夕焼け金魚 

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手形占いをする女

2014-05-14 | 創作
幼い頃、おばぁちゃんに連れられてまじないの処に行ったことがあります。
手形を紙の上に書き写して、身体の悪いところを直すというのです。
そのころ、私は腕に皮膚病ができて皮膚科の薬では治らなかったのです。
まじないの処は、お寺でも神社でもない普通の家具屋さんなのです。
戸を開けて、おばあちゃんが挨拶していると、うちのおばぁちゃんと同じくらいの年のばあちゃんが出て来るのです。私の側に来て、半紙に手を置いて墨で手形を少し大きめに書き取るだけなのです。その半紙の手形に線香で何カ所か焼くのです。
「これで、明日になると直るよ」と言われて半信半疑で翌日起きると、なんとあんなに酷かった皮膚病が治っていたのです。
「バァチャン直った」と喜んで報告したことが昨日のように思えます。
でもまじないには常に良いことと悪いことの裏と表があるのですよね。
直せると言うことは、病気にすることもできると思うのです。
大学の女友達で、手形占いの上手な人がいたのです。占う人の手形を墨で書き取って、線を入れながら占うのです。
彼女が手形を取った一枚の半紙を、線香で焼いているのを見たことがあります。名前がチラッと見えたので覚えているのですが、確か、前に付き合ってい男の手形だったと思います。素敵な彼でしたが、どうも女癖が悪くて彼女も彼の犠牲になったのでした。
彼がその後どうなったかと言うことは、詳しくは知らないのですが、急に大学を辞めて、郷里に帰ったことしか。
そんなに親しくなかったので、行かなかったのですけど郷里で亡くなったという噂が聞こえたときです。手形占いの彼女が、その噂を聞くと口元を少し緩めて笑ったように見えたのです。そのように見えたと言うだけなのですが、その噂を聞いた後は手形占いを止めたようです。誰にでも手形を取らせるようなことは止めた方が良いかも。

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