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セレンディピティ ダイアリー

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奈良・山焼き(2025・冬)仏蘭西料理 ラ・テラス

2025年03月21日 | +奈良

奈良・山焼き旅行記の続きです。これまでの記事はこちら。

1.奈良・山焼き(2025・冬)粟 ならまち店
2.奈良・山焼き(2025・冬)若草山焼き
3.奈良・山焼き(2025・冬)囲炉裏と地酒 大和乃山賊
4.奈良・山焼き(2025・冬)志賀直哉旧居

志賀直哉旧居からささやきの小径を通って奈良公園へ。七草山の麓にあるフレンチレストラン「仏蘭西料理 ラ・テラス (La Terrassse)」で、私のバースデイランチをいただきました。

緑の森の中にあるレンガ造りの一軒家レストランは、サンルームやテラス席もある開放的な空間。自然の中でいただくフランス料理は、ほどよくモダンで洗練された一皿。広々としたお席も居心地よく落ち着けました。

温かみのあるテーブルセッティングが素敵でした。

私はスパークリングワインで乾杯。テーブルには自然の実を使った素敵なオブジェが飾られていました。

右は息子のワイン、左は夫がいただいた柑橘系のピールを使ったカクテル。

フォアグラを使ったアミューズ。

黒いシックなカップに入ったコンソメスープ。

芽キャベツを生ハムで巻いたアミューズ。

それぞれのお皿に取り分けていただきました。

「サーモン / 紫カリフラワー / 柚子」と言う名前の前菜その1。サーモンのたたきに紫カリフラワーやエディブルフラワーを散らした愛らしい一品。下に柚子のソースが敷いてあります。

「アオリイカ / 大和橘 / ピスタチオ」と言う名の前菜その2。イカソウメンのような前菜ですがピスタチオとの組み合わせが斬新。食感の違いが楽しめました。

この後、「鰆 / チーマディラーパ / 発酵トマト」という魚料理がありましたが、写真を撮り忘れてしまいました。。チーマディラーパというのは、カブの葉に似た葉野菜のようです。

自家製パンとバター。パンは私の好きなカンパーニュのようなハードブレッドでした。

「奈良・郷ポーク / 春巻 / 黒にんにく」という名の肉料理。ポークもきのこもおいしかったのですが、ユニークなのが春巻。きっちり巻いた葉巻のような洋風春巻でした。

お店のスタッフがバースデイプレートを用意してくださっていました。左のお花はドライフラワー(食べられません)。右の絵は、スタッフの方が描いてくださったそうです。もったいなくて食べられない!

「紅玉 / トンカ豆 / カルバトス」という名のデザート。カルバトス (りんごのお酒) を効かせたりんごのコンポートとトンカ豆のアイスクリーム。

トンカ豆も見せてくださいました。華やかで甘い香りのスパイス。ポスト・バニラになるかもしれませんね。

こんな風に素敵にサーヴしてくださいました。

大阪・TERRA COFFEE ROASTERSさんのスペシャルティコーヒー。

小菓子は、テリーヌショコラとクグロフ。

焼菓子大好きです。どちらも濃厚な風味があっておいしくいただきました。

お店のスタッフの方が、屋内外でたくさん写真を撮ってくださった上に、真っ赤なバラまで用意してくださって、そのお心遣いに感動しました。

これで、奈良・山焼き旅行記はおしまいです。最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。


奈良・山焼き(2025・冬)志賀直哉旧居

2025年03月18日 | +奈良

奈良・山焼き旅行記の続きです。これまでの記事はこちら。

1.奈良・山焼き(2025・冬)粟 ならまち店
2.奈良・山焼き(2025・冬)若草山焼き
3.奈良・山焼き(2025・冬)囲炉裏と地酒 大和乃山賊

山焼きを見た翌日は、朝から志賀直哉旧居を訪れました。春日大社にほど近い、高畑 (たかばたけ) という町の閑静な住宅街にあります。ホテルからのんびり歩いて30分ほどで、よいお散歩になりました。

志賀直哉といえば、私は「城崎にて」の入った短編集しか読んだことがなく、それほど馴染みがないのですが、旅先で何度も不思議と縁がありました。

志賀直哉が長逗留した城崎温泉、かつて宿泊した蒲郡クラシックホテル、伊豆の起雲閣、そしてかつて住んでいた尾道の旧居など、旅の途中で何度も彼の足跡に触れる機会がありました。

