セレンディピティ ダイアリー

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お茶席 @DIC川村記念美術館

2024年10月31日 | グルメ

DIC川村記念美術館について、前記事のおまけです。

この日は本当は美術館に併設されているレストランでランチを楽しみたかったのですが、なんと3時間待ちとのことだったので、今回は諦めることにしました。

その代わりに、お茶席でお抹茶と上生菓子のセットをいただくことにしました。お茶席は当日、店頭での予約となります。

こちらのお茶席は「立礼式茶席」といって、テーブルと椅子の席で、お茶とお菓子をいただきます。各回30分8席のみで、お庭の風景を眺めながら、しばしゆったりとした静かな時間をすごすことができました。

上生菓子はいくつかあるようですが、お店のスタッフがひとりひとりに合わせて選んで持ってきてくださいます。夫の和菓子は、菊の花のように見えますが、ひと目で「あっ!」と気づきました。

やはりそうでした。「光の華」という名前で、エントランスホールの天井装飾をイメージしたオリジナルの和菓子だそうです。

こちらがそのエントランスホールの天井装飾です。ダリアの花のようで、入口を入った瞬間から美しさに惹かれ、うっとりと見上げていました。

私のところに持ってきてくださったのは「紫式部」というお菓子です。

紫式部の実のような、小さくてかわいい紫の飾りがちょこんと乗っています。後でお庭を散策した際に紫式部の実は見つけられませんでしたが、どこかにあったのかもしれません。(それとも今放映中の大河ドラマに合わせた演出かもしれません。)

この他に特別メニューとして、企画展「西川勝人 静寂の響き」に合わせたお菓子も用意されていました。

西川勝人さんの白いほおずきのオブジェを模した、こちらも美しいお菓子でした。

窓から見える風景も素敵でした。噴水の池と、その手前には秋の気配を感じさせるパンパスが見えました。遠くに見える塔のついた建物は、DIC株式会社の研究所です。

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DIC川村記念美術館

2024年10月26日 | アート

千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館に行ってきました。

この美術館は、DIC株式会社(旧・大日本インキ化学工業株式会社)の創業家である川村家三代が収集した美術品を展示しており、佐倉市郊外の森に広がる同社の研究所と同じ敷地内にあります。

美しい庭園に囲まれたこの美術館は、現代美術のすばらしいコレクションでも知られており、以前から訪れたいと思っていたのですが、東京から車で約1時間と少し距離があるため、なかなか足を運べずにいました。

この夏、突然同美術館が2025年1月末で休館することが発表され、慌てて訪れたという次第です。なお、休館の発表後、来場者が急増し、そのため休館開始は2025年3月末まで延長されたそうです。

エントランスを抜けて森の小径を進むと

視界が開け、美しい芝生と噴水のある池の風景が広がります。

写真で何度も目にしてきたこの美術館は、「ヨーロッパのワインセラーのよう」と形容されることが多いですが、私自身は密かに「ムーミンの家」と呼んでいました。設計は建築家・海老原一郎氏で、DIC二代目社長の旧制中学時代の同級生だそうです。

館内のコレクションは20世紀美術が中心ですが、それぞれの展示室が多彩なコレクションの特徴に合わせて設計されており、作品が最も映える環境で鑑賞できるような工夫が施されています。

マーク・ロスコの「シーグラム壁画」シリーズの7点が一堂に並ぶ展示室。作品に合わせて照明はやや暗くされ、まるで洞窟の壁画に向き合っているかのような感覚にとらわれました。

「西川勝人 静寂の響き」という企画展も開催されていました。西川勝人さんの作品を今回初めて知りましたが、白を基調としたさまざまな作品やインスタレーションが、心にそっと語りかけるような優しさと清らかさにあふれていて、深く感銘を受けました。

写真にある24枚組の「静物」という作品は、以前山梨県立美術館で見た栗田宏一さんの土のアートを思い出させました。

館内での鑑賞を終えた後は、広大な庭園を散策しました。自然散策路を進んでいくと、その先には広場が広がっていました。

広場の周囲には桜の木が並んでおり、春にはお花見を楽しむ人たちで賑わうことだろうな、と想像しました。庭園はチケットがなくても入れるエリアで、テニスコートなどもあり、地域の憩いの場として親しまれているようでした。

広場の中央にはヘンリー・ムーアのブロンズ彫刻が堂々たる存在感を見せていました。

気持ちのよいテラスもあり、休憩スペースとして利用できます。

紫陽花がきれいな色を保ったままドライフラワーになっていました。

かわいらしい赤い実。

お花の少ない時期ですが、ところどころで可憐な花々に出会えました。

池では白鳥の夫婦がのんびりと。のどかな風景が広がっていました。

(次の記事に続きます。)

