「ロッキー」の遺伝子を受け継ぐ「クリード」シリーズ第3作です。
格闘技にはあまり興味がなくて、どちらかというと苦手なくらいですが、なぜか「ロッキー」~「クリード」シリーズは全部見ています。起承転結、勧善懲悪、雨降って地固まる、なんでもありのシリーズですが
ドキドキさせて、ほろりとさせて、最後にほっと温かい気持ちにさせてくれる、王道のエンターテイメント・ムービーです。ロッキーシリーズからクリードに代わった時には、はたしてどうなるのか心配でしたが、今ではすっかりクリードのとりこになりました。
特にクリードを演じるマイケル・B・ジョーダンがとてもいい。格闘家とは思えない優しいまなざし、そして知的なところが私好みです。もとはばりばりのビジネスマンという設定とあって、スーツの着こなしもすてきです。
マイケル・B・ジョーダンは今回、本作で監督デビューをはたしていますが、ロッキーの伝統を継承しつつ、ロッキーよりも洗練された作品に仕上がっていました。
さて、今回の相手は、マイケル演じるアドリスが子ども時代から慕っていて、ボクシングを教えてくれたデイム (ジョナサン・メジャース)。ある事件がきっかけで疎遠になっていましたが、アドリスにとっては彼のことがずっと、心のしこりとなっていました。
決してアドリスが悪いわけではない。あの時はそうするしかなかった。デイムもそのことを望んでいて、その気持ちに応えることが、アドリスにとっても、デイムにとっても一番いい選択肢だったとお互いわかっていたはずですが、そうと割り切れないのが人間の性。
アドニスとデイム、それぞれの感情に納得できるものがありましたし、ボクシングというスポーツを通じて、納得のいくまで殴り合ったからこそわかりあえる、そうした心情の変化が無理なく共感できる描写になっていました。
刑務所から出たばかりだというのに、いきなり世界チャンピオンを倒してしまうなんて。一方アドニスは選手を育てる立場となっていて、3年ものブランクがあるのに、いきなりボクシングの試合なんてできるのかしら?というのはさておいて。
手に汗握る展開を、存分に楽しみました。