原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

【書評】戸松・初宿「憲法判例」(有斐閣)

2011-06-20 | 書評
私が受験生の時に使っていた判例集です。今も,これを使っています。修習期間中は,憲法問題にはお目にかからないので,「今も」というと語弊がありますが(笑)過去問分析の時なんかには,これを使っています。憲法の判例集で,個人的には一番好きです。

<良い点>

・事案の概要が,コンパクトでありながら非常にわかりやすい。必要な事柄をしっかり押さえている。

・十分な収録事件数。司法試験レベルならば,これで十分と言いうる。

・十分な判旨の引用。百選よりもずいぶん長く引用されている事件が大半(だから,「判例集にはこの部分は引用されていなかった…」ということが生じにくい)。

・小見出しがうまい。判旨の論理展開が理解しやすい。

・補足意見,反対意見もかなり紹介されており,論文の参考になる。

・第6版では,かなり新しい判例もフォローできている。

<難点>

・基本的に解説部分がなく,初学者には少し使いにくいかもしれない(独学で理解しにくいかもしれない)。

・他の本や教材にリンクされにくい。

中~上級者,合格一歩手前という方にとっては,非常に良いツールであると思います。もちろん,百選で十分でして,合格者の大半は百選を使っていると思われます。百選で勉強を進めている人が,新たに買い替える(買い足す)というほどの必要性はないと思いますが,百選がどうもしっくりこない人にとっては,おススメの判例集です。

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