セレンディピティ ダイアリー

映画とアートの感想、食のあれこれ、旅とおでかけ。お探しの記事は、上の検索窓か、カテゴリーの各INDEXをご利用ください。

ドント・ルック・アップ / シラノ

2022年03月21日 | 映画

映画の感想を2本まとめて、さくっと残しておきます。

ドント・ルック・アップ (Don't Look Up)

1月に Netflix に入ったのですが、なかなか映画を見る余裕がなくて、3月でいったんやめようかと思っています。入って最初に見たのはレオナルド・ディカプリオ主演のこちらの作品。ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェットなど

オールスターキャストが出演するブラックコメディです。監督は「バイス」「マネーショート」のアダム・マッケイ。マッケイ監督の毒が効きすぎるユーモアはちょっと苦手だったりもするのですが、社会風刺ネタは好きなので楽しみにしていました。

でも今回はあまり笑えなかったです。バイスやマネーショートと違って、本作は「彗星が6か月後に地球にぶつかる」というフィクションの設定になっているので、リアリティがなく、荒唐無稽に感じてしまったからかもしれません。

最後に地球を脱出してしてやったりの人たちですが、見ていてあまりうらやましいとは思わなかったことに自分でも驚きました。地球に残った人たちの方が幸せそうに思えたことが、本作の一番強烈な皮肉かもしれません。

シラノ (cyrano)

ジョー・ライト監督によるミュージカル映画。ジョー・ライト監督の「プライドと偏見」「つぐない」の世界が大好き、ミュージカルも好きなので楽しみにしていました。シラノ・ド・ベルジュラックその人については、その昔フランス語の授業で習いましたが

こんなロマンティックなエピソードがあったなんて知りませんでした。元になる戯曲は、これまで何度も映画やオペラ、ミュージカル作品になっているのですね。本作は2018年のミュージカルをもとにしていて、舞台と同じく

ヘイリー・ベネットとピーター・ディンクレイジが、それぞれロクサーヌとシラノを演じています。クリスチャンを「ルース・エドガー」(Luce) で注目していたケルビン・ハリソン・Jr. が演じていたのもうれしかった。

映画そのものは期待を大きく上回るものではなかったけれど、時代を反映したロマンティックな衣装やメイク、イタリアで撮影したという石造りの家並みや優美なインテリア、心情が細やかに伝わってくる歌など、堪能しました。

私自身は外見だけで人を好きになったことがないので、最初はロクサーヌの気持ちに今ひとつ寄り添えなかったのですが、いつもそばにいて見守ってくれた人の存在に気付いたラストは、それゆえの切なさも含めて心に残りました。

コメント (12)

資生堂パーラー 銀座本店

2022年03月19日 | グルメ

夫の誕生日に、資生堂パーラー 銀座本店レストランでお昼をいただきました。お店のコース料理は、一般にはお魚料理やお肉料理のつくフランス料理となりますが、この日は洋食の好きな夫のために資生堂パーラーならではの洋食を取り入れた特別なコースをいただきました。

この日は車だったので、ノンアルコールのスパークリングワインで。甘すぎず、食事によく合うお味でした。テーブルクロスにもお水用のグラスにも、資生堂の花椿の模様がついています。

オードブル3種盛りです。カプレーゼ(トマト・バジルソース・モッツァレラ)、白身魚(何か忘れた)のカルパッチョ、ポテトの生ハム巻きの3種です。どれもポピュラーなお料理ですが、間違いのないおいしさでした。お皿の金の縁取り模様もすてき。

ミニミックスコロッケ2種。カニクリームコロッケとビーフコロッケ(だったかな?)。トマトソースが敷いてあり、揚げたパセリが添えられています。写真だと大きく見えますが、ミニサイズなのでおなかの負担になりません。お皿に花椿のワンポイント。

オニオンスープ。これ、すごくたまねぎを炒めるのにすごく時間がかかるのよね、とつい主婦の目で見てしまいます。見習いシェフが炒めているのかな?とつい母心が出ます。オニオングラタンスープも好きですが、シンプルなオニオンスープもとてもおいしい。

メインのお料理はお魚料理か、お肉料理か選びます。私は「本日の鮮魚のムニエル ノワゼットソース」にしました。お魚は鰆でした。芽キャベツ、菜の花、砂糖さや、カブと春の緑の野菜がいっぱい。ふきのとうのフリットもついていました。

