セレンディピティ ダイアリー

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ダミアン・ハースト 桜

2022年06月30日 | アート

コンサートの後、そのまま余韻にひたりながら、乃木坂の国立新美術館によって「ダミアン・ハースト 桜」展を見に行きました。桜を描いた大型作品ばかり24点で構成される、日本初の大規模個展です。(5月23日で終了しました)

ダミアン・ハーストはイギリスを代表する現代美術のアーティストです。私は2011年にヨコハマトリエンナーレで蝶をコラージュした Kaleidoscope シリーズ、2012年に渋谷ヒカリエのギャラリーでカラフルな円を並べた Spot Paintingシリーズを見たことがあり

どちらも印象に残っていますが、今回はピンクと水色を使った色彩構成がとてもラブリーで、楽しみにしていました。桜といえば、多くの日本画家が好んだ画題であり、2018年に山種美術館で見た「桜 さくら SAKURA」展も心に刻まれています。

日本で桜といえば、どちらかというと儚いイメージがありますが、ダミアンが描く桜は大胆、パワフル、そしてカラフルです。ぱっとみたところピンクの花に見えますが、よく見ると赤や緑、青、茶、その他たくさんの色の点描となっています。

ダミアンの作品を見ながら、桜には晴れた空が似合う、ということを再認識しました。

展示室の広いスペースの白い壁に、桜の作品だけが展示されています。タイトルを含め、説明が一切ないので、作品と無言で向き合うことができたのがよかったです。後で作品リストを見ると、神の桜、生命の桜、真実の桜... とそれぞれタイトルがついていましたが

見る人がそれぞれの桜を好きなように鑑賞すればよいのだろうな、と思いました。

会場には作品のほかに、30分ほどのダミアン・ハーストのインタビュー映像があり、こちらも興味深かったです。イギリス出身のダミアン・ハーストは無骨な職人さんといった雰囲気で、ケン・ローチ監督の映画に出てきそうなおじさん(失礼!)です。

作品を作る様子を見ると、ポロックのアクションペインティングを彷彿とさせましたが、ダミアン自身はフランシス・ベーコンの影響を受けているとおっしゃっていました。

今回の桜の作品や、私が過去に見た彼の作品からすると、ちょっと意外に思いましたが、あとでググったところによると、ダミアンは動物のホルマリン漬けにした作品が有名だそうで、なるほどそれならベーコンのグロテストさに通じるものがある、と納得しました。

ダミアン・ハーストの作品については、こちらをどうぞ。

話題のダミアン・ハーストって一体誰?初期〜最新作まで代表作20選をご紹介 (NEW ART STYLE)

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實川 風さんのピアノリサイタル

2022年06月25日 | 舞台・音楽会

記事にするのがすっかり遅くなりましたが、GWに若手実力派ピアニスト 實川 風 (じつかわ かおる) さんのピアノ・リサイタルに行ってまいりました。場所は紀尾井ホールです。

實川 風 ピアノ・リサイタル

實川さんが演奏するショスタコーヴィチを偶然SNSで聴いた時、見た目の柔らかい雰囲気からは想像できない意外な選曲、そして骨太の力強い演奏が心に刻まれ、一度じっくり演奏を聴いてみたいと思っていました。

会場となる紀尾井ホールは、紀尾井町にあるこじんまりとした木目の美しいホール。演奏者との距離が近いので、音楽とひとつになるような親密感を感じる一方、適度な大きさもあるので、音の響きがすばらしく、音楽に包まれるような感動を味わいました。

この日實川さんが選ばれたピアノは、ベーゼンドルファー・Model 280VC。深々とした森に響き渡るような温かさと力強さが感じられ、實川さんの演奏と、この日のプログラムによく合っているように思いました。

ベートーヴェン:ピアノソナタ 第21番 ハ長調「ワルトシュタイン」op.53
ショパン:ピアノソナタ第2番 変ロ短調「葬送」op.35
---- intermission ----
ファリャ:アンダルシア幻想曲
ドビュッシー:前奏曲集 第1集より 沈める寺
プロコフィエフ:ピアノソナタ 第7番「戦争ソナタ」op.83

この日のプログラムは、ショスタコーヴィチはなかったものの、やはり渋い、骨太の選曲で、お客様にあわせるというよりは、實川さんの弾きたい、伝えたいという思いが伝わってくるラインナップでした。

プログラムノートによると、實川さんは「最初にベートーヴェンのワルトシュタインを弾きたい」というのがあり、そこからそれに対抗できるソナタとしてショパンの「葬送」といった具合に、曲を選んでいったとのことですが

私は勝手に、昨今の世界の情勢に思いを寄せた、祈りのようなメッセージと受け止めてしまいましたが、考えすぎでしょうか。どれも重めの作品ではあるけれど、ロマン派や印象派の音楽が好きな私にはとっても楽しめました。

---- uncore ----
シューベルト:4つの即興曲op.90 D899より第3番変ト長調
J.S.バッハ:フランス組曲第2番ハ短調BWV813より第1曲アルマンド
ドビュッシー:12のエチュードL.136より第1集 第6番「8本の指のための」

