読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

中山七里著「おわかれはモーツァルト」

2024-01-01 | な行
音楽ミステリー”シリーズ!友人のピアニスト・榊場を助けるため、岬洋介が活躍する
 盲目ながらショパン・コンクールで2位に入賞したピアニストの榊場隆平は、クラシック界の話題を独占し人気を集めていた。
しかし、「榊場の盲目は芝居ではないか」と絡んでいたフリーライターが銃殺され、榊場は一転犯人として疑われることに。
そんな友の窮地を救うべく、榊場と同様、ショパン・コンクールのファイナルに名を連ねたあの男がやって来て・・・。
音楽のことは、詳しくないが文章で表現される演奏描写が見事で、
その音楽の解釈に感心した。
ミステリーとしては、登城人物が少ないので意外性もなくちょっと弱い。
2022年1月宝島社刊
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中山七里著「能面検事の死闘」

2023-12-19 | な行
シリーズ第3弾。南海電鉄岸和田駅にて無差別殺人事件が発生。7名を殺害した笹清政市(32)は、その場で捕らえられ自らを"無敵の人"と称するに至る。数日後、大阪地検で送られて来た郵送物が爆発、6名が重軽傷を負った。被疑者〈ロスト・ルサンチマン〉は笹清の釈放を求める声明をだして来た。事件を担当することになった能面検事こと不破俊太郎一級検事は、取り調べ調査の過程で自らも爆破に巻き込まれる・・・。連続爆破事件は止められるのか?〈ロスト・ルサンチマン〉の真の目的は何なのか?棄民と司法の対決が始まる。社会への不満を動機とした無差別残虐殺人とその犯人に対する復讐を行うためのテロと殺人。惣領美晴と不破検事のやり取りは少々マンネリで目障りな感じだが能面を際立たせる為には仕方がないのかと思う。最後のシーンで何事も能面でものに動じない不破検事も悲しい顔を見せる初めてのシーンで人間検事を見た思い。
2023年5月光文社刊 
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中山七里著「殺戮の狂詩曲」

2023-12-17 | な行
「悪魔の弁護人・御子柴礼司弁護士シリーズ、第6弾。高級老人ホームで発生した、令和最悪の凶悪殺人事件。好人物を装っていた介護職員忍野忠泰の心中に渦巻く邪悪。遂に介護施設での大量殺人が起きる。鬼畜・化け物と最低な被疑者として逮捕起訴された忍野への国選弁護として名乗り出た悪評塗れの弁護士・御子柴礼司。負けるとわかって引き受けた御子柴の弁護の胸に秘める驚愕のある企みが・・・。被害者遺族を一件ずつ訪ね歩く御子柴。背後に見え隠れする「先生」の存在、後半意外な事実が明らかになる。現実に起きた事件が頭によぎりながら、生産性のない人間なんて・・・ネット社会の闇とか考えさせられた。

2023年3月刊 

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中山七里著「作家刑事毒島」  

2023-11-18 | な行
毒島シリーズ。殺人事件解決のアドバイスを仰ごうと神保町の書斎を訪れた刑事・高千穂明日香を迎えたのは、流行作家で元刑事、現刑事技能指導員の毒島真理。虫も殺さぬような温和な笑顔の持ち主は、性格の歪んだ皮肉屋だった。捜査過程で浮かび上がってきたのは、巨匠病にかかった新人作家、手段を選ばずヒット作を連発する編集者、ストーカーまがいの熱狂的な読者。ついには毒島本人が容疑者に・・・出版業界の実態や文壇の裏話、ワナビたちの描写が生々しくて面白い。以前読んだ「店長がバカすぎて」とまた違った視点で「ワナビの心理試験」「編集者は偏執者」「賞を獲ってはみたものの」「愛瀆者」「原作とドラマの間には深くて暗い川がある」5話の連作短編風に展開されているブラックユーモア満載の小説です。
2016年8月幻冬舎刊  
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中山七里著「作家刑事毒島の嘲笑」

2023-11-07 | な行
毒島シリーズ第3弾。元警視庁捜査一課刑事が今は作家をしながら週1回技能指導員として事件に関わり続ける・毒島真理。
保守系の刊行物で有名な出版社に、何者かが火を放った。公安一課の淡海奨務は、左翼集団の犯行とみて捜査を開始する。そこで出会ったのは同じく事件を追う作家兼業の名物刑事・毒島真理。虫も殺さぬような風貌とは裏腹に、毒島は容赦ない口撃で犯人を徹底的に追い詰める。淡海はその姿にたじろぎつつも、行動を共にすることに。間もなくネットに公開された「急進革マル派」を名乗る過激派の声明。果たして事件は大量殺人の予兆なのか。左翼のリーダーを探すこととなった公安の淡海と毒島、ブラック企業の自殺者・大学構内の殺人・沖縄辺野古基地へ最後のどんでん返し迄毒島の毒舌が冴え左右の思想に対する描き方には賛同しかねるが「刑事としての勘は抜群、捜査手法は鉄壁」でかつ「皮肉を言わせれば日本一、毒舌に至っては天下一品」のキャラは楽しめる。
2022年7月幻冬舎刊
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中山七里著「毒島刑事最後の事件」