こちらは「国産牛フィレ肉のカツレツミラノ風」です。

この後、ビーフカレーまたはハヤシライスが選べます。私はハヤシライスにしましたが、ビーフカレーも見た目はほぼ同じ。グリーンサラダがつきます。

メインのお料理をいただいた後ですが、小盛りなのでちょうどいい感じ。手作りのらっきょうと福神漬けを添えていただきます。

デザートは苺サンデーです。思わずわ~っと歓声を上げました。レギュラーサイズだと少々重いですが、コース用に作られた小さなサンデーなのでデザートにちょうどよかったです。小さくてもお味は本格的。

大粒の苺がみずみずしくて、一口かじると甘酸っぱい果汁があふれます。クリームと苺のコンポートを重ねた断面も美しく、大満足のデザートでした。

最後に小菓子(ミニサイズのマドレーヌと、ポルポローネ) とコーヒーをいただきました。

この週は息子も在宅勤務をするために?帰省していたので、3人そろってお祝いできてよかったです。

資生堂パーラーでランチ (2014-05-14)
ファロ資生堂 (2016-02-01)

コメント (4)

Cafe - Brasserie HARRY'S @LA MAREE

2022年03月17日 | グルメ

朝から雨の降る3連休の最終日は、思い立って葉山までドライヴに行きました。お昼はどこにしようか、とこれもまた思いつきで、海沿いに建つ白亜の洋館 LA MAREE (ラ・マーレ) でいただくことに。

2階に本格的なフレンチレストランがありますが、この日は1階の Cafe - Brasserie HARRY’S に入りました。いつも人気で予約をしないとなかなか入れないお店ですが、この日は開店時間にあわせて訪れたこと、大雨だったこともあってさくっと入れました。

こういうと不謹慎ですが、最近はコロナのおかげで、人気のお店がどこも入りやすくなっているような気がします。

ノスタルジックで甘すぎないインテリアがほっと落ち着きます。アメリカのリゾート地にあるカジュアルレストランを思わせる雰囲気です。

ここのお店の魅力はなんといっても目の前が海という絶好のロケーション。人気のテラス席は予約でいっぱいでしたが、遠目に海が眺められるよいお席に着くことができました。

私たちはメインのお料理を選ぶと、ロメインレタスのシーザーサラダと本日のデザート、飲み物がつくSPECIAL COMBO というセットをいただきました。

セットにつくシーザーサラダは、ロメインレタスを使った本格派。カリカリベーコンにクルトン、粉チーズなど入って、アメリカを代表する私も大好きなサラダです。ロメインレタスもぱりっと新鮮でした。

私はメインに本日のパスタをいただきました。この日はシーフードをたっぷり使ったペスカトーレでした。ムール貝に大きな海老、イカなど。トマトソースは素材を生かす控えめさで、華やかなシーフードをおいしく引き立てていました。

こちらは、旬のお魚とお肉料理が両方楽しめてしまう贅沢な Surf & Turf。Surf はタラで、Turf は豚肉でしたが、2つの主役がけんかせずに共存している感じがとてもよい。どちらのお味もおいしく楽しめました。

本日のデザートは、ウイークエンドというレモンのパウンドケーキと抹茶のアイス。柑橘系のソースがついています。

家から車で1時間ほどですが、ちょっとした小旅行気分が楽しめました。

コメント (6)

THE THEATRE TABLE

2022年03月15日 | グルメ

ミュージカルを見る前に、劇場のある渋谷ヒカリエ11階にあるイタリアンダイニング THE THEATRE TABLE (シアターテーブル) でお昼をいただきました。

こちらのお店はシアターオーブのすぐ下の階にあって、観劇前後の食事をするのにぴったりのロケーション。でもその便利さゆえに、これまで公演のある日はまったく予約が取れなかったのです。今回はその日の朝に簡単に予約が取れて拍子抜けしました。

私たちが座ったのはテーブル席ですが、すぐ近くのボックス席をパチリ。アメリカのレストランによくあるタイプのお席です。

こちらはお店のHPからお借りした画像です。天井が高く、店内が広々としています。これからの季節は (写真では見えませんが) ソファのあるテラス席も気持ちがよさそう。華やいだ雰囲気もあって観劇前の気持ちを引き立てます。

ランチはお肉料理、お魚料理、パスタの中からメインのお料理を選ぶと、前菜ビュッフェ、バゲット、ドリンクバー、デザートがついてきます。

メモするのを忘れて、お料理はかなりうろ覚えですが、ご紹介しますね。

前菜と飲み物は自分で好きなだけ取っていただけます。えーと、変わりコールスローや、もち麦を使ったサラダ、カリフラワーのグリル、生野菜、ピクルス等々。どれもおいしかったですが、私はカリフラワーのグリルが特に気に入りました。

