セレンディピティ ダイアリー

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會津藩校 日新館 ~ 飯盛山・さざえ堂

2022年10月23日 | +福島

裏磐梯・会津若松旅行の続きです。

2日目は会津若松を観光し、あまり遅くならないうちに東京にもどることにしました。従業員の方たちに見送られながらお宿を後にし、最初に向かったのは 會津藩校 日新館 です。

会津若松では行く先々で、会津藩、白虎隊、そして大河ドラマ「八重の桜」のモデルになった (同志社を創設した新島襄の妻) 新島八重 を抜きにして会津を語れないことを実感しました。

日新館は人材育成を目的に1803年に建設された会津藩の最高学府で、白虎隊のほか、後世に残る逸材を輩出しました。藩士の子弟は10歳で入学して学問や武道に励み、心身の鍛錬に努めました。

実際の日新館は戊辰戦争で焼失しましたが、1987年に会津の精神文化を後世に伝えようと、完全復元されました。約8000坪の敷地に武道場や天文台、日本最古のプールといわれる水練場などがあります。

戟門 (げきもん)。戟という武器をもった衛兵に監視させたことから戟門とよばれたそうです。またここで太鼓を打ち鳴らして時を知らせていたそうです。

正面に見えるのは孔子像を祀る大成殿、その右に見えるのは大学 (講釈所) です。素読所を修了した生徒のうち成績優秀者だけが大学への入学が認められました。

東塾。この反対側に西塾があり、あわせて素読所といいました。10歳で入学すると生徒は素読所に入り、論語を中心とする漢文の読み方を勉強しました。

水練場。日本で初めて作られたプールといわれています。生徒たちは甲冑をつけ、向井流という泳法を学びました。

高台となっている天文台の上から、日新館の全景が見えました。

日新館では、会津藩の教育制度のほか、戊辰戦争や白虎隊に関する展示がありました。こうした悲劇を教訓にせず、第2次世界大戦でも学徒出陣や特攻隊で若い命を死に追いやったことにやり切れない思いを抱きます。彼らの悲劇を美談にしてはいけないと強く思いました。

天文台から見る雄大な会津磐梯山

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この後は、会津若松の町を一望できる飯盛山 (いいもりやま) を訪れました。

飯盛山には、白虎隊十九士の墓と白虎隊自刃の地、また珍しい木造建築で知られる さざえ堂 があります。ふもとから長い石段を上りますが、有料のエスカレーターも併設されています。石段の途中から横道を抜けて、さざえ堂に向かいました。

さざえ堂 (旧正宗寺・円通三匝堂)

一見何の変哲もない古いお堂に見えますが、六角形三層の建物の中は、上りと下りが別々の螺旋形の階段となっています。灯台などにはよく見られる作りですが、木造建築としては日本唯一、世界でも例を見ない珍しい建築だそうです。

上りの通路。

上までのぼったら、今度は下りの通路です。1796年に郁堂和尚が考案したというこのお堂。今は観光名所になっていると知ったら、和尚さんも喜んでいるかもしれません。

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会津東山温泉 向瀧

2022年10月19日 | +福島

会津東山温泉 向瀧の続きです。

向瀧さんには、きつね湯 (44℃)、さるの湯 (40℃)、貸切風呂 (42℃) という3種類のお風呂がありました。着いた日は夕食前に、一番大きくて温めのさるの湯に入り、ゆったり旅の疲れをほぐしました。翌朝はせっかくなので朝食前に3つのお風呂をはしごすることに。

まずはきつね湯。ここは44℃と一番熱く、とても無理!と最初は思ったのですが、何度も何度も掛け湯をしているうちに体がなじんで入れるようになりました。ここをクリアすると?貸切風呂の42℃がぬるく感じるほど。

きつね湯と貸切風呂は1~2人くらいしか入れないくらい小さくて、結構深い。そういえば昔のお風呂って今より深かった記憶があります。貸切風呂は3つあって、いつでも予約なしに無料で入れるので、ひとりでくつろげるのがよかったです。

