気ままなひとこと

折々にふれ、思いつくままに、気ままに書き留めるBLOG

「本を読むわたし」by 華恵

2011-11-13 14:15:55 | 読書

読んでみて久し振りに「嬉しい驚き」を感じた本でした。
華恵という若い女性(現在20歳)が15歳の時に書いたものだそうですが、そのしっかりした言葉遣い、構成、そして、優しい大人のような周囲のに人々対する思いやり、どれもが15歳とは思えない巧緻(少女の著作に似合わない表現かもしれませんが)な文章に、ぐいぐい惹かれ、また心を暖められました。

彼女はアメリカ人の父と日本人の母との間に生まれた混血(アメリカではミックス、日本ではハーフと呼ばれると書いています)で、幼稚園の頃に両親が離婚したために、それまでのニューヨーク生活を離れて、母と日本で暮らすようになったそうです。現在は東京の芸大で音楽理論を学ぶ大学生ですが、私はNHK-BSでの『世界遺産~一万年の叙事詩』という数回にわたるシリーズ番組で彼女を知ったので、書店で彼女の著作を見つけて、またタイトルの面白さもあって購入したものです。



これは、読書好きの彼女が幼い頃から読んで気に入った本を題材に取り上げ、それにまつわる周囲の人々や出来事を綴ったエッセイです。取り上げられたのは14冊の本なので、表紙には “My Book Report” というサブタイトルもついています。ですが、書評ではなく、本と結びついた思い出が、著者の自然な暖かい気持ちで綴られています。文庫本の背表紙に「ほの甘く、おだやかで、ちょっぴり切なくて、途方にくれたりもした少女時代」とありますが、還暦を過ぎたこんな私でも感動を覚えることが出来ました。幸せな読後感のある、嬉しい驚きでした。