私はメインのお料理をパスタにしました。たしか、豚肉とラディッキョのパスタでした。上にのっているのはクレソンだったでしょうか。ラディッキョのほろ苦さが大好きです。

こちらはたしか豚肉のソテーか、グリルで焼いたお料理だったと思います。ちょっとめずらしい葉もの野菜と、ジェノベーゼソースでいただきます。

デザートです。私はお店のスペシャリテ、焼きパンナコッタをいただきました。ぷるぷるのパンナコッタの表面をバーナーでキャラメリゼした、パンナコッタのクレームブリュレ風といった感じのスイーツです。

こちらは何だったかしら。ティラミスか、ムースか。上に砕いたクッキー?とココアがのっています。ベリーのソースとともにいただきます。

食事を終えると、ちょうど開場がはじまったのか、外がだんだんとにぎわってきました。私もうきうきしながらシアターの入口へと向かいました。

コメント (2)

SINGIN' IN THE RAIN 雨に唄えば

2022年03月13日 | 舞台・音楽会

2月の3連休に、アダム・クーパー主演のミュージカル「SINGIN' IN THE RAIN 雨に唄えば」の日本特別公演を見てきました。場所は渋谷の東急シアターオーブです。

コロナ禍に入ってから舞台がことごとく上演中止となっていたので、2年ぶりの舞台鑑賞となりました。今回も年末からオミクロン株が猛威をふるっていたために、上演期間が短縮されましたが、無事に見ることができてほっとしました。

ちなみに見に行ったのは、ウエスト・サイド・ストーリーを見た翌日で、この週末は奇しくもミュージカル・ウィークエンドとなりました。ミュージカルの魅力を大いに堪能した2日間となりました。

舞台に14トンの雨を降らせる本作。前から5列目までの席は、水がかかってもいいように黄色のレインコート付きのチケットとなっています。私は1階の中ほどの水がかからない席でしたが、舞台にあわせてこの日は赤いレインコートを着て行きました。^^ 

主演のアダム・クーパーは元はロンドンのロイヤルバレエのプリンシパル。映画「リトル・ダンサー」のラストシーンや、マシュー・ボーンの「白鳥の湖」(男性が白鳥を演じる演出は圧巻!)でご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

アダムが日本公演のために出演するミュージカル「SINGIN' IN THE RAIN」は、2014年、2017年に続く3回目の上演だそうです。アダムが優雅な身のこなしで歌い踊るステージはきらきらと輝いていて、しばし夢の世界に酔いしれました。

有名な主題歌はよく知っているものの、オリジナルのミュージカル映画 (1952) は見たことがなく、どんなストーリーかまったく知らずに見に行きましたが、ひとことでいえば、サイレントからトーキーへと大きな変化を遂げようとしている

1920年代のハリウッド映画界を舞台にしたロマンティックコメディ。私は映画「アーティスト」を思い出しましたが、何事も変革が起こる時には、さまざまなドラマが生まれるのでしょうね。ハリウッドにとってはマイルストーン的な事件だったのでしょう。

ドン(アダム・クーパー)とリナは、サイレント時代の大スターでしたが、時代の波にあらがえず、トーキー映画を撮ることに。しかしリナの声はひどく、歌も音痴。そこでドンが偶然出会ったキャシーが、リナの吹替をすることになり...というストーリー。

当時の映画界の華やかな雰囲気がたっぷり味わえる一方、スターたちの苦悩も垣間見えて、結末は想像できるけれど、とてもハッピーになる作品でした。でも、リナはたしかに声はひどいし、性格も悪いけれど、ラストはちょっとかわいそうになりました。

みんなの前で、あんな赤っ恥をかかされて...。そういえば、今の俳優さんは歌もダンスも楽器もアクションもこなせて、みんなすごいですよね。昔のミュージカル映画は、歌は吹替というのがふつうにあったように思います。

***

上の画像3点は、ネットからお借りしました。舞台の後のカーテンコールでは、写真撮影ができました。下2枚はその時に撮ったものです。

アダム他、主要キャスト3名が黄色いレインコートを着て登場。

雨の中で、英国紳士たちがカラフルな傘を広げて歌い踊ります。

コメント (6)