今回改めて調べてみると、彼は生涯に23回も転居しているのだとか。旅好きで、家族が多く、交際範囲も広かった彼の人生は、きっとにぎやかで華やかだったのだろうと想像しました。

志賀直哉が家族とともにこの家で暮らしたのは、昭和4年から13年のわずか9年間ですが、建物は数寄屋風を基調に、洋風の食堂やサンルームを備えた和洋折衷の造り。彼自身の構想をもとに、京都から数寄屋大工を呼び寄せて建てたそうです。

住宅の一部は二階建てになっており、一階と二階それぞれに書斎がありました。写真は、志賀直哉が『暗夜行路』を執筆した二階の書斎です。

こちらは、小林多喜二が宿泊した客間。贅沢な暮らしぶりの志賀直哉と、プロレタリア文学を代表する小林多喜二に交友があったことは意外でしたが、多喜二は直哉の文学に惹かれるものがあったのでしょう。

直哉は「高畑サロン」と呼ばれる集まりを主宰し、この家で多くの文化人たちと交流していました。

客間からは七草山が望めました。前夜に山焼きをしたばかりの七草山ですが、思ったより焼き残っています。このような年はめずらしいそうです。

一階の書斎は洋風で、北向き。主に夏の間に使っていたそうです。

この茶室は、家を建てた数寄屋大工の希望で造られたもの。直哉自身はあまり茶の湯には興味がなかったため、最初は友人を招いて将棋を指す場として使われていましたが、後に家族のお茶のお稽古に使われるようになったそうです。

浴室には、当時としては珍しい冷水シャワーが付いていました。

中庭に面した廊下。

食堂。洋風の造りで、家の中でもっとも広い部屋です。端にはソファが設えられています。

料理は、台所との間にあるカウンターを通じて運ばれました。台所には、氷を入れて冷やす仕組みの冷蔵庫も備えられています。食堂は、窓側へと続くサンルームとともに、家族の憩いの場となっていました。

日本式の中庭のほか、南側には子どもたちが遊べる広い庭もありました。

庭の隅にはプールも!(浴槽より小さいですが)

さらに、バックヤードから玄関へと回る途中にも池のある庭がありました。贅を尽くし、工夫が凝らされた、すてきな住まいでした。

志賀直哉旧居からは、「ささやきの小径」と呼ばれる森の小道を通って春日大社へとつながっています。森の中を歩いていると、ときおり鹿がひょっこり顔をのぞかせました。


奈良・山焼き(2025・冬)囲炉裏と地酒 大和乃山賊

2025年03月09日 | +奈良

奈良・山焼き旅行記の続きです。これまでの記事はこちら。

1.奈良・山焼き(2025・冬)粟 ならまち店
2.奈良・山焼き(2025・冬)若草山焼き

迫力ある七草山の山焼きを堪能した後は、どこかでお酒を飲みがてら夕食をいただいてからホテルに戻るつもりでした。しかし、この日の奈良の街は観光客でごった返していて、どの店もすでに先客や予約客でいっぱい。なかなか入れるお店が見つかりません。

そんな中、「あそこなら入れるかも」と息子が案内してくれたのが「囲炉裏と地酒 大和乃山賊」さんです。JR奈良駅のすぐ近くながら、横道を入ったビルの2階にある穴場的なお店でした。

奈良の地酒と奈良県産の食材を使った囲炉裏料理が楽しめる居酒屋さんで、個室もあり、落ち着けました。奈良の地酒(名前は失念)とともに、スタッフおすすめのお料理を次々といただきました。

最初に出てきたのはあさりの酒蒸し。あさりの旨みが凝縮されたスープが絶品でした。

こだわりの出汁巻き卵 & 若鶏の黒焼き。関東の甘い卵焼きも好きですが、関西でいただくふんわり柔らかな出汁巻き卵が大好きです。若鶏の黒焼きは、たしか宮崎の名物料理だったと記憶していますが、こちらも大好きな一品。柚子胡椒がよく合いました。

茄子と豆腐の揚げ出し。茄子は大和丸茄子が使われています。お出汁がじんわり染みて、ほっとする一品でした。

豪快山賊焼き。炭火で焼いた皮がパリッとして香ばしい。

なんこつ唐揚げ。なんこつは、私にはあまり馴染みのない食材ですが、いつの間にか息子の好物になっていたようです。

この日は寒かったのでお鍋もいただきました。

イカの味噌バター焼き。私はすでにお腹いっぱいだったので、ほんの少し味見だけしました。

この後、写真は撮り忘れましたが、大和肉鶏の釜飯もいただきました。
山焼きを見て冷え切った体も、この頃にはすっかり温まりました。


奈良・山焼き(2025・冬)若草山焼き

2025年03月01日 | +奈良

奈良・山焼き旅行記の続きです。これまでの記事はこちら。

1.奈良・山焼き(2025・冬)粟 ならまち店

奈良の若草山焼きは、毎年1月第4土曜日に行われる伝統行事で、春日大社の背後に連なる若草山全体を燃やすものです。若草山は山というより丘に近く、一面が芝生で覆われたなだらかな地形をしています。

