1960年代から長きにわたり活躍された映画俳優、リチャード・チェンバレンが、2025年3月29日に90歳の生涯を閉じました。
この訃報をSNSで知り、とても懐かしい気持ちになりました。というのも、私が初めて友達と子ども同士だけで見に行った映画が、チェンバレン主演の「シンデレラ」(The Slipper and the Rose: The Story of Cinderella)だったからです。
懐かしさに駆られてYouTubeで探してみたところ、なんとフルバージョンがアップされていました。飛ばし飛ばし観ながら「ああ、こんな映画だったんだ」と、記憶が少しずつ蘇ってきました。
The Slipper and the Rose: The Story of Cinderella | 1976 | IN FULL
この作品はイギリスで製作されていて、チェンバレンも当時はアメリカからイギリスに活動の場を移していたようです。映画の舞台は重厚感があり、ミュージカル仕立てになっているとともに、本格的なクラシックバレエも堪能できました。
上映時間は2時間半近くあり、今見ると子どもには少し長かったのではないかと思いましたが、当時の私はお姫様と王子様のきらきらした世界が大好きだったので、きっと夢中で観ていたのでしょう。
ストーリーはおおよそ原作に忠実でしたが、結婚式の場面でまさかの“略奪婚”が描かれていて驚きました。映画「卒業」の影響もあったのでしょうか。ただ、王子をシンデレラに取られた花嫁にも新しいパートナーが現れて、めでたしめでたしという展開に安心しました。
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チェンバレンは俳優だけでなく歌手としても活動していました。
カーペンターズの名曲「Close to You」も、もともとチェンバレンのために作られた曲なのだそうです。曲を作ったのは、以前ブログでも紹介したバート・バカラックとハル・デヴィッドで、このことにも驚きました。
Richard Chamberlain sings Close To You
チェンバレンの歌声は、カーペンターズに比べると少々スローですが、のびやかで味わい深く、心にしみ入るものがありました。