クロイスターズと、ラベック姉妹のマンボ

2022年03月09日 | +映画のよもやま

映画「ウエスト・サイド・ストーリー」に登場して、とても懐かしかったのがクロイスターズ (The Met Cloisters)。マリアとトニーが、最初で最後のデートで訪れた場所です。

クロイスターズは、ニューヨークのメトロポリタン美術館の別館です。場所はマンハッタン島の最北端に近い、ハドソン川を見下ろす高台にあります。

全体としては中世ヨーロッパの修道院の建築様式を模していて、フランスから移築された修道院の5つのクロイスター (回廊) から構成されています。

ニューヨークであることをしばし忘れてしまいそうな静かな佇まいに、心が洗われるような気持ちになります。トニーがマリアをここに連れてきたのは、ここが日常の争いとは無縁の世界だからかもしれません。

トニーとってマリアは、平和な世界で生きていくための道しるべとなる、まさに聖母のような存在だったのでしょうね。

よろしかったら、過去記事もどうぞ。
クロイスターズ(メトロポリタン美術館別館) 2007-05-23

***

スピルバーグのウエスト・サイド・ストーリーは、悲劇的なストーリーや、圧倒的な歌やダンス、フレッシュなキャスト、臨場感あふれる映像もすばらしかったですが、バーンスタインの音楽の力を改めて実感しました。

曲の中にさりげなく取り入れられている、長調でもなく短調でもない、かといって不協和音でもない独特の音階は、不穏な空気に包まれていて、結末の悲劇を予感させます。

名曲揃いの中で、私が今回取り上げたいのはマンボ! 映画では高校のジム (体育館) で開かれるダンスパーティで演奏されます。学校のジムというのがいかにもアメリカン。敵対するチームが来るとわかっていて、どうしてわざわざ行くのか謎ですが。^^;

下にリンクする動画は、ピアノのラベック姉妹が演奏するマンボです。ラベック姉妹のこの演奏が大好きで、映画を見る前からよく聴いていました。ピアノ2台で繰り広げられるオーケストラのような迫力の演奏を是非聴いてみてくださいね。

Katia & Marielle Labèque: West Side Story

コメント (8)

ウエスト・サイド・ストーリー

2022年03月06日 | 映画

スティーヴン・スピルバーグ監督による名作ミュージカルの再映画化です。

ウエスト・サイド・ストーリー (West Side Story)

ミュージカルが大好きなので楽しみにしていた本作、公開初日に見に行ってまいりました。スピルバーグ監督がこの名作を、現代にどのように蘇らせるのか興味津々でしたが、舞台となる時代やストーリー、バーンスタインによる音楽はそのままに

現代に生きる私たちにリアルに届くメッセージとなっていたのがすばらしかった! バーンスタインの音楽はもちろん、世界最高峰のダンス、そして歌もすばらしく、見た後もしばらく興奮の中にいました。お気に入りの一作になりました。

NYCの空撮から始まる1961年版に対して、2021年版は再開発のただなかにあるリンカーンセンターの工事現場から始まります。

都市の再開発のために弱者が居場所を失うこと。それによって引き起こされる人種間の縄張り争い、ヒスパニック系移民たちへの差別。劣悪な家庭環境のために、貧困から抜け出すことができない白人移民の若者たち。

彼らを見ていると、どうしてこんな馬鹿げた喧嘩にばかりエネルギーを使うんだろう、毎日をまじめに生きれば貧困から抜け出せるのに、と歯がゆい気持ちになりますが、ふと世界を見渡せば、こんな馬鹿げたことで争っているのは大人たちの方なのですよね。

ラストのマリアの叫びは、私たちの心の叫びでもあるのだと思いました。

ベビー・フェイスのアンセル・アルゴートは、トニーのイメージにぴったり。マリア役のレイチェル・レグラーの美しい歌声に聴き惚れました。ジェッツのリーダー、リフ役のマイク・ファイストのいかにもやんちゃでワルなキャラクターも魅力的。

ベルナルド役のデヴィッド・アルヴァレスは、ちょっとコリン・ファレルに似ているような。アニータ役のアリアナ・デボーズのパワフルなダンス。そしてドラッグストアのバレンティーナは、1961年版でアニータを演じたリタ・モレノ!

アンセル以外はほとんど知らない俳優さんたちでしたが、それゆえにフレッシュな魅力にあふれていてとてもよかったです。

***

以前舞台版を見た時の感想はこちら。1961年版映画にもちょこっと触れています。。

東急シアターオーブ杮落し公演「ウエスト・サイド・ストーリー」(2012-07-31)

コメント (12)