Dogma and prejudice

媚中派も媚米派も同じ穴のムジナ
従属主義的思考から脱却すべし
(言っとくけど、「媚米」と「親米」は違うんだよ)

「アメリカの年次改革要望書」の持つ意味

2007-01-04 | 構造改革
 郵政改革というのは、「アメリカの年次改革要望書」の台本どおりでしかないことが次第に明らかになりつつあります。

 小泉流の構造改革・規制緩和政策というものも、結局アメリカの指示でしかなく、アメリカの意向により、日本の経済・社会政策が変容されているという現状は、まことに憂うべきものです。

 にも拘わらず、「アメリカは日本のためを思って「年次改革要望書」を提出しているんだ」というような人がいて、そのお花畑的、脳天気思考には驚かされます。

 こういう人は、「それぞれの国家は、自国の国益の為に、絶えずしのぎを削っているのだ」という国際政治のリアリティーが実感できない人なのでしょう。

 まあ、「友好の為には何でも我慢し、脅迫すれば言いなりになる」自国の国益などそっちのけの、腑抜けとしか言いようの無い日本政府ばかり見ているから、こんな脳天気思考になるのかも知れません。

 こういう人たちは、「左翼お花畑」と好一対の「右翼お花畑」とでも、呼んであげればいいのでは・・・。

 日本に「プラザ合意」をのませ、無茶苦茶な円高を容認させたのはアメリカですよ。この円高のせいで、日本人の人件費は世界一となり、日本の企業は自国で日本人の正社員を雇うという当たり前の事が出来なくなったのです。

 その結果、東南アジアだ、中国だと海外に活路を見出すか、自国の日本人労働者を、非正規社員として、廉価で働かせるかしかなくなってきたのです。「国内空洞化」も、「ワーキング・プア」も元はと言えば、アメリカに責任の一端があるのです。

 同時にアメリカは、日本に内需拡大を激しく迫り、日本政府はそれをのんで、これまた無茶苦茶な公共投資を行い、国債発行高を急激に増やしました。

 「アメリカのスポークスマン」ともいうべき竹村健一氏は、「これからは、東京からのアクセスが地方発展の鍵になる」と言って、「一県一空港」などというバブリーな事を言ったり、「これからは、R&R、つまりリゾート・アンド・リサーチですよ」と言って、「地方の活性化は、テーマパークや、研究施設の誘致にかかっている」と断言していました。このような竹村健一氏らの提言で、各地に地方空港やテーマパークが建設されましたが、そのほとんどは失敗で、国や地方公共団体の財政を悪化させる一因ともなりました。

 そういうわけで、現在の日本政府や地方公共団体の財政悪化状況を作ったのも、アメリカからの要望が原因であると私は見ています。

 1985年の頃、竹村氏がテレビで、フリップを片手にこのような事を言ってました。「日本が開国したとき(1865年頃)をゼロとして、日露戦争に勝利した頃(1905年頃)を100とすれば、終戦(1945年頃)でまたゼロになり、現在(1985年頃)また、100のところまで、きています。どうも、日本は80年周期で、盛衰を繰り返しているようです。もしそうなら、今後40年は衰退の局面に入るのではないでしょうか。」

 竹村氏のこの発言も、彼が、アメリカの実力者から、「今後、日本に対しては、締め付けを強める」というような事を聞かされたと考えれば納得できます。

 日露戦争は、アメリカにとってどのようなものであったかと言えば、それまで、極東の弱小国としてしか見ていなかった日本が、恐るべき強さを持った国だったという事に驚愕したというのが真相でしょう。今まで、「ねこ」としてしか見ていなかった日本が、実は「トラ」だった事に気付いたのです。「「ねこ」であれば、ペットとして、可愛がっていればいいけど、「トラ」であるなら、退治しないと」と考え始めたのではないでしょうか。

 アメリカが「トラ退治」に成功した1945年、敗戦で完全にダウンした日本はアメリカにとっては、死に掛けの「ねこ」みたいなもんだったのではないでしょうか。そんな日本を、「東アジアにおける防共の砦」として利用しだしたアメリカは、「防共の砦」として利用するために、日本の体力を増強させようと、様々な援助を行いました。やがて、日本は立ち直り、次第にアメリカと貿易摩擦を起こすようになりました。

 貿易摩擦があるとはいえ、その頃は、ソ連を中心とした東側諸国という仮想敵があり、日本を西側につなぎとめておくためには、あまり粗略な扱いもできないということで、日米経済摩擦も大事には至りませんでした。しかし、ソ連の退潮が誰の目にも明らかになり始めだすと、ソ連に変わって脅威となってきたのは、再び、「トラ」になっていた日本でした。

 という事で、1980年代後半からのアメリカは、それまでのアメリカと打って変わって、日本にシビアになってきました。

 アメリカは、覇権国家であり、他国にナンバーワンの地位を脅かされるのを嫌います。日本は常に「出る杭」として、アメリカに打たれ続けているのです。「アメリカの年次改革要望書」もその一環でしかありません。



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