朝食までにまだ時間があったので、お庭も散策しました。

山の斜面に後から建て増しされたお部屋ということですが、まるで積み木を重ねたみたい。向瀧さんのお部屋はひとつひとつ違う造りなのだそうです。

お庭を上って、上から見たところ。お部屋が独立していて別荘のようですね。

こちらに見えるのは特別室のはなれのお部屋。

はなれを横から見たところ。文豪のお家のように風格がありますね。

池の上に建てられているのが珍しい。平安時代の寝殿造りのようです。なんとも風流です。

お部屋にもどって、お布団を上げるお兄さんといろいろお話ししているうちに、朝食の時間になりました。朝の献立は、ほうれんそうの鰹掛け、長茄子の揚げ浸し、オクラたたき、向瀧の温泉玉子 玉三郎、椎茸のつくだ煮、お漬けもの。

左の水色の陶器に入っているのは、紅鱒のせいろ蒸し。右の鉄鍋は、なめこの味噌汁 田舎味噌仕立て。ごはんは契約農家直送のコシヒカリ。デザートは、かぼちゃぷりん。

どれも体に優しいおいしい朝食でした。

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喜多方 ~ 会津東山温泉 向瀧

2022年10月15日 | +福島

裏磐梯・会津若松旅行の続きです。五色沼湖沼群を散策した後は、喜多方を経由して、この日の宿泊地である東山温泉に向かいました。

喜多方は蔵の町として、また喜多方ラーメンでも知られていますね。蔵の並ぶ通りを歩いてみたくて、車の中で検索し、おたづき蔵通りを目指しました。

【参考】喜多方 まち歩きマップ

埼玉県の川越のように、蔵が並んだ通りを想像していましたが、蔵はぽつぽつと点在していて意外と観光地化されておらず、市民の生活に溶け込んでいるという印象でした。でもきれいにリノベートして、上手に利用されていましたよ。

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この後は、一路南下して会津若松の奥座敷、東山温泉に向かいます。この日宿泊したのは、創業1873 (明治6) 年の老舗旅館、向瀧 (むかいたき) さんです。宿泊サイトではなく、お宿に直接予約を入れたのですが、その後のメールでのやりとりから

お客様への誠実な対応と歓迎の気持ち、宿への誇りと愛情も感じられて、わくわく期待が高まりました。きびきびとよく働く従業員さん、お部屋係の若い女性の素朴な受け答え、どれも好ましいものでした。

お風呂は3ヶ所ありましたが、そのうち一番大きな温めのお湯につかってゆっくり疲れをほぐした後に、お部屋で会津の郷土料理のお夕食をいただきました。

食前酒は会津若松の "葡萄のしずく”。先付けは生木耳の白和え。前菜は門田長ネギの焼き浸し、紅鱒の美酒佳肴焼き、塩蒸し南瓜、平飼い卵の黄身寿司、モロヘイヤの醤油漬け、秋茗荷の甘酢漬け。向付は、鯉月見。右手前は、にしんのさんしょう漬け。

どれも会津の食材を使った伝統料理で、この地でしかいただけない貴重なもの。素朴な味わいにほっと心がなごみました。鯉のお刺身や、にしんなど、初めていただくお味も興味深いものでした。

江戸時代に会津藩から伝承された逸品で、向瀧さんの名物料理、鯉の甘煮です。甘辛く煮込まれた鯉は、柔らかくもむっちりとしていて、絶品のおいしさでした。他にもお料理がたくさんあるので、食べきれなければ、食べかけを真空パックにして

持ち帰ってもよいと言ってくださったので、そのようにしました。家に帰ってからも、旅先のおいしいお料理が、そのまま味わえるのはうれしいですね。

会津地鶏と盆地の恵み。お味噌仕立ての鍋物です。

会津伝統料理のこづゆ。その向こうは会津大川で採れた鮎を使った一口ごはん。

かぶが大胆に描かれたすてきな器。

中を開けると、会津丸茄子とこしひかりの揚物。お米がぱちぱちと香ばしい。にんじんの紅葉を添えて秋の趣です。

会津のこしひかり。小松菜と油揚げのお味噌汁。手作りの佃煮と小茄子漬け。

デザートは、会津りんごのジュレ掛けです。

旅館の食事というと、豪華ではあるけれどあまり個性が感じられず、後から思い出せないことも多いですが、向瀧さんのお料理は、どれも地元の食材を使った伝統的な郷土料理で、これぞ旅の醍醐味だと感じました。