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香家 @渋谷ヒカリエ / レディ・ガガ「Harlequin」

2024年10月20日 | グルメ

映画を見た後で、少し早めの夕食をいただくことに。辛い物好きの息子の希望で、渋谷ヒカリエ1階にある担々麺専門店「香家」(こうや)を訪れました。

ヒカリエの1階にレストランがあるとは知らなかったのですが、こちらのお店は入口が建物の外にあるので、今まで全く気付かずにいたようです。

香家さんはチェーン店で、入ったことはないのですが、目黒店は前を通る度に息子が好きそうだなーとひそかにチェックしていたので、この偶然にびっくりしました。

担々麺といっても、キッチュでおしゃれな中華風インテリアが、入りやすい雰囲気です。看板メニューの担々麺が4種類くらいあって、点心や一品料理を組み合わせたセットメニューが豊富でした。

ビールと、ライチ紅茶で乾杯。ライチ紅茶の茶器は、以前横浜中華街で同じようなのを初めて見てかわいいな~と思っていました。中に茶こしがついていて、お茶碗に注いでお茶がたっぷりいただけます。

メインの担々麺とは別に、麻婆豆腐をいただきました。麻婆豆腐は息子の大好物なので家でもよく作りますが、これはお豆腐がそのまま丸ごと入っているのがユニーク。見た目にインパクトがありますが、今度真似して作ってみようかしら。

私のハーフの担々麺セットについていた豆苗炒め。シンプルながらおいしくて、最近家でもまねして繰り返し作っています。私のセットにはこのほか、水餃子がついていました。

私は「姫・担々麺」をいただきました。胡麻の風味がいっぱいでまろやかなお味。ハーフサイズにしましたが、私には十分な量でした。

息子の飲茶セットについていた点心セット。ほかにくらげの前菜がついていました。

息子が食べた「青鬼・担々麺」。青花椒が効いて、びりびりと痺れます。

メニューには、汁なし担々麺も2種類ありました。辛いものが苦手でも、マイルドな担々麺があるのがうれしい。機会があったらまたいただきたいです。

***

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」にはサウンドトラックが出ていて、YouTubeでも聴けますが、レディ・ガガとホアキン・フェニックスがささやくように歌っているので、音楽だけだと少々たいくつです。

この他に、レディ・ガガが映画にインスパイアされて制作した「Harlequin」というアルバムを出していて、こちらの方がずっといい! ガガの魅力が堪能できます。こちらもYouTubeで聴くことができます。

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ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ

2024年10月14日 | 映画

三連休に帰省していた息子と「ジョーカー」の続編「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」(Joker: Folie a Deux)を見に行きました。

息子ともども前作がとても気に入っていたので、本作をとても楽しみにしていました。正直に言えば、前作があまりにすばらしかったので、それを上回る感動はなかったのですが、後からじわじわと考えさせられる作品でした。

今回は、世界の歌姫レディ・ガガがハーレイクイン役で登場しているとあって、ミュージカル仕立てとなっていて、主演の二人の魅力が存分に堪能できましたし、本作の魅力である、ダークでアートな世界観も健在でした。

ビリー・ジョエルのMy Lifeがカーラジオでかかっていたので、本作の舞台は1970~80年頃と想像しましたが、私は本作で描かれているストーリーに、現代のネット社会に通じるものを感じました。

救いのない時代に、人々はジョーカーを悪のヒーローとしてあがめ、過大に英雄視してきましたが、いったん何か気に入らないことが起きると、突然ジョーカーを奈落の底へと突き落とし、容赦のない暴力を浴びせるのです。

そして、愛によって結ばれたはずのハーレイクインでさえも、ジョーカーの言動が自分の求めていたものと違っていたという理由で、いとも簡単に離れていったことに、現代における「愛することの軽さ」を思いました。

そして私は、本作はジョーカーとハーレイクインの物語でも、アーサーとリーの物語でもなく、ホアキン・フェニックスとレディ・ガガの物語になっている、と思いました。

ハーレイクインは、精神不安定な放火魔ではなく、自由で才能あふれるアーティストに見えましたし、ジョーカーは、病的で気味の悪い殺人鬼ではなく、思慮深いインテリに見えてしまいました。