アンコールもバラエティに富んだ、やはり渋めの選曲です。思いがけずたくさん弾いてくださってうれしかった。最後のドビュッシーを弾いた後に、これでおしまい、という風に微かなジェスチャで示してくれる礼儀正しさに思わずにこり。心豊かになるひとときでした。

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代官山レストラン シェ・リュイ

2022年06月23日 | グルメ

前回は桜の季節だったので3か月ぶり。紫陽花の美しい季節に、まだ~むさんと代官山のフレンチレストラン シェ・リュイ (Chez Lui) でランチをごいっしょしました。

少なくとも私の学生時代からある老舗レストランですが、なぜかこれまで入る機会を逸していました。当時は同じく代官山のマダム・トキと並んで、一軒家レストランのはしりだったと記憶しています。

フランス語で ”彼の家” を意味するお店は、木造の古い大きなお屋敷で、アンティークな設えがほっと安らぐ空間でした。テラスにはぶどう棚があって優しい木漏れ日が心地よい。どことなく六本木の cojito さんにも似て私好みのお店です。

まだお客様がいらっしゃらないうちに写真をパチリ。この日はこの後ほぼ満席でしたが、年齢層がさまざまで幅広い人気を実感しました。私たちはお魚料理とお肉料理が楽しめるランチのセットをいただきました。

お肉を使った前菜3種類は、左から鶏胸肉を使った鶏ハム、鶏もも肉を使ったテリーヌ、牛肉のいろいろな部位を閉じ込めたゼリー寄せ。キャロットラペとピクルスが添えられています。お肉はバルサミコのソースでさっぱりといただきました。

デミタスの熱々カップで運ばれてきたポルチーニのスープ。香り高く濃厚な味わいが体の隅々に行き渡るようでしたが、私が感激したのはこのソーサー。

アンティークな薔薇と、向こう側には (この写真では見えませんが) 妖精の絵が描かれていて、その愛らしさに思わず声をあげてしまいました。

お魚料理はイトヨリの白ワイン蒸し クリームソースでした。写真ではきれいに映っていませんが、イトヨリの皮のピンクに黄色の縞模様がとても美しかったです。

ふっくらとして柔らかいイトヨリと野菜、海老をクリームソースでいただきましたが、ソースの濃度もちょうどよく、海の幸によく合いました。

お肉料理は豚肉にチーズとパン粉をのせてオーブン焼きにしたお料理でした。柔らかいお肉とさくっと仕上げた帽子、食感の組合せが楽しめました。ソースとマッシュトポテトと、王道の付け合わせがほっとする味わいです。ブルーの小花模様のお皿も愛らしい。

デザートはチョコレートのテリーヌとティラミス。フランボワーズのソースが添えられています。こちらも間違いのないおいしさでした。

ハーブティ (レモンミントティ) とともにおいしくいただきました。

お食事の後は、代官山の裏道や T-SITE (蔦屋書店) の中をぶらぶらと。楽しい時間をすごしました。

まだ~むさんから、ロイヤルコペンハーゲンのミニクッキーをいただきました。かりっ、さくっとおいしくいただいています。大好きなブルーフルーテッドの缶は、何に使おうかなーと思案中です。

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トップガン/ペイン・アンド・グローリー/プロミシング・ヤング・ウーマン

2022年06月13日 | 映画

Amazon Prime Videoで見た3作品です。

トップガン (Top Gun)

トップガン マーヴェリック」を見る前に、復習のために鑑賞しました。見ているうちに、ああ、そうだった、そうだった、とだんだん思い出しました。^^ 当時は1982年公開の「愛と青春の旅立ち」と、ミリタリー娯楽作品として人気を二分していましたが

愛と青春の旅立ちがシンデレラストーリーだったのに対し、トップガンはヒロインが自立した女性というのが新鮮でした。(とはいえ今見ると、教官の立場を忘れてすぐに生徒と恋に落ちるというモラルのなさが、ちょっと気になりましたが)

戦闘機を使った空中アクションは大迫力。死と隣り合わせのミッションに、恐怖と戦いながら挑戦する若者たちのドラマに胸が熱くなりました。音楽もかっこよかった! エンディングに流れる、チープ・トリックのMighty Wings にしびれました♪

ペイン・アンド・グローリー (Dolor y Gloria / Pain and Glory)

ペドロ・アルモドバル監督の最新作。アントニオ・バンデラスが主人公の映画監督を演じ、子ども時代の母親役をペネロペ・クロスが演じています。どちらもアルモドバル監督作品では欠かせない俳優さんで、監督が思い描く作品の世界を見事に体現していたと思います。

監督の自伝的作品ということもあって、どことなくフェデリコ・フェリーニ監督の「8 1/2」や、アルフォンソ・キュアロン監督の「ROMA」を髣髴とさせる作品でした。子ども時代の甘く切ない思い出が、ノスタルジーたっぷりに描かれています。

私は冒頭のオープニング・クレジットの美しさからもうノックアウトされましたが、赤を基調にした主人公の家のキッチンや、子ども時代をすごした洞窟のような家など、ビジュアルのひとつひとつにアルモドバル監督の美学を感じました。

