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今回の季語は虫です。
俳句で虫と言えば秋に鳴く虫です。
虫の音を美しいと思うのは日本人独特の感覚だそうです。
角田忠信氏の「日本人の能=脳の働きと東西の文化」によると欧米人には虫の音も小川のせせらぎも騒音としか聞こえないそうです。
ちょっと以外。
虫の音が和歌に詠まれるのは平安時代だそうです。
秋の夜のあるも知らずなく虫はわがごと物やかなしかるらん 藤原敏行
秋のわびしさの歌です。
和歌の世界では鈴虫・松虫の区別は判然としていませんが、和歌の中で松虫・鈴虫という言葉をどう生かすかと言うことが大事だったというのです。
秋の野に道もまどひぬまつむしのこえする方にやどやからま よみ人知らず
君しのぶ草にやつるるふるさとは松虫の音ぞかなしかりける よみ人知らず
いずれも「松虫」の「まつ」は「待つ」の意で使われている。
鈴虫の声の限りを尽くしても長き夜あかずふる涙かな 桐壺
紫式部は鈴虫について「今めく(はなやかである)」と表現している。
「鈴」は「ふり」・「ふる」の縁語とされている。
これは「蟋蟀・こおろぎ」と「螽蟖・きりぎりす」の関係にもあてはまる。
むざんやな甲の下のきりぎりす 芭蕉
これがこおろぎだと、どうなるのだろう。
むざんやな甲の下のこおろぎ
では、うーーんなるでしょう。やはり、キリギリスの語感なのです。
キリギリスもコオロギも語感と文字の感覚なのです。
やはり、季語は凄く洗練された言葉なのです。
俳句を鑑賞する方の知識というか知見を試される事になるのです。
下手な鑑賞すると笑われるかも。 怖いですね。
そこで一句です。
徳川家康の「人生は重い荷を背負いて坂道を行くがごとし」です。
仰ぎ見て妻のおもいに春の風
仰ぎ見て妻のおもいに秋の風
妻のおもいには「思いに」と「重い荷」を兼ねています。
奥さん、重いですか ?
物理的に心情的に重く感じるでしょうか、それともそんなにはと思いますか。
坂道の途中で坂上を見て、妻の思いに春風を感じるか、秋風を感じるか。
春と秋で全く違う感じになりませんか。
貴方はどちらでしょうね。
ではでは。