ファッションブランド「グッチ」の創業家一族の崩壊を描いた、実話に基づく作品です。
楽しみにしていた本作。公開初週に早速見に行ってきました。コミカルでエンタメ性もあり、すご~くおもしろかったです♪ 監督は巨匠リドリー・スコット。3時間近くある大作ですが、時の経つのを忘れ、最後の一瞬が惜しくなるほど楽しめました。
一言でいえばグッチのお家騒動で、最後は殺人事件にまで発展します。私はどうしてこの事件を知らなかったんだろうと不思議だったのですが、事件が起こったのは地下鉄サリン事件の直後(1995年3月27日)だったのですね。日本ではあまり報道されなかったのかもしれません。
実家のビジネスに興味がないグッチ家3代目の御曹司マウリツィオ(アダム・ドライバー)に偶然パーティで知り合ったパトリツィア(レディ・ガガ)は、猛アタックで彼のハートを射止めますが、それには彼女の野望があったのでした。
(私はおめでたいことに、パトリツィアが純粋にマウリツィオを好きになったのかと思っていて、家を勘当されたマウリツィオが、パトリツィアの運送会社で働く姿を微笑ましく見ていました。^^;)
パトリツィアは、まずは自分を気に入ってくれそうな叔父アルド(アル・パチーノ)に近づき、マウリツィオをぐいぐいと引っ張って、あの手この手で入れ知恵をしてけしかけ、グッチ家の実権を握ろうと画策します。
アクの強い野心家のパトリツィアを、迫力たっぷりに演じるレディ・ガガの悪女ぶりが、とにかくすごくて圧巻でした。若い頃はたしかにかわいらしさもあったのですが、だんだん本性をむき出しにして、顔つきまでも変わってきます。
パトリツィアにまんまとだまされてしまう、おっとり屋のマウリツィオのちょっぴり間抜けがところが愛おしくて。パトリツィアに出会わなければ、まったく違う世界でのんびり幸せな人生を送っていたのではないかと思うと気の毒でしかたがなかったです。
イタリアのグッチ家のゴージャスなお屋敷、マウリツィオとパトリツィアが住むニューヨークのモダンなアパートメント、そしてもちろん登場人物たちの華麗なファッション、と大いに楽しめました。
グッチ家はパトリツィアの悪だくみのために家族がばらばらになり、またブランドのデザイン自体も新鮮さがなくなっていたところを救ったのが、アメリカ人デザイナーのトム・フォードだったのですね。
そのトム・フォードも自分のブランドを立ち上げ、今のグッチにグッチ家の人間がひとりもいない、という結末に栄枯盛衰のほろ苦さをかみしめました。
この日は映画に合わせて80年代のグッチのスカーフを引っ張り出していったのですが、なんとこのスカーフが映画に柄違いで出てきました。マウリツィオの父ロドルフォ(ジェレミー・アイアンズ)がデザインし、世界の女優たちが身に着けたスカーフだと胸を張りますが
その後、ばかにされた甥のパオロ(ジャレット・レト)は怒ってこのスカーフの上に〇〇してしまいます。映画を見て確かめてみてくださいね。