京が、シュテンたちと徐福、トクチョーの三つ巴の戦いの嵐に巻き込まれていく。超常の力を持つ者たちの戦いを現代的な手法で痛快に描いたファンタジー。吸血鬼に血を吸われた人は血を求めて吸血鬼になる某国のミサイル発射も鬼のせい。それなりに歴史と言い伝えの世界に整合性を無理やりつけてリアル感を出してはいるがご都合主義は否めない。著者の小説の世界に浸れるか否かで評価はわかれる。残念ながら面白くは読めなかった。
2025年4月光文社刊

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柚月裕子著「風に立つ」

2025-07-01 | や・ら・わ行
問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度「補導委託」の引受を突然申し出た父・孝雄。南部鉄器の職人としては一目置いているが、仕事一筋で決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に戸惑う悟。納得いかぬまま迎え入れることになった少年と工房で共に働き、同じ屋根の下で暮らすうちに、悟の心にも少しずつ変化が・・・。家族だからこそ、届かない想いと語られない過去がある。岩手・盛岡を舞台に、揺れ動く心の機微を描いた父と子のすれ違いを描いた人間ドラマ。誰かのためにできることがきっとある”はずだ。親の身勝手もあるが親の子に対する思いはある。登場人物はみんな優しい読後感のいい小説でした。
「物事には風というものがある。仕事、人生、時代にいろんな風が吹く。穏やかなそよ風もあれば、激しい暴風もある。ほかにも追い風、逆風・・・人はそれらに翻弄されるんです。・・・それに立ち向かう為に必要なものはなんだかわかりますか」「強さです」(P134)
「選択肢のない人生はいかに辛いかを知っているから、自分の子供には自由に生きてほしい。」(P366)「自分がしたいようにするからには、大変でも、失敗しても、誰のせいにはできない。全部自分の責任だ。」(P366)
2024年1月中央公論社刊


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