この日は偶然にも中秋の名月。お宿の廊下に、お月見の設えがありました。すすきと月見だんご、秋の恵みの野菜たち。

白く輝く月が夜空を照らし、忘れられないお月見となりました。

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五色沼ハイキング

2022年10月10日 | +福島

裏磐梯・会津若松旅行の続きです。諸橋美術館を訪れた後は、隣りのリゾートホテルで軽い昼食をいただいて、午後から五色沼でハイキングを楽しみました。

五色沼は、1888年に磐梯山の水蒸気爆発によって作られた大小30ほどの湖沼の総称で、正式には五色沼湖沼群といいます。沼によって、エメラルドグリーン、コバルトブルー、ターコイズブルー等々と色が異なり、天候や季節によっても色が変化する神秘の湖沼です。

これらの湖沼を片道約1時間半ほど歩いて巡る、五色沼自然探勝路でハイキングを楽しみました。裏磐梯ビジターセンターに車を停め、まずは毘沙門沼に向かいます。

得も言われぬ美しいブルーに、引き込まれました。手前に見えるのはモミジの木ですが、紅葉の時期もさぞ美しいことと思います。

毘沙門沼は五色沼の中で一番大きな沼で、ボートにも乗れます。静かでのどかな風景でした。

沼の細くなっているところで鯉が飼われていました。同じ沼でも場所によって見える水の色が異なり、近くで見ると透明に澄んでいました。

こんな感じの明るい雑木林を歩いていきます。高低差がほとんどなく、歩きやすかったです。

ここは赤沼でしょうか。毘沙門沼とはまた違う、トルコ石のようなはっきりとしたブルーに目を奪われました。通りがかりのハイカーが「バスクリンみたい」と言ってましたが。私も同じことを思いました。^^;

ここは弁天沼でしょうか。透明感のある2色が織りなすブルーが美しい。

鏡のような水面に青い空が映っています。

湖沼ごとにさまざまに変化する色の美しさに魅せられました。

木々の間からさまざまな表情を見せる湖沼群。終点の裏磐梯高原駅からバスに乗って、車を停めていた裏磐梯ビジターセンターにもどりました。

また違う季節にも訪れてみたい、と思うすてきなトレイルでした。

【参考】五色沼自然探勝路マップ

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銀座レカン

2022年10月08日 | グルメ

1974年創業の老舗フランス料理レストラン、銀座レカンでアニバーサリーランチをいただきました。

1階入口からエレベータで案内されて地下のダイニングルームに着くと、そこは地上のにぎわいから隔絶された異空間。ガラスの球が流れるように配されたシャンデリアの下、秋のはじまりを感じさせる深い赤色の花を大胆に生けたアレンジメントがみごとでした。

この日は車ででかけたこともあり、食事の前にノンアルコールのスパークリングカクテルをいただきました。りんごのほかフルーツを組み合わせたカクテルはほのかに甘くすっきりとした印象です。

アミュージュブーシュ。詳細忘れてしまいましたが、いろいろなお味を重ねた繊細な一皿でした。上に重ねた、赤と金、蝶をあしらった絵皿が美しく、どことなく和を感じたので一瞬森英恵さん?!と思いましたが、フランスのリモージュのお皿だそうです。

鰆のフュメ 柚子とフヌイユのヴィネグレット マイクロハーブの菜園仕立て。脂ののった鰆も、マイクロハーブとあわせてさっぱりといただけました。鰆は春の魚と思われがちですが、秋も旬なのだそうです。

鰆の上にのっているのは黒白2色の胡麻とチーズを焼いてパリパリにしたもの。これはお家でもやってみたい。お皿の縁の青いストライプに、私は土星の環を思い浮かべたのですが、このお皿もリモージュだそうです。

パンはこの日4,5種類くらいあったでしょうか。これは、バゲット生地のパンと全粒子のパン、私はこの後に赤ワインを使ったきれいな色のパンをいただきました。どのパンもお料理によく合いました。

太刀魚とホタテ貝のヴィエノワーズ カリフラワーとムール貝のヴルーテ チョリソ風味。左のヴィエノワーズとはウィーン風という意味ですが、帆立に太刀魚を巻いて、上にパン粉をのせて焼いたお料理でした。