2023-10-28 | な行
毒島シリーズ。
警視庁捜査一課刑事・毒島真理警部補は警視庁随一の検挙率を誇るが、出世には興味がない。犯人を追うことに何よりも生きがいを覚え、仲間内では一を話せば十を返す能弁で煙たがられている。そんな異色の名刑事が、今回も大手町の連続射殺事件、出版社の連続爆破、女性を狙った硫酸かけ事件等を追う。捜査の中で見え隠れする「教授」と呼ばれる人物は一体何者なのか?裏にいる黒幕を炙り出す。現役刑事として最後に手掛けた事件で辞めることのきっかけになった事件だ。操り人形が別の操り人形に操られていたという衝撃の展開は面白かった。2020年7月幻冬舎刊

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中山七里著「合唱 岬洋介の帰還」

2023-10-04 | な行
「音楽ミステリー」シリーズ。幼稚園で幼児ら5人を惨殺した直後、自らに覚醒剤を注射した“平成最悪の凶悪犯”仙街不比等。彼の担当検事になった天生高春刑事部一級検事は、刑法第39条によって仙街に無罪判決が下ることを恐れ、検事調べで仙街の殺意が立証できないかと苦慮する。しかし、取り調べ中に突如意識を失ってしまい、目を覚ましたとき、目の前には仙街の銃殺死体があった。
指紋や硝煙反応が検出され、身に覚えのない殺害容疑で逮捕されてしまう天生。そんな彼を救うため天才ピアニスト・岬洋介が旧友の危機を救うため、地球の裏側から急遽駆けつける。そして悪徳弁護士御子柴礼司や熱血刑事、死体好きな法医学者光崎教授たちや氏家京太郎と相まみえ・・・。セーンセイショなる設定で始まる事件。犯人は彼でなければこの人以外ありえないので、動機とトリックを謎解く展開、動機に対する伏線が提示されぬまま進むのでミステリーと呼べるかどうか、シリーズのファンならたまらないストーリーだと思うが不満・・・。
2020年5月宝島社刊
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中山七里著「特殊清掃人」

2023-09-23 | な行
特殊清掃業者〈エンドクリーナー〉を舞台にしたヒューマンミステリー。「誰もいなくなった部屋にこそ、住んでいた者の嘘のない生きざまが現れる」。特殊清掃業会社エンドクリーナーには、日々、様々な依頼が押し寄せる。会社は元刑事の社長の五百旗頭亘(いおきべわたる)、新人の秋廣香澄、一年先輩の白井。彼らの仕事をとおして、死者が抱えていた様々な事情が浮かび上がる展開。気持ちの悪い舞台だしテーマもと二の足踏んだが登場人物たちの人間性に惹き付けられてあっ~という間に読了。死体が醸し出す悪臭、腐乱、部屋の床等に染み渡る体液による破損等の、こうした事実を認識すればするほど、孤独死などとても出来ないと思ったし、早く発見できるように一考しないと思った。自分が孤独死するとは、死後の処理を清掃業者が行うということだ。誰にも迷惑を掛けない死など難しい。部屋の清掃と、その後の形見分けの話だが、孤独死の発見が遅れるとなかなかきつい現場だ。そして死というものは、その人の過去の人生を雄弁に語るものなんだなぁと思う。汚部屋に唖然。引きこもりになった原因に立腹・・・「祈りと呪い」。風呂場での独居老人の孤独死・人間シチューにはびっくり・・・「腐蝕と還元」。ミュージシャンになる夢を追い続けた生活困窮者の熱中病死・・・「絶望と希望」。大金持ちの遺産をめぐる話。争いの火種となった遺言書にはそんな意味が・・・「正の遺産と負の遺産」。四つの連作。「負の部分はおいそれとは解消出来るものでない。まずは耐性をつけることだが、その第一段階は客観視から始まる。客観視すれば自虐とブラックジョークが口をついて出てくる。後は、覚悟と向上心が備われば心が剛くなる。」(P168)特殊清掃人も是非シリーズ化してほしい。
2022年11月朝日新聞出版刊
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中山七里著「祝祭のハングマン」

