M. L. ステッドマンのベストセラー小説「海を照らす光」を「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」のデレク・シアンフランス監督が映画化。マイケル・ファスベンダー、アリシア・ヴィカンダ―、レイチェル・ワイズが共演しています。
光をくれた人 (The Light Between Oceans)
第1次世界大戦後のオーストラリア。孤島に灯台守として赴任した帰還兵のトム(マイケル・ファスベンダー)は、土地の美しい娘イザベル(アリシア・ヴィカンダ―)と結婚し、幸せな日々を送っていましたが、イザベルは不幸にも2度続けて流産してしまいます。そんな折、父親らしき男性の遺体と赤ちゃんをのせたボートが島に流れ着きます。
本土に報告しようとするトムに、自分の子として育てたいと懇願するイザベラ。その思いに負け、トムは男性を埋葬し、娘が生まれたと虚偽の報告をしたのでした。2人は赤ちゃんにルーシーと名づけて大切に育てますが、洗礼式のために本土に渡った際に、夫と娘を海で失くしたハナ(レイチェル・ワイズ)という女性を知ります...。
公開時になんとなく見逃してしまいましたが、この作品、私はとても気に入りました。詩情あふれる海辺の風景と、そこで生きる誠実な人たち。戦後を時代背景に、孤島という特殊な環境の中で、ふとした出来心が引き起こした悲劇と再生への物語が、ていねいに描かれていて引き込まれました。
舟で運ばれてきた赤ちゃんをルーシーと名づけ、我が子として大切に育てるイザベラとトム。誰も知らない孤島であれば、その幸せは長く続いたかもしれませんが、本土に渡った2人は、ハナがルーシーの実の母親であることを知ってしまいます。トムは罪の重さに耐えかねて、イザベラに黙ってハナに手紙を送り、それがもとで事実が明らかにされるのでした。
全ての罪をひとりで背負うことを決意するトム。ルーシーを失い悲しみの中に突き落とされるイザベラ。そしてようやくもどってきた実の娘から、母ではないと拒絶され苦悩するハナ。
トムとイザベラが犯した罪はたしかに重いですが、そうせざるを得なかった当時の状況も理解できたので、イザベラを責めることはあまりに酷であると感じました。それでもイザベラが真実を話し、トムが背負った荷を少しでも軽くしてくれることを、心の中で望みながら見ていました。
一方ハナは、当時敵国人として差別されていたドイツ人を愛し結婚したほどの、真に自由な心をもった聡明で勇気ある女性。彼女は試練の中でもがき苦しみながら、かつて夫から教わったことばを思い出し、トムとイザベラを赦すことを決断するのでした。
この物語がどこに向かうのか、いろいろな可能性を思い浮かべながらスクリーンを見守っていましたが、ルーシーと関わるすべての大人たちが互いを思いやり、何よりもルーシーの健やかな成長と幸せを願って行動したことで、最終的に一番いい道が導かれたように思いました。
ややおとぎ話にすぎるという向きもあるでしょうが、俳優たちのすばらしい演技によって美しい物語に命が吹き込まれ、静かな感動を味わいました。
妻のとったとんでもない行動を許してしまう心優しい夫。夫の妻に対する深い愛情をひしひしと感じました。
受け入れ、許してしまうハナの寛大さにも驚きましたね。子供を連れてトムに会いに行くルーシーのシーンにジーンときました。
主演の3人が素晴らしかったですね。
今一度見たくなりました。
美しい物語でしたね。とっても私好みでした。
トムにとってイザベラは、戦争の暗闇から救い出してくれた
太陽のような存在でもあったのだろうなと思いました。
そしてハナはほんとうにすごい人だと感動しました。
ルーシーも愛情いっぱいに育てられ、母親ゆずりの
すてきな女性に成長しましたね。
3人の演技がすばらしく、物語の世界に引き込まれました。
3人の大人がそれぞれ愛情深く、素敵な人なのかなぁと思いました。
灯台のある孤島が、自然豊かな場所なのでしょうね。リンクして頂いた公式サイトのギャラリーを見たら、とてもきれいな島の景色。悲しい設定のお話ですが、タイトルから物語の結末が素敵な方向に向かうものだといなぁ、何て思いながら見たくなります。
この作品、テーマは重いですが
映像が美しく、登場人物たちがすてきで
どこかロマンティックなムードにもひたれる作品でした。
物語がどこに向かうのか、はらはらしながら引き込まれました。
撮影はニュージーランドなどで行ったみたいですが
ほんとうに美しい島ですね。
登場人物たちのナチュラルカラーのファッションも
島の素朴な風景にマッチしてすてきでしたよ。
>戦後を時代背景に、孤島という特殊な環境の中で、ふとした出来心が引き起こした悲劇と再生への物語
この背景設定が独特で素晴らしい物語だと思いました。
原作も読んでみたいような・・・。
罪を犯す物語でもありますが
赦しや思いやり、償いによる癒しや再生が描かれていたし
何より、こういう成育歴のルーシーが
結果的に歪むことなく二組の親を愛し、健やかに成長してくれたのが幸いでした。
悲劇はあっても、どちらの親にも深く愛されたことを知っていたからでしょう。
同じように誘拐されたあと実の親の元にかえった娘の物語である「八日目の蝉」が
娘自身はトラウマを抱えて成長したことを考えると
余計にこの物語の優しい終わり方にほっとしました。
この映画、かなり私好みの作品でした。
原作も読んでみたくなりますね。
トムの罪を一身に引き受けようとする勇気と妻への愛
ハナの苦しみの中から選んだ赦しという決断
それらがイザベラの心にも変化をもたらしたのでしょうね。
ハナはゆっくりとルーシーの母親になっていたのだろうな...
トムとイザベラのこともちゃんと話して育てたのだろうな...
ということがラストの場面から伝わってきて心打たれました。
「八日目の蝉」とは状況が同じですが、まわりの大人たちの思いやりによって
まったく違った結末になりましたね。