私は、奈良の山焼きは野焼きのようなもので、芝を均一に伸ばすために行われるのだと思っていました。しかし、実際には春日大社・東大寺・興福寺が関わり、先人の霊魂を鎮めるための祭礼なのだそうです。

とはいえ、県庁前では和太鼓の演奏が行われ、参道には屋台が立ち並び、山焼きの前には花火も打ち上げられます。多くの観光客が集まる、早春の一大イベントとなっています。

私が気になったのは、「若草山にいる鹿たちはどうなるのか?」ということ。彼らは何かを感じ取ってどこかに避難しているのか、それとも誰かによって誘導されているのか。この日は、いつもより鹿の姿が少ないような気がしました。

飛火野(とびひの)という広場で行われる「大とんど」。事前に段ボールに集められた大量のお札やしめ縄などが、消防署員によって次々と投げ込まれ、燃え上がる様子は圧巻でした。

若草山のすぐ麓から山焼きを見ることもできますが、私たちは少し離れた広場から眺めることにしました。向こうに見える芝生の山が、若草山です。

辺りがだんだん暗くなってきました。先ほどの大とんどで燃えた御神火を受け取り、聖火行列が山まで運びます。山の麓では、かがり火が点火されている様子が見えました。暗い夜空には冬の星座が輝き、その美しさにも心を打たれました。

18時15分から花火が打ち上げられました。大輪の菊のような花火、カラフルな花火、さらには鹿の顔をかたどった花火も上がり、会場は大いに盛り上がりました。

18時30分から、いよいよ山焼きが始まります。消防団員の方々による一斉点火が行われ、赤々と燃える炎が少しずつ広がっていく様子は大迫力でした。

帰り道、奈良公園では「なら燈花会(とうかえ)」が開催されていました。一面に灯された無数のろうそくの光は幻想的で、とても美しかったです。なら燈花会は毎年8月に行われる行事ですが、この日は山焼きに合わせて特別に開催されていました。


奈良・山焼き(2025・冬)粟 ならまち店

2025年02月15日 | +奈良

1月の終わりの週末に、1泊で奈良に行ってきました。奈良市内にある若草山では、毎年1月の第4土曜日に山焼きが行われます。

若草山の山頂にある鶯塚古墳に葬られた霊魂を鎮める祭礼として、若草山に隣接する東大寺・興福寺と奈良奉行所が立ち会い、山を焼くようになったのだそうです。

若草山には以前、ハイキングで登ったことがあります。その際、毎年1月に山焼きが行われていることを知り(当時は神事とは知らなかったのですが)一度見てみたいと思っていました。

***

今年の山焼きは1月25日の土曜日。朝8時頃に東京の自宅を出発し、12時に奈良に住む息子と待ち合わせました。

まずは情緒ある町屋の街並みが残る「ならまち」へ。この日、昼食を予約していた「粟 ならまち店」を訪れました。

築140年の町屋を改装した古民家で、大和牛や大和伝統野菜など、奈良県産の食材を使った心づくしの料理が楽しめます。この日は2階のお座敷で、奈良の地酒とともに「収穫祭御膳」をいただきました。

籠に盛られた、大和伝統野菜を使った料理の数々。白和え、酢味噌和え、さつまいものレモン煮、おひたし、里芋の田楽など、どれも繊細な味付けで、野菜本来の美味しさを堪能できました。見た目も美しく、心躍るひと皿ひと皿でした。

こちらは「大和牛3種盛り」です。右から、しぐれ煮、ローストビーフ マスタードソース、じゃがいもとランプステーキ バルサミコソース。どれも甲乙つけがたい美味しさでしたが、特にローストビーフが気に入りました。

左は、粟餅と原木きのこなどの野菜を吉野葛あんで和えたもの。右は、紅くるりという赤大根とブロッコリーの天ぷら。岩塩でいただきます。

右から、大和芋のお味噌汁、片平あかねという細長い赤カブのお漬物、古代米と奈良のお米をあわせて炊いたご飯。

どれも、ほっとする優しい味わいでした。

デザートは、生姜のカヌレと奈良のいちご。奈良といえば柿が有名ですが、最近はいちごの生産にも力を入れているようで、今回の旅ではいちごを使ったお菓子もたくさん見かけました。