2023-09-19 | な行
法律が裁けないのなら、他の誰かが始末する。司法を超えた復讐の代行者――それが私刑執行人「ハングマン」。ダークヒーロー現代の〝必殺〟仕事人ここに誕生か。警視庁捜査一課の春原(すのはら)瑠衣は、中堅ゼネコン課長の父誠也と暮らす。ある日、父の同僚藤巻が交通事故で死亡するが、事故ではなく殺人と思われた。さらに別の課長須貝が駅構内で転落死、そしてまもなく父も工事現場で亡くなる。追い打ちをかけるように瑠衣の許へやってきた地検特捜部は、死亡した3人に裏金作りの嫌疑がかかっているという。父は会社に利用された挙げ句、殺されたのではないか。だが証拠はない・・・。疑心に駆られる瑠衣の前に、私立探偵の鳥海(とかい)秋彦が現れる。彼の話を聞いた瑠衣の全身に、震えが走った・・・。ご都合主義の展開だし、主人公の瑠衣は頼りない女性系刑事で感情移入出来ず読了。麻生班長、葛城や御厨検視官、犬養まで登場、「月光のスティグマ」の東京地検特捜部の神川淳平が出て来り、「嗤う淑女二人」との事件リンクなど遊び心満載。刑事の春原瑠衣は表の顔は宍戸班の一員、裏の顔は鳥海、比米倉(ひめくら)の三人で仕事人というシリーズ化か?
2023年1月文藝春秋社刊
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永瀬準介著「逃亡遊戯 歌舞伎町麻薬捜査」

2023-09-06 | な行
前作「最後の相棒」の続編。伝説のカリスマ捜査官・桜井文雄の後を継ぎ、新宿署組織対策課に異動して歌舞伎町で命がけの麻薬捜査に取り組む若手刑事・高木誠之助。
 高木は組織対策課のやり手主任・洲本栄とコンビを組み、時に鍔迫り合いを演じながら捜査に邁進する。やがて二人は、宿敵ともいうべきテロリスト広瀬姉弟と再び相まみえることに・・・刑事たちの熱い生き様が面白い警察エンタテインメント。
主人公が高木に変わったけど劣悪な環境からの脱却と革命らしきの物語。結構悲惨な境遇の登場人物たちだけど陰鬱な感じが薄く爽快な疾走感を感じる。最終ページでは決着はつかず
続編がある感じで楽しみですね。
2023年6月文春文庫刊
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中山七里著「人面島」

2023-08-01 | な行
シリーズ2弾目。毒舌人面瘡のジンさん&ポンコツ相続鑑定士ヒョーロク、今度は孤島の密室殺人に挑むミステリー。相続鑑定士の三津木六兵の肩には人面瘡が寄生している。毒舌ながら頭脳明晰なその怪異を、六兵は「ジンさん」と呼び、頼れる友人としてきた。ある日、六兵が派遣されたのは長崎にある島、通称「人面島」。村長の鴇川行平が死亡したため財産の鑑定を行ためだ。島の歴史を聞いた六兵は驚く。ここには今も隠れキリシタンが住み、さらに平戸藩が溜め込んだ財宝が埋蔵されている伝説があるという。一方、鴇川家にも複雑な事情があり、行平には前妻との間に長男・匠太郎と後妻との間に次男・範次郎がいる。だが二人には過去に女性をめぐる事件があり、今もいがみ合う仲。さらに前妻の父は島民が帰依する神社の宮司、後妻の父は主要産業を統べる漁業組合長である。そんななか、宮司は孫の匠太郎に職を継ぐべく儀式を行う。深夜まで祝詞を上げる声が途切れたと思いきや、密室となった祈祷所で死んでいる匠太郎が発見された。ジンさんは言う。「家族間の争いは醜ければ醜いほど、派手なら派手なほど面白い。ああ、わくわくするなあ」戸惑いながらも六兵は調査を進めるが、第二の殺人事件が起きる。・・・台風の接近と連絡船の欠航、鉄塔が壊れて通信手段がなくなるなどの状況だが、島の内部で起こる殺人事件。自ずと犯人は絞られ、誰なのかは想像がつく。しかしキャラクター設定と描き方が上手で引き込まれる。ヒョーロク&ジンは掛け合い漫才の趣もあり面白かった。
2022年3月小学館刊


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中山七里著「能面検事の奮迅」

2023-06-07 | な行
大阪地検一級検事の不破俊太郎シリーズ第2弾。どんな圧力にも屈せず、微塵も表情を変えないことから、陰で「能面」と呼ばれている不破俊太郎は忖度しない、空気を読まない、 完全無欠の司法マシン。事務官の総領美晴と、政治とカネの闇にかき消された真実を暴く。モリカケ・近畿財務局。国有地払い下げ・大阪地検・決裁文書改竄とくれば安倍の絡むあの話かと思ったが見事に裏切られて、過去の秘密を手がかりに事件の真相の謎が解き明かされる展開。一切の私情を挟まず、現場に執着して起訴か不起訴かを見極めることに全力を尽くす仕事ぶりに感服。事実が明らかになっても罪を公平に正しく裁く難しさを痛感、忖度しないが結末の読後感は晴れやかでした。検察ミステリー続編の第3弾「能面検事の死闘」が楽しみ。
2021年7月光文社刊

