夕焼け金魚 

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この街の話 空メール

2012-09-26 | 創作
昔の人は自分の死ぬ時が分かっていたかのような事をします。
例えば何日に死ぬから、用意しておけと指示したとか。
自分の死期をどうして知り得たのでしょうか。知りたいとも思わないのですけど。
近所のおじさんから聞いた話なのですが、人は死期が近づくと手紙が来るそうです。
白紙の手紙ですが、死期が近づいている人には、何が書いてあるのか読めるのだそうです。
「実はおじさんにも手紙が来たのだよ」と言って白紙の紙を懐から出して見せてくれました。
何の変哲もない白い紙。
「何か書いてあるの?」
「ああ、1ヶ月後だそうだ」と言って空を眺めました。
とても元気なおじさんで、病気なんかしたこともない人なのに。
「どうして」と聞くと「俺の方が知りたい」と言って泣き出しました。
大人の人が泣くのを見たのはその時が初めてでした。
本当かなって思ってました。子供の頃の1ヶ月はとても長い期間でした。
そんな話忘れた頃に、おじさんが死んだと聞きました。やはり、1ヶ月後だったと記憶しています。
正確に1ヶ月かという自信がありませんが、子供心にやはり本当にそんな手紙が来るのだと思いました。
幸か不幸か今までそんな手紙を貰わなかったので、真実かどうかは分からないのですけど。
実は先日私に、空メールが来ました。差し出しアドが無い空メール。
そんなものが届いたのですが、読めないのです。おじさんは読めると言ったのですけど、私には読めなくて。
読めないから大丈夫なのかなって変に安心していたりして。
でも、神様の世界も電子化されて、手紙でなく空メールになったのでしょうか。


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