だから、(監督が意図したように)この二人が互いの中にある狂気に惹かれたのではなく、お互いの才能や個性を尊重して惹かれ合っているように、私には見えました。

映画は、ミュージカル仕立てになっていましたが、高らかに歌い上げるのではなく、あくまでセリフのようにささやくように歌っていたのが印象的でした。

スティービー・ワンダーの For Once in My Life、ジャズの名曲 Bewitched、カーペンターズの Close to You など、だいぶアレンジされていましたが、よく知っている歌、好きな歌がたくさん登場していて楽しめました。

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ラ ターブル ドゥ ジョエル・ロブション @恵比寿ガーデンプレイス

2024年10月13日 | グルメ

恵比寿ガーデンプレイスの「ラ ターブル ドゥ ジョエル・ロブション」(LA TABLE du Joel Robuchon) でアニバーサリーランチをいただきました。

壮麗なメゾンの堂々たる佇まいに気持ちが華やぎます。レストランは1階と2階に分かれていて、1階のラ ターブルは2階より少しお手軽にお料理が楽しめます。(とはいえ普段使いにとはいきませんが)

以前、友人の壮行会を行う際に、幹事としてお世話になったこちらのお店。スタッフの飾らない中にも細やかな心遣いに大いに助けられました。久しぶりでしたので、お料理も楽しみにしていました。

パープルで統一されたダイニングルームは変わらずそのまま。シックな中に華やかさがあって私も大好きな色です。ナプキンを結ぶサテンのリボンが白い器のアクセントになっています。

車で訪れたので、二人ともノンアルコールの飲み物をいただきました。私はスパークリング、奥はメルロー。いってみればぶどうのジュースですが、グラスに注ぐと形になりますね。

アミューズは、タルティーヌでした。一口サイズのバゲットに、サーモンを使ったクリーム。上にイクラをのせて、穂紫蘇を散らしています。

前菜です。こちらは「ズワイ蟹をグリーンマスタード風味のブロッコリームースと共に」。美しいグリーンのブロッコリームースの下に、ズワイ蟹がたっぷりと隠れています。クラゲを思わせるガラスの器の重ね使いがすてきです。

私は「薫り高いキノコのヴルーテ クルトンとイベリコ豚の生ハムをアクセントに」をいただきました。きのこを使った温かいクリームスープで、芳醇で濃厚なおいしさ。生ハムの塩気がアクセントになっていました。

パン三種類もそれぞれに個性があって楽しい。オリーブオイルをディップしたり、お皿のソースをぬぐったりしていただきます。ミニサイズのバゲットは、地下のブーランジェリーでも購入できます。

メインのお料理です。こちらは「柔らかく煮込んだ仔羊のスネ肉 エピスの効いた人参のムースリーヌと共に」。仔羊によく合うクミンなどのスパイスが香る、モロッコ風のお料理。私の大好きなお料理です。

私は「北海道産エイのポシェ 梅干しで酸味を効かせたブールノワゼットと共に」をいただきました。エイをいただいたのはたぶん初めてと思います。ググったところ、サメと同じく軟骨魚類の一種とのことですが

以前アメリカでエイに触った時に、イルカに似てゴムのように肉厚でむっくりとした触感だったと記憶しています。くるりと巻かれたエイの肉は、お魚というより柔らかい鶏のささみに近い食感に思いました。

お味は淡泊で、ほんのり梅干の風味を効かせたノワゼットバターがよく合いました。上に穂紫蘇を散らし、和洋がみごとに融合したお味でした。

予約の時にアニバーサリーのことをお知らせしていたので、すてきなプレートを用意してくださっていました。お祝いのお食事を楽しんでいるお客様も多く、他にもバースデープレートでお祝いしているテーブルがありました。

デザートです。こちらは「なめらかなショコラのガナッシュにビタークッキーでコーティングしたカカオのグラスをのせて」。チョコレート好きにはたまらない一品です。

私は「柚子とハチミツのヴァシュラン キャラメルソースをあしらって」をいただきました。柚子のアイスクリームをメレンゲで包みバーナーで焼き色をつけた一品ですが、蜂の巣を模しているところがかわいい!