あることがきっかけで疎遠となった俳優との確執と和解、別れた恋人との思いがけない再会、子ども時代に気づいた同性に対する特別な感情。大きな事件が起こるわけではないけれど、胸がぎゅっとしめつけられて愛おしくなる作品でした。

プロミシング・ヤング・ウーマン (Promising Young Woman)

キャリー・マリガンが好きなので公開時に見たいと思っていたのですが、復讐がテーマとなっているので残酷な、場合によっては猟奇的なシーンがあるかも... と見ることを躊躇していました。でも、こんなことを言ってはなんですが

すごーくおもしろかったです。主人公のキャシーの復讐は「思い知らせる」ためではなく「思い出させる」ためのものだったのですね。人の命を奪っておいて、何食わぬ顔で日の当たる人生を堂々と歩いている張本人。事件を傍観し、助けようともしなかった友人たち。

事件を知ってて知らないふりをしていたクラスメート。事件をなかったことにしようとした大学側。加害者は、一番優秀だったニーナが邪魔だから貶めようと、もっとも卑劣な方法でニーナを傷つけたのです。ニーナの母は、キャシーにニーナのことは忘れて

自分の人生を生きて欲しいと願います。私も過去から逃れられないキャシーが痛々しくて見ているのがつらく、同じ思いで成り行きを見守っていましたが、キャシーはニーナを直接的、間接的に傷つけた人たちをどうしても赦すことができなかった。

他に方法はなかったのか、と思わずにはいられませんでしたが、すかっとするエンディングでした。

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トップガン マーヴェリック

2022年06月11日 | 映画

1986年の大ヒット作「トップガン」の36年ぶりの続編です。

トップガン マーヴェリック (Top Gun: Maverick)

楽しみにしていた本作。事情により見るのが公開翌週になってしまいましたが、公開直後からSNSで流れてくる感想がどれも絶賛したものだったので、期待して見に行ってまいりました。

86年のトップガンは当時もちろん見ていましたが、ほとんど忘れていたので、最近 Amazon Prime に上がっていた旧作を見ておいてよかったです。思った以上に、旧作とつながるストーリーとなっていました。

でも、本作のヒロインであるペニー(ジェニファー・コネリー) が誰だかさっぱりわからなくて、最後までもやもやしてしまいました。^^; 映画では昔からの知り合いという設定でしたが、前作には登場していない役どころだったのですね。

冒頭からマッハ10を実現する超音速戦闘機の美しいフォルムににぞくぞく。そして上官の許可を得ずに勝手に乗り込み、向こう見ずな操縦をするマーヴェリックに、ちっとも変わってないなーとうれしくなりました。(ほんとうだったら始末書どころではすまないでしょうが)

いずれ戦闘機は自動操縦になるからパイロットは必要なくなる、という上官のことばは、実際にドローンが戦闘地域で利用されている現代においてはリアリティありすぎでしたが、それでも時代に逆行して、あくまで実戦にこだわるマーヴェリックは

映画「ミッションインポッシブル」シリーズで体を張った命知らずのアクションを貫いてきた、トム・クルーズの姿に重なります。

チームワーク、師弟愛。最新鋭の映像やアクションに反して、ストーリーは浪花節的で、時にご都合主義でもあったけれど、私たちが求めていたのはこれなんだ!というものを全部見せてくれる ”よき娯楽映画” のお手本のような作品でした。

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麺屋いちびり

2022年06月01日 | +奈良

奈良旅行の最後を飾るのは、なんとラーメンです。^^;

ラーメン好きの息子が、橿原にはめったに来れないので、せっかくなので気になっていたラーメン屋さんに行きたいと、橿原神宮前駅にほど近い 麺屋いちびり さんでお昼をいただくことになりました。

お店の前に数人並んでいましたが、メニューを見てどれにしようか迷っているうちに順番がまわってきました。入ってすぐの券売機で食券を購入。店内はカウンターのみの細長い作りで、ラーメンを作る様子を眺めながら、のんびりできあがりを待ちました。

こちらはお店一押しの特製ラーメンです。厚みのあるチャーシューが、どーんと3枚ものっているのが圧巻。とろりとした味玉もおいしそうです。焼きのりがのっているのが東京ラーメン風です。

スープは豚骨魚介しょうゆ味で、コクがありながらそれほど脂っこくなく、満足度の高いお味でした。

私はめずらしく、まぜそばにしました。ひょっとしてまぜそばをいただくのははじめてかもしれません。こちらも、麺が見えないほどに具材がたっぷりのっていて大迫力。白ねぎ(関西ではめずらしいですね)赤たまねぎ、水菜とたっぷり野菜がのっているのが私好みでした。

チャンクといっていいほどの大きな焼き豚がごろごろたくさん入っているのにびっくり。量が多かったので少し息子に手伝ってもらいました。たれはラーメンのスープに似ていますが、麺や具材によくからみ、おいしくいただきました。

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この後は近鉄奈良まで電車でもどり、おみやげを買って息子と別れました。初めて訪れる場所で、奈良の新たな魅力に触れる旅となりました。

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