いつかあの青空の心に

少年のころ見上げた、あの青い空。澄み切ったあの空のような心になりたいと願った。その心に近づいているのだろうか・・・

ミッドナイトダンス

2004年12月27日 | その他
昔の音楽を聴く。
今となっては聴くことさえ恥ずかしい、
当時流行のダンス・ミュージックだ。

記憶が蘇る。

深夜0:00大学のある県から、
自分の実家のある隣の県まで、2時間あまり、車で走る。
日中であれば、3時間はかかるこの道も、
この時間帯なら2時間で帰れる。
市街地を抜け、山道に入る。
前も後ろも車は皆無だ。
漆黒の闇をヘッドライトが切り裂く。
信号はすべてが黄色点滅。
遮るものはない。

ブレーキを踏む必要はない。
すべてエンジンブレーキとギアチェンジだけで家まで帰り着ける。
空には星、点在する民家は電気が消えており生き物の気配さえない。
外気温は零度近いだろう。

心が空っぽになる。
車内にはコーヒーのにおい。
大きくなる水平対向のエンジン音。
風きり音と、タイヤの音、そしてダンスミュージック。

暗闇を限界近い速度で駆け抜ける。
遮るもののない世界。

見渡す限りのすべてが眠りについて、
全てが死に絶えたような静かな世界。

迫りくるカーブを右に左に。
何も考えず、手足が自由に動く。
スピードの中に自分がいて、それに同化している。

ごくたまにすれ違うトラックは電飾もまぶしく、
銀河の宇宙船のようだ。

いつまでもその空間にいたいのだが、
やがて山道も終わり、市街地に入り、
見知った団地に入る。

時計は2:15。

そうして日常に戻り、
寝床から車のエンジンが冷えるキンキンという音を聞きながら
ミッドナイトダンスは終わる。

もう一度いつの日か、あの圧倒的なスピードの世界に戻りたい。
それは車の加速度、スピード、危険に反比例した
静かな統一された意識の時間。
コメント (2)
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