原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

民事訴訟手続~その2

2011-06-18 | 民訴法的内容
さて,前回の続きです。前回,訴状の話をしていましたので,そのあたりからまた。

訴状の必要的記載事項の一つが,請求の趣旨です。要は,(勝訴)判決主文に対応する部分です。例えば…

1 被告は,原告に対して,金100万円を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決並びに仮執行宣言を求める。

こんな感じになります。細かい点になりますが,訴諸費用については,一般的にはこう申立てをします。しかし,裁判所が職権で決めるべきものなので(67),申立てがないからどうこうという問題は生じません。次に,仮執行宣言とは,未確定の判決に対して債務名義としての効力を付与する裁判のことで,一審判決を尊重する建前と上訴を認めることにより生ずる訴訟遅延から勝訴原告を保護するための制度です(259Ⅰ,民執22Ⅱ)。一般的には原告が申立てるものですが,これも裁判所が職権で付すこともできます。なお,手形・小切手金を請求する訴訟においては,通常の手続で審理する場合でも,職権で原則として無担保の仮執行宣言を付すことになっています(259Ⅱ)。

さて,訴状関連でもう少し。訴状において,同時審判の申出をすることもあります。同時審判,被告Aと被告Bへの請求が,「法律上」併存し得ない関係にあるとき,ですね。具体的には,民法117Ⅰの請求の場合,民法717Ⅰの請求の場合,です。受験生の時には,「1と7の組み合わせの時に同時審判」と覚えておりました(笑)で,同時審判ですが,訴状に書いて当初から申出ることに加え,訴訟の途中でも,控訴審の口頭弁論終結時までであれば,申出可能です(41Ⅱ)。なぜ?あくまでも通常共同訴訟だからです。本来的にはバラバラでやるべき訴訟なのです。

さて,訴状が出ると,「裁判長」の訴状審査です(137)。実際には,書記官がおかしなところに付箋を貼っておいてくれたりしますが,あくまでも「裁判長」の仕事です。補正命令や訴状却下の前提になるので,さすがに書記官権限というわけにはいきません。訴状審査をしたら,裁判長が口頭弁論期日の指定をします(139)。ここまでが裁判長の仕事で,そこから先の,第1回期日の呼び出しと被告への訴状副本の送達を書記官が行います。

ようやく訴状の送達まで来ました(笑)今日は,この辺で。

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