人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

頭の中のカビ

2017-06-11 06:22:33 | 映画・音楽など
私の旧友に”ミスター・レトロ”こと、「すぎた」というヤツが要るんですが、最近どうも私のことを避けているようなのです。
その理由がどうも、最近私がかつて二人の間で交わした、”ロックは聴かない、買わない、語らない”という”ロック3kの誓い”を犯して、頻繁に聴いていたり、カラオケで歌ったり(ほとんど洋楽)、時折ブログに書いたりしているからのようです。
つまり私は裏切り者ということらしいのです。
そうだった…我々は確かにロックを目の敵のように憎んでいました。
巷で軽音楽(古い!…とっくの昔に死語です!〉の主流と言ったら、ロック、ポップスでしょうが、我々の主流はラテン、タンゴ、ジャズ、シャンソンなどのそれも古めのものなのです。そしてロックはあくまで傍流なのです…どうです!…この表面の日の当たる世界のとは、まんま裏返しの知られざる裏面のこの有り様…我々のメイン・ストリームの音楽は、憎っくきロックの侵攻のために隅っこに追いやられ、押し込められるに至ったのです。
それが”どうだ、見たか、このリベンジを!”と言いたいのですが…本当のところ私はある時目覚めたのです!
数十年前、大阪の中古レコード屋さんで、ずっと昔求め続けて、方々捜し歩いても見つからず、諦めていたレコードのCD化されたものを見つけて、衝動買いをしたのがキッカケでした。
それは「アラン・プライス/プライス・オン・ヒス・ヘッド」という、67年頃リリースされた、知られざる禁断のロックものです。
「すぎた」も私も実は、多くの人たちと同じく、思春期の頃ロックやポップスを聴いて育ったのです。ストーンズやザ・フー(呪わしきブリティッシュ・インヴェーション!)とかがナツメロなのも確かな事なのです!
(私は彼には内緒で密かに楽しんでいたのです)
アラン・プライスという人は、ずっと我が国では、”元アニマルズのメンバー”という紹介のされ方が付きまとっている人(彼らの特大ヒット”朝日の当たる家”でエモーショナルなキーボードを弾いていた)ですが、グループ脱退後すぐ、「アラン・プライス・セット」というブラス、サックス・セクションをフィーチャーしたコンボを結成、英国クラブ・シーンでは、R&Bテイストのロック、ポップスですでに知られた存在なのでした。
歌はあまり上手くないですが、英米を通じて編成も珍しく、他の追従を許さない実にユニークなサウンドを聞かせていました。
このレコードはその二枚目なのですが、プライスの音楽人生の中で分岐点となったことが、そこに浮き彫りにされています。
というのも、従来のブルー・アイド・ソウル路線に加え、曲目の半数に渡って米国のシンガー・ソング・ライター、ランディ・ニューマン(今では映画音楽の人という感じですが…)の作品が取り上げられているのです。このニューマンへの傾倒によって、プライスは英国のワーキング・クラスの悲哀などを中心に歌うシンガー・ソング・ライターへとシフトして行き、”英国のニューマン”というキャッチも生まれるようになったのです。
プライスのオリジナルで、少しヒットした「ハウス・ザット・ジャック・ビルト」や「グリム童話」(同アルバムに収録)などにもニューマンの影響がみられます。
こんな訳でニューマンのファンだった私には、ずっとこのアルバムは幻の名盤だったのです。
ランディ・ニューマンは翌68年にレコード・デビューを果たすのですが、興味深いことに「ハッピーランド」という同アルバム収録のニューマンの曲では、後年ニューマン自身の作品でおなじみとなる、ブラスやストリングスのアレンジが施されているのです。ノスタルジックで洒落た、”ニューマン・サウンド”を先取りしているという感じです。
ニューマンの米でのデビュー盤は、一聴するとミス・マッチとも思える、分厚いストリングスをバックにしているのですが、私の推測ですが、彼自身はプライスが演っていたようなバック音楽を引下げて、登場したかったのではないだろうか、と思っているのです。彼は”やられたわい!”と思ったかどうかは分からないですが、数年後ほとぼりが冷めた?頃このサウンド作りが定着するようになったのです。
いずれにしても、ここで聴かれるブルー・アイド・ソウルとランディ・ニューマンのブレンド…私のロックの王道です! これで悪かろうはずがありません。
私は「すぎた」と違って、片意地を張るのは、もうツカレるのでやめにしたのです。素直に”いいものはいい”でいいんです。
主流でも非主流でも聴きたいときに聴けばいい…で、アラン・プライスなのですが…主流なのか、これが? どうも日の当たらない裏側の方が似合ってそう…
「すぎた」のヤツ、まだヤセ我慢しているのだろうか? あまり古いものばかり有難がっていると、時節柄、頭の中にカビが生えても知らんゾ…
いや、ヤツの頭ン中はいつもカビ…”モールド・オン・ヒス・ヘッド”なんだ。人のことを言えた義理ではないが…。




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