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中山七里著「越境刑事」

2023-06-01 | な行
『逃亡刑事』の高頭冴子シリーズ第二弾。「県警のアマゾネス」の異名を持つ千葉県警の高頭冴子は、留学生の不審な失踪が相次いでいるという噂を耳にする。その数日後、中国国籍で新疆ウイグル自治区出身の留学生カーリの死体が発見される。捜査に乗り出した冴子は、事件に中国公安部が絡んでいることを掴むも、やがてカーリの雇い主のカーディルも殺害される。冴子に保護を求めていたカーリの同僚のレイハンも連れ去られてしまい、その容疑者は逃亡。レイハンを救い、事件の真相を暴くため、冴子と部下の郡山は中国への捜査を強行するが、そこで二人が目にしたのはウイグル民族が置かれた恐るべき状況だった・・・。中国公安部のウイグル人弾圧と殺害がテーマの物語。民族や文化が異なるウイグル人を漢人に同化させる政策の中で実際起きている中国での現状、ウイグル人弾圧の凄まじさ。自国民を拉致されても手も足も出ない日本政府、ウイグル人ジェノサイドの現実にも他の民主主義国の対応と異なるし、沈黙する国会のだらしなさや無策さは、同じ日本人として情けない。後半中国での展開から失速感があるがスパイ天国日本の現状に憂慮御覚えた。
2022年9月PHP研究所刊

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中山七里著「嗤う淑女二人」

2023-05-02 | な行
ダークヒロイン嗤うシリーズ第3弾。高級ホテル宴会場で17名が毒殺される事件が発生。 犠牲者の一人、国会議員・日坂浩一は〈1〉
と記された紙片を握りしめていた。防犯カメラの映像解析で、衝撃の事実が判明する。世間を震撼させた連続猟奇殺人に関与、医療刑務所を脱走し指名手配中の「有働さゆり」が映っていたのだ。さらに、走行中の大型観光バス爆破〈2〉、
深夜の中学校舎放火殺人〈3〉
経営的に成り立たないフィットネスジム爆破事件〈4〉・・・と、
新たな事件が続発。犯行現場には必ず、謎の番号札と、有働さゆりの痕跡が残されている。さゆりは「ある女」に指示された手段で凶行に及んでいたが、捜査本部はそのことを知る由もなく、死者は増え続ける一方で、犠牲者は49人を数えるのだった・・・。蒲生美智留が、綿密な計画を立てて、殺人を企てる。人を説得して、犯罪を起こさせるという頭脳犯。自分自らは、手を下さない。刑務所を脱走し指名手配中の「有働さゆり」を巧みに、行動犯として実行させる。罪なき人が巻き添えで狙われる大量殺人・個人テロが描かれている不条理な格差社会の歪さがなせる業なのか悪女2人がサラッと殺人を犯す、振り回される警察が情けない。
2021年9月実業之日本社刊

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中山七里著「ハーメルンの誘拐魔」

2023-04-17 | な行
犬養刑事シリーズ。病院からの帰り道、母親が目を離した隙に 15 歳の少女・香苗が消えた。現場には中世の伝承「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。警視庁捜査一課の犬養隼人が捜査に乗り出し、香苗が子宮頚がんワクチン接種の副作用によって記憶障害に陥っていたことが判明する。数日後、今度は女子高生・亜美が下校途中に行方不明になり、彼女の携帯電話と共に「笛吹き男」の絵葉書が発見された。亜美の父親は子宮頚がんワクチン勧奨団体の会長だった。ワクチンに関わる被害者と加害者家族がそれぞれ行方不明に。犯人像とその狙いが掴めないなか、さらに第三の事件が発生。ワクチン被害を国に訴えるために集まった少女 5 人が、マイクロバスごと消えてしまったのだ。その直後、捜査本部に届いた「笛吹き男」からの声明は、一人 10 億、合計 70 億円の身代金の要求だった。
70 億の札束の持ち運びはリアリテーに欠けるが、誘拐犯の目的は医者、産婦人科協会、製薬会社、厚労省との癒着など医療の闇に切り込んでいく様子は社会派ミステリとして面白く読めた。ワクチン接種による副反応はコロナワクチンでも起きていることで考えさせられた小説でした。
2016 年 1 月角川書店刊

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