読書備忘録

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佐々木譲著「回廊封鎖」

2013-01-18 | 佐々木譲
消費者金融の高利率で自己破産させられた人たちの復讐劇。3つの殺人事件には共通点があった。
被害者はみな大手消費者金融の元社員であること、処刑のような殺害方法だったこと。
久保田刑事は捜査する中で、意外な犯人像が浮かんできたことに注目する。サラ金の厳しい取立てに家族も仕事も失い、生活も失った男たちだ。その中の一人重原は多重債務から自己破産と転落した、最近やっと最低限の生活をするための仕事から、先の希望に続くビル清掃会社の経営者の仕事へと、立ち直りへの道を歩み始めていたのだが。
そんな時、自分を痛めつけたサラ金「紅鶴」の元専務が香港からやって来ることを知り、これまでの自分の生活、憎しみや悲しみの総清算をする覚悟を決める。
六本木のコンプレックスビルで開催される国際映画祭。アジアン・スターが招待される裏で、香港で実業家として成功するあの男の来日だ。その男を標的に、「ある計画」がひそやかに、熱く動き出すのだが・・・。
サラ金大手「○富士」のオーナー一族をモデルにしたのだと容易に想像できるのだが、法で裁くことが出来ないないので個人的に復讐する行為に違和感が否めない。犯人側に重点を置いたストーリー展開に刑事側の捜査が絡んで面白くは出来ているが著者らしくない思想性のない小説になっていてガッカリした。
2012年8月 集英社刊

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