上にも蜂の巣風のプレートがのっていますが、この穴はストローで空けたのかしら?と想像しました。

お皿の縁にもハートやお花をあしらっていて、なんともキュートな一皿です。

食後のお飲み物は、私はハーブティをいただきました。小菓子は、マドレーヌ風の焼菓子と、ブルーベリーののったフィナンシェ風の焼菓子、そしてオランジェット。

お客様が少なくなってきたところでパチリ。和の要素をさりげなく取り入れたフランス料理はどれもおいしくて、よい記念のお食事となりました。。

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カジノ / 縞模様のパジャマの少年 / ファミリー・アフェア 他

2024年10月02日 | 映画

NETFLIXで見た4作品です。

私の居場所の見つけ方 (All We Had) 2016

トム・クルーズの元妻ケイティ・ホームズの初監督・主演作品です。

ケイティといえば、かつては娘のスリちゃんといっしょにおでかけしているところを連日のようにパパラッチされていたことを思い出しますが、最近の様子を知らなかったので、久しぶりに映画を見たいと思いました。

ケイティが演じるリタは、次から次と恋人の家に転がり込んでは捨てられて、を繰り返している恋多きシングルマザー。私は、映画「フロリダ・プロジェクト」を思い出しました。

フロリダ・プロジェクトと違うのは、一文無しになったリタが理解あるダイナーのオーナーに出会い、住み込みで働かせてもらえるところ。最後には誠実なパートナーに出会えるところ、でしょうか。

リタのキャラクターにはなかなか共感できなかったですが、冒頭でお金がないために自力で虫歯を抜かざるを得なかったリタが、最後には虫歯を治療してくれる優しい歯科医の伴侶を得た、という展開にストーリーの遊び心を感じました。

ファミリー・アフェア (A Family Affair) 2024

ニコール・キッドマンとザック・エフロンの、ロマンティック・コメディです。

夫を亡くした作家のブルック (キッドマン) が、映画俳優のクリス (エフロン) と恋に落ちるという物語。ブルックの娘ザラは、クリスのアシスタントを務めていて、クリスの我儘にいつも振り回されています。

ブルックとクリスはかなり年の差がありますがが、ニコールは若々しくて美しいし、エフロンは実年齢よりも落ち着いて見えるので、それほど違和感はなかったです。でもこれは、ニコールだから成立するストーリーですね。^^;

私はブルックよりも、無茶ぶり上司のクリスに振り回される、ザラに共感しながら見ていました。そういえば、ザラがクリスに腹を立てた時に「sayonara!」と捨て台詞を言う場面があって「おっ!」と思いました。(過去記事参照)

クリスマス休暇をブルックの実家ですごす場面もよかったです。(その後ちょっとした修羅場がありますが) アメリカ映画に出てくるクリスマスの場面が好きなのです。^^

カジノ (Casino) 1995

マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ主演のマフィア映画です。

デ・ニーロの他、スコセッシ監督のマフィア映画には欠かせないジョー・ペシが共演といえば、おもしろくないわけがない。美しくてゴージャスなシャロン・ストーンが、デ・ニーロの妻を演じています。

スコセッシ監督の「グッドフェローズ」や「アイリッシュマン」を彷彿とさせる、1970~80年代にラスベガスのカジノで暗躍していたマフィアたちを描いた、実話に基づく物語です。

ストーリーがテンポがよく展開し、飽きさせない。きらびやかなカジノの裏側で動く現金の扱いがあまりに軽く、まるでおもちゃのお金をやりとりしているようでした。あまりに現実離れしていて、エンターテイメントとして楽しめました。

マフィア映画なので、エグい暴力シーンもところどころにありますが、その度にクッションで顔を隠しながら乗り切りました。^^

縞模様のパジャマの少年 (The Boy in the Striped Pajamas) 2008

公開時に気になっていた作品ですが、どういう結末なのか想像できたので、これまで見る勇気を持てずにいました。たしかに結末は予想通りではあったものの、主人公の少年ブルーノ (エイサ・バターフィールド) の目を通して描かれているので

直接暴力を描いた場面はほとんどなく、強制収容所の中が登場するのも最後の最後。でもそれゆえに、鮮烈な印象が残りました。哀しい物語ではありますが、映像が儚く美しく、少年たちの友情が美しく、心を震わせられました。

気になったのは、どうして母親はブルーノから目を離すのだろうということ。特殊な環境ですし、好奇心旺盛で冒険好きの少年なのだから、ふだんから母親かお手伝いさんがブルーノをしっかり見守っているべきだった。

それから、子どもでもあんなに簡単に穴が掘れるのだから、とっくに何人もの人が逃げ出せたのではないかしら、とちょっと思いました。

引越しの日のブルーノは、白いシャツにニットのベストをきちんと着て、これまで一番というくらいかわいかったので、友だちを助けるためとはいえ、あんなにみすぼらしいパジャマを着ようとするだろうか?とも思いました。

それでもそれらすべてを差し引いても、心に残る作品でした。

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