コーヒーとともに、ゆったりとした時間を楽しみました。

ならまちには、趣のある町屋がそこここに残っています。何気なく歩いていると、有形文化財のプレートがついている建物もありました。

田村青芳園茶舗」という素敵なお茶のお店を見つけました。店先まで、茶葉を焙煎する香ばしい香りが漂っています。思わず引き込まれ、煎茶を購入しました。


奈良・十津川村(2024・夏)川舟で瀞峡めぐり

2025年01月04日 | +奈良

奈良・十津川村旅行記の続きです。これまでの記事はこちら。

1.奈良・十津川村(2024・夏)谷瀬の吊り橋 ~ 十津川温泉
2.奈良・十津川村(2024・夏)十津川温泉で味わう郷土料理
3.奈良・十津川村(2024・夏)瀞峡
4.奈良・十津川村(2024・夏)Book Café Kuju

ブックカフェでお昼をいただいた後、予約していた川舟乗り場に戻り、いよいよ「瀞峡めぐり」です。受付でライフジャケットと日傘を借りて川辺へと向かいました。

乗り場といっても、河原にモーター付きの川舟がつながれているだけの素朴な造りです。川舟は10人ほどが乗れる大きさでしょうか。私は偶然にも、一番前の席に座ることができました。

いよいよ出発です。

岩場の間をぐんぐんと進んでいきます。

険しい岸壁に、舟も入れないほどの細い入り江がありました。その風景に、能登のヤセの断崖で見た“義経の舟隠し”を思い出しました。

奇岩の風景が続きます。

先ほど訪れた瀞ホテルのところまで来ました。

先ほど歩いた河原が見えます。

渓谷を流れる川というと荒々しいイメージがありましたが、瀞(とろ)はその名の通り「さんずい」に「静」と書き、川の中で水が深く、流れが静かな場所をいいます。険しい峡谷とは対照的な、穏やかな川の流れがとても印象的でした。

川に流れ込む滝。

荒々しい岩肌。

ぐるりと回って舟着き場へともどります。

40分ほどの船旅でしたが、心に残る風景でした。

さて、そろそろ奈良市に戻る時間です。ショートカットになるかもしれないと、行きとは違う山越えのルートにしたところ、ガードレールのない、車が一台やっと通れるような山道で、崖から落ちないか、対向車が来ないか、どきどきしながらのドライヴとなりました。

***

年を越してしまいましたが、これで奈良・十津川村旅行記はおしまいです。長らくおつきあいいただき、ありがとうございました。


奈良・十津川村(2024・夏)Book Café Kuju

2024年12月09日 | +奈良

奈良・十津川村旅行記の続きです。これまでの記事はこちら。

1.奈良・十津川村(2024・夏)谷瀬の吊り橋 ~ 十津川温泉
2.奈良・十津川村(2024・夏)十津川温泉で味わう郷土料理
3.奈良・十津川村(2024・夏)瀞峡

この後は、川舟で瀞峡めぐりをしようと、乗船乗り場を訪れました。次の回は午後1時からとのことだったので、予約だけして先にお昼をいただくことにしました。

本当は瀞ホテルで、瀞峡を眼下に眺めながら食事をしたかったのですが、この日は夕方まで予約がいっぱいとのことで諦めました。

代わりにGoogle Mapsで見つけた Book Café Kuju(ブックカフェ九重) に行ってみることにしました。

このカフェは九重という地域の、廃校になった小学校の校舎を改装した建物の中にあります。他にもベーカリーなどが入っていますが、知らなければ通り過ぎてしまいそうな小さな校舎でした。

カフェは木のぬくもりを活かした素朴な造りで、かつて小学校だった頃の面影があちらこちらに残っています。黒板に白墨で書かれた文字に、手書きならではの温かさを感じました。

机や椅子はさすがに大人向けのサイズですが、木造校舎のような趣を感じさせます。

お料理ができるまでの間、隣の古本スペースをのぞいてみました。

最近は東京で大型書店が次々と閉店する一方で、本好きさんが自分の好みの本を集めた個性的な小さな書店が増えていると感じます。その多くがコーヒーショップを併設しているのも特徴的です。

