日本映画専門チャンネルで昨年7月より月二本の割合で始まった「おとなの桃色シネマ白書」のOAが今年も続いており
この作品も今月の一本目

いつも書いてることですが何千本とあるピンク映画 50年の作品の中からの作品選択のチョイスが実に素晴らしくて
この特集はここまで欠かさずに見てきておりこの作品は通算19本目になるのかな
我らが葉月蛍さん主演作でしたねぇ

いや美人の範疇に入るお方だと思いますが
ピンク業界ではどんな役柄でもこなせる女優さん、この作品も徐々にピンク映画界も専用女優さんからAV女優さんに変わっていく過度期に当たるのかなぁ
ある意味最後のピンク女優さんと言っても過言ではない1977年製作のピンク映画
1977年って言えば、庶民の憧憬の的であった団地がマンションにその地位を奪われていく時代だったようですが
この作品では未だ団地がその地位を保っていた最後の時代を背景に
そこに暮らす三組の夫婦のなんでもない日常をピンク映画でありながら淡々と描いた作品
葉月蛍演じる朝子と本多菊雄演じる倦怠期の夫婦を軸にして
同じ棟の沢田夏子演じる隣の奥さん
そしてなんと若若っしい浮気男川瀬陽太と本多が憧れる長曽我部蓉子夫婦との
男女がそれぞれ日常のふとした隙間に焦点を当ててるところかな
朝子がことごとく自分の思いと夫の想いを勘違いしてすれ違いを繰り返していくところがストーリーを動かしているんですね
行ってきますのキス待ちする葉月の顔が数回出てくるが
この顔が実にいい
期待をはぐらかされても恋心は衰え無いっていうとこを見事にあらわしてるし
川瀬陽太にラブホ連れ込まされても挿入させなかったところとか
毎朝挨拶だけ交わして心の拠り所である長曽我部への思いはあるものの
いざお互いの配偶者に不倫の疑いがあり
お互いに心情を吐露するものの
それ以上発展しないという、正にピンク映画ではありえへん展開を経て
クライマックスではきちんと三組の夫婦がそれぞれ元鞘での濡れ場のカットバックに収斂していくところが流石ピンク映画の醍醐味になってるものの
ピンク映画としてのエロスとしての物足りなさはあるものの
収まるとこに収まってしまうという作品だった。
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1977年製作、日本ピンク映画、国映作品
サトウトシキ監督作品
出演:葉月蛍、沢田夏子、長曾我部蓉子、淺野潤一郎、川瀬陽太、本多菊雄