1月5日(土曜日・晴れ時々曇り)
つづき
終点三木駅に着くと、駅前に何人かの乗客が集まっていました。いや、この人達は列車には乗らず、バスに乗ってどこかへ向かうようでした。
駅舎は、ドアの大きなガラスがいいなと思いました。昔から長く続いている、町医者か診療所の建物のような雰囲気でした。
「廃止と決りました」というフレーズが、聞きなれません。廃止されようとしているのに、このような威勢のよい言葉は似合いません。三木鉄道を廃止しようとする強い力、”どうしても、今この時に廃止しなければ”というような決意を感じました。
三木鉄道の乗客は減る一方で、財政問題を考えれば廃止も止むを得なかったかもしれません。しかし、この看板を見ると、「止むを得ず」廃止したのとは違う、積極的な空気を感じます。こうして、ある一時点の意思決定によりもたらされる結果は、遠い未来までずっと続くであろう三木鉄道の廃止です。
将来、「あのとき廃止しなければよかった」という可能性は、たったの1%でもないでしょうか。今から23年前、三木線を国鉄から第三セクターへ継承し存続するという、別の意思決定があったのです。
しかし、そのかすかな可能性のために三木鉄道を残すことは出来なかったのだと、考えるしかないようでした。
三木鉄道の旅:終わり