こちらのブックカフェもそのようなお店のひとつだと思いました。オーナーさんは映画好きのようで、映画に関する本が多く、旅や食に関する本、さらには洋書も揃っていました。

ちょうど旅行に持ってきた本を読み終えたところだったので、店内を隈なく見て回り、小川未明の「赤い蝋燭と人魚」の文庫本を購入しました。幼い頃、この恐ろしくも哀しい物語に不思議と惹かれたことを思い出しました。

さて、お料理が運ばれてきました。まずはキーマカレーのランチセット。ミネストローネとサラダが付いていて、ボリューム満点です。

もうひとつはハーフのサンドウィッチとキッシュのセット。パンは併設されたパン屋さんのブラウンブレッドです。

私は朝食をたっぷりいただいて、まだおなかがいっぱいだったので、ハーフのサンドウィッチとカフェラテにしました。

サンドウィッチにはサーモンとポテトサラダがはさんであり、さっぱりとした味わいでおいしくいただきました

Book Cafe Kujuさんは12月1日で閉店し、この後新しいカフェがオープンするとのことです。


奈良・十津川村(2024・夏)瀞峡

2024年12月07日 | +奈良

奈良・十津川村旅行記の続きです。これまでの記事はこちら。

1. 奈良・十津川村(2024・夏)谷瀬の吊り橋 ~ 十津川温泉
2. 奈良・十津川村(2024・夏)十津川温泉で味わう郷土料理

十津川温泉を後にして、深い森の中を車で走ること約1時間。向かったのは「瀞峡(どろきょう)」です。

瀞峡は吉野熊野国立公園内に位置し、奈良県、三重県、和歌山県にまたがる大峡谷です。旅行前に十津川村について調べているうちに、この大峡谷の存在を知り、ぜひ訪れたいと思いました。

車を停め、峡谷への階段を下りていきます。右手に見える屋根の建物は、瀞峡を見下ろす断崖絶壁に建つ「瀞ホテル」です。このホテルは大正6年に創業した歴史ある旅館ですが、平成16年に宿泊施設としては閉館しました。

現在は、100年以上の歴史をもつ建物を活かし、眺めのよいレトロな雰囲気のカフェとして営業を再開しています。

瀞ホテルの横にある階段をさらに下りていくと、目の前に峡谷を流れる神秘的な青緑色の熊野川が姿を現しました。

河原に降り立つと、切り立つ崖が圧巻の迫力で迫ってきました。

瀞峡ではカヌーや釣りなど、さまざまなアクティビティを楽しむことができます。この時も、ちょうどカヌー体験をしている人々の姿が見られました。

水面から見上げる峡谷の景色も、きっと素晴らしいことでしょうね。

ダイナミックな断崖が続きますが、この付近では水の流れが穏やかで、ゆったりとした気分を味わえました。

しばらくすると、モーター付きの川舟がやってきたので、後で乗ってみようということになりました。

ブルーグリーンに見える川の水も、近づいてみると透明でとても澄んでいます。

河原から見上げた瀞ホテルの姿です。

森の奥深くにこんな場所があるなんて、初めて発見した人はさぞ驚いたことでしょう。熊野川流域は古くから木材の生産が盛んで、かつては伐採した木を筏に組んで川を下流へ流していたそうです。

さて、次は川舟に乗りに行きましょうか。


奈良・十津川村(2024・夏)十津川温泉で味わう郷土料理

2024年11月30日 | +奈良

奈良・十津川村旅行記の続きです。これまでの記事はこちら。

1.奈良・十津川村(2024・夏)谷瀬の吊り橋 ~ 十津川温泉

十津川温泉「湖泉閣吉乃家」さんでは、宿自慢の素朴な田舎会席料理をいただくのを楽しみにしていました。

かつては、海のない土地を旅しても海産物が提供されることが少なくなかったように思いますが、こちらの吉乃屋さんでは、川魚、山菜、きのこ、ジビエなど、奈良県の山の幸や川の幸をふんだんに使った心づくしの郷土料理を堪能することができました。

少し時間が経ってしまいましたが、思い出しながら書いていきます。

手前にある高菜の浅漬けに包まれたおにぎりは、吉野地方の郷土料理である「めはりずし」。吊り橋の売店で見かけて「何だろう?」と思っていたので、謎が解けてうれしくなりました。奥に見えるのは鹿肉のたたき、左にあるのは小芋のあんかけスープです。