右は小さなムール貝とカリフラワーをあわせた上に極々薄いチョリソーをのせているのがおもしろい組合せ。クリーミーなソースがよく合いました。上にのっているのは豆苗? つるが絵になります。

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このあと、メインのお料理に「ブルターニュ産仔牛のブレゼ オルロフ風」をいただいたのですが、なぜか写真を撮り忘れてしまったようです。柔らかい仔牛肉がとてもおいしくて、シャンピニオンやごぼうを使った付け合わせが美しかったです。

肉料理のお皿が、鰆のフュメのお皿に似た茶色の縞模様だったので、色違いかと思いましたら、なんとこちらは日本 (大阪) のお皿とのことでした。お皿は料理長が代々好みのものを増やされ、膨大なコレクションの中から選ばれるそうです。

食前にいただいたノンアルコールのカクテルの後は、スパークリングのミネラルウォーターをいただきましたが、福島の奥会津金山という日本酒の酒蔵が作っているお水とのことでした。

季節のデザート。右はいちじく。左はアイスクリームにチョコレートのパリパリを合わせたものだったと思います。

この日は予約時にアニバーサリーのことを伝えていましたら、特別なデザートを用意してくださっていました。しかも2人に一皿ではなくそれぞれに用意してくださっていて、感激しました。

コクの深いコーヒー。

最後にお店のスタッフが大きな漆塗りの宝石箱をワゴンでもってきてくださいました。左、手前、右、上と引出しを開けると、それぞれに美しい小菓子がきれいに並んでいます。全部で20種類くらいあったでしょうか。

いくつでもどうぞ、とおっしゃってくださいましたが、私は控えめに3つ。ラズベリーのギモーヴと、ラベンダーのマカロン、オランジェットをいただきました。

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お料理もどれもすばらしかったのですが、スタッフのみなさまのホスピタリティ、そしてお料理、飲み物、器、すべてに関する知識の深さにも驚かされました。日頃からよく勉強されていることが伝わってきました。

この日は8組くらいお客様がいらっしゃいましたが、どのテーブルも理由はさまざまながらお祝いごとだった様子で、まさに晴れの日にふさわしい特別なレストランであることを実感しました。

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諸橋近代美術館

2022年10月06日 | +福島

だいぶ間が空いてしまいましたが、諸橋近代美術館の続きです。

諸橋近代美術館のことを私が偶然知ったのは、実はわりと最近のことです。古城のような佇まいとダリのコレクションに惹かれ、機会があれば是非訪れたいと思っていました。

諸橋近代美術館は、福島県郡山市に本社をもつスポーツ用品小売業「ゼビオ」の創業者、諸橋廷蔵さんが創設されました。ゼビオのことを存じ上げなかったのですが、ゴルフ用品のヴィクトリアや、サッカーの東京ヴェルディなども配下におく、かなり大きな会社のようです。

創業者の諸橋廷蔵さんはシュルレアリスム、とりわけサルバドール・ダリの作品に興味を持ち、自らの手で蒐集をはじめたということです。現在は廷蔵さんの長男である諸橋英二さんがその遺志を継いで。美術館を運営しています。

コレクションを構成するのは、ダリの絵画、彫刻、版画作品など約330点、印象派からシュルレアリスム期までの絵画作品約40点、英国現代作家PJ クルックの絵画約30点など。コレクションに一本筋が通っているところに魅力を感じます。

ダリの絵画はこれまでに展覧会で何度か見ていますが、この美術館は大型の彫刻作品が数多くあることに驚きました。ダリの彫刻を一度にこんなにたくさん見たのは初めてかもしれません。

それから作品についている説明が、専門家による解説だけでなく、創業者の蒐集のエピソードや、キュレーターの思いのこもったメッセージとともに語られていることにも好感が持てました。

過去の展覧会で見たことのある懐かしい作品とも再会しました。これはそのうちのひとつ「アン・ウッドワードの肖像」です。国立新美術館で開催された「ダリ展」で見て心に残った作品です。

岩のくり抜きと女性のシルエットが同じ、女性のドレスのリボンが遠くの海へとつながっているのがわかるでしょうか? 遊び心のある作品です。

この角度から見る美術館が特に気に入りました。

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