ピッコロの常連客の保険外交員の杉元千鶴子に続いて、後輩の明神晃子もやってくる。
その事を多美子が問いただすと、ピッコロのママの美樹から依頼されたらしい。
身の覚えのない事に釈然としない多美子の前に美樹が現れる。
多美子 「ねえ、美樹ママ。今夜マイネリーベ手伝ってくれるの」
美樹 「ええ・・・あら、オーナーから聞いてないですか」
多美子 「ええ、なにも」
美樹 「おかしいな。オーナー、また忘れてんのかな。この前閉めようと思っていたら、オーナーが突然顔出して泣きついて来たの、女の子探してって」多美子 「いつ?」
美樹 「三日前かな」
純子 「あら、ねえ」
多美子 「ええ、おんなじ日。それで?」<o:p></o:p>
美樹 「今日の岩崎恭三の会の事、多美子ママに話すの忘れてたって。身内みたいに思ってたから、自分が知ってる事は多美子ママも知ってるんだと思い込んでいたんだって」
純子 「ほら、ねえ、悪気はないんだから」
美樹 「予想外にお客さんが多くて女の子が足りないって、だから今日だけマイネリーベに出てくれないかって頭下げられたの。オーナーに頭下げられちゃあ、断れないわよ。だから晃ちゃんに話したの」晃子 「で、私が千鶴子先輩にって訳」
多美子 「じゃ、三人とも手伝ってくれるの」
機嫌の直った多美子は千鶴子と晃子が持ってきた着替えを点検する。
多美子は二人の持って来た着替えにNGを出す。
多美子 「ああ、これはいいわ。(携帯を取り出す)晃ちゃん、マイネリーベはね、大人が来るお店なの。だから、ちょっとしたお色気が必要なのよ。・・・モシモシ。あっ、誰?ああ、岬ちゃん。私。・・・あんた、電話にはもっと明るくでなきゃ駄目よ。・・・ハイ、わかればよろしい。あのね、更衣室にあるドレス、何着か持って来てくれる。・・・そう、マーガレット。・・・ああ、女の子みんな来た?・・・そう。よろしく。・・・今持って来るから」
親の助けになりたいとマイネリーベに働きに来た教育大生の大宮岬がドレスを持って現れる。
岬 「あのーう、持ってきました」
多美子 「岬ちゃん何回も言ってるでしょう、背筋をピンと伸ばす」
岬 「(背筋を伸ばして)ママ、こんなんでいいですか」
多美子 「もう・・ほら、笑顔で声を高く」
岬 「あっ、いけねえ。・・・ママ、これでいいですか」
多美子 「そうそう、やればできるじゃない。マイネリーベじゃそれを忘れちゃ駄目よ」
岬 「ハ~イ」
多美子 「ほら、笑顔で声を高く!」
岬 「ハイ」
多美子 「背筋伸ばして声高く、いつも笑顔で明るく挨拶。ハイ、復唱」
岬 「背筋伸ばして声高く、いつも笑顔で明るく挨拶」
多美子 「そうよ、それ。ご苦労さん。皆にはもうすぐ行くからって」
二人衣装を決め、女の子が集まった多美子は上機嫌で店へと向かう。
続く。
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