ひと口蕎麦、わらびのおひたし、梅酒。

ヤマトポークの蒸籠蒸し。

ごまだれとポン酢でいただきます。

鰻の押しずし、野菜の天ぷら。

鮎の塩焼き。頭からしっぽまで丸ごといただけます。

そら豆といっしょに炊き上げたおこわ、お吸い物。

デザートはオレンジとライチ。どれもおいしくいただきました。

こちらは朝ごはんです。右上に見えるのは奈良の郷土料理である茶粥です。

鮎?の干物。川魚の干物は、初めていただきました。

とうもろこしを炊き込んだごはん。

床の間に飾られていた長い蔓が目を引きました。スタッフの方に「あれは藤ですか?」と尋ねたところ「そうです」とのお返事でした。さらに「ずいぶん長いですね!お庭の藤ですか?」と伺うと、お宿の二代目の方が山で見つけられたとのことでした。

野生の藤はこんな風に自由奔放に伸びるものなのですね。驚きました!


奈良・十津川村(2024・夏)谷瀬の吊り橋 ~ 十津川温泉

2024年11月24日 | +奈良

だいぶ日にちが経ってしまいましたが、2024年7月、夫の奈良出張に便乗して、奈良県十津川村を旅してきました。金曜日の夜、それぞれに仕事を終えた家族三人が奈良のホテルに集まりました。

十津川村は奈良県の最南端に位置し、日本で一番面積の広い村です。人里離れた深い森をドライブしながら、温泉でゆったりくつろぎ、素朴なお料理や人々、そして見たことのない風景に出会いたいと思っていました。

土曜日の朝、奈良のホテルを出発し、南へ向かうこと約3時間。ようやく十津川村に到着しました。最初に訪れたのは谷瀬(たにぜ)の吊り橋です。

長さ297.7m、川からの高さ54mを誇る、日本一長い生活用の吊り橋です。かつて谷瀬の村民は丸太橋を利用していましたが、洪水で何度も流されるため、村民たちが費用を出し合い、1954年にこの吊り橋が架けられました。

吊り橋を渡り、向こう岸に到達してから戻りました。ワイヤーに板を渡しただけの簡素な造りで、最初は恐ろしく、周囲の景色を楽しむ余裕もなく、おそるおそる慎重に進みました。

帰り道は少し慣れて、写真を撮る気持ちの余裕も生まれました。向こう岸にある売店でいただいたソフトクリームがとてもおいしかったです。

お昼は谷瀬の吊り橋から車で3分ほどの場所にある「蕎麦・甘味処 風庵」でいただきました。

お店は十津川(熊野川)に面していて、テラス席が気持ち良さそうでしたが、この日は暑かったため、皆さん屋内で食事をしていました。

外観は民芸調ですが、内装は天井が高く、ファンが回るログハウス風の造りです。

こちらは「風庵定食」です。ざるそば、十津川産のしめじごはん、西吉野の上辻豆腐店が作っている大和揚げがセットになった定食です。

私は「梅しそとろろそば」をいただきました。はちみつに漬けた梅干しは酸味と塩味がほどよく、優しい甘みがあってとてもおいしかったです。

山奥にありながら、お店の作りやお料理、スタッフのサービスに洗練された雰囲気があり、人気があるのも納得のお店でした。

そこからさらに車で1時間弱走り、十津川温泉郷にある「湖泉閣吉乃家」さんに到着しました。古めかしい旅館ですが、湖畔の眺望、地元食材を生かした素朴な田舎会席料理、温かいおもてなし、そして温泉の魅力が旅館のHPから感じられ、ぜひ宿泊したいと思いました。

お部屋でしばし休んでいると、窓の外には森林の緑を映し出したエメラルドグリーンの湖が広がっていました。

十津川ではなく湖?と不思議に思いましたが、ここは川を堰き止めてできたダム湖で、「二津野湖」と呼ばれているそうです。

十津川温泉に着いたら「野猿(やえん)」に乗ってみたいと思っていました。野猿とは、人力で動かすロープウェイの一種で、ワイヤーに繋がれた箱に乗り、岸から岸へ移動するものです。

旅館のスタッフに尋ねると、現在は交通手段としての野猿はなく、車で5分ほどのホテル昴さんの敷地内で体験できるとのことでした。

早速訪ねてみると、監視員もおらず、自由に乗れるようになっていました。ロープを引っ張るには力が要りそうで、私には難しいと感じましたが、息子が挑戦することにしました。

乗り場からロープがたわむ中間地点までは自然に進めますが、そこからは上り坂になるため、自分でロープを引っ張らなければなりません。息子は何とか対岸までたどり着き、よい経験になったようです。