クリント・イーストウッド監督、ニコラス・ホルト主演の重厚な法廷ドラマです。
陪審員2番 (Juror #2) 2024
日本でも人気の高いクリント・イーストウッド監督の最新作ですが、劇場公開はなく配信のみだったことに驚きました。約1か月前に鑑賞しましたが、当時はUNEXT限定配信だったため、トライアル登録して視聴しました。
近年のイーストウッド監督は、比較的肩の力を抜いた作品が多かった印象ですが、本作はコミカルな要素を排除し、骨太な法廷ドラマとして仕上げられています。人間の本質を問うテーマが描かれ、観終わった後も考えさせられる作品でした。
物語の主人公は、念願の子どもを迎えようとしているジャスティン(ニコラス・ホルト)。彼はある殺人事件の陪審員に選ばれます。しかし裁判が進むにつれ、「もしかすると自分こそが真犯人なのではないか」と疑念を抱くようになります。
というのも、事件当夜、彼はバーからの帰り道で車が何かにぶつかった感触を覚えていました。当時は何を轢いたのかわからなかったものの、後になって事件の発生日時や現場とぴったり一致することに気づきます。
過去に飲酒運転で逮捕歴があるジャスティンは、子どもの誕生を前に葛藤します。真実を告白すべきか、それとも黙っているべきか...。
裁判では、被告人が恋人と頻繁にトラブルを起こしていたこと、事件当夜にもバーで派手な口論をしていたことから、陪審員たちはほぼ全員が有罪と考えていました。ただひとり、ジャスティンを除いて。
彼は「もっと調べるべきだ」と主張し、無罪を主張します。しかし、なぜ彼はそうしたのでしょうか。もし有罪に投票すれば、自分が疑われることなく裁判は終わったはずです。それなのに、なぜ自らを追い詰めるような行動をとったのでしょうか。
私はこの場面で、自分ならどうするかと何度も考えました。決して聖人ではない私ですが、それでも「何もなかったことにして生き続ける」ことはできないだろうと思いました。いずれ自分自身に耐えられなくなり、精神的なバランスを崩してしまうかもしれません。
ジャスティンも同じだったのではないでしょうか。彼は、被告人が有罪になることで安心しようとしながらも、どこかで「自分の罪が明るみに出ること」を望んでいたのかもしれません。
この映画は、陪審員制度の在り方についても問いかけている、と私は思いました。作中の陪審員たちは真剣に議論していましたが、それでも「人間の良心に頼る制度」に限界があることを感じさせます。
日本でも、選挙などで「自分の考えを持たずに、声の大きい人に流される」場面が見られます。同じように、陪審員が十分な捜査ではなく「一般市民の主観」によって有罪を決めてしまうことには、危うさがあるのではないでしょうか。
本作は、そんな「正義のあり方」について考えさせる映画でした。
こちらの映画評判良いので私も早く見たいんですが…
トライアルしないと見れないのね…う~ん
アマプラ配信までじっと待ちます~
この映画が見たいがために、UNEXTに一ヶ月入ってしまいました。
(有料になる前に解約してしまいましたが)
アマプラでも配信していますが、有料のようですね。(550円)
機会がありましたら是非☆
わーい!感想アップされたのですね♪
私も考えました。自分だったら、どうするだろうと。
そして私もセレンディピティさんと同じでした。
無実の罪の人を黙って見過ごすのは心苦しくて無理だと(将来的にずっと引きずって苦し過ぎる)
でも、自分も捕まりたくない。
本作では弁護士さんに相談に行くシーンがあったのも良いなって思ったんです。早めに自白?しちゃおうかな、って思っても、彼の場合は過去にアルコールで・・ってのがあるから、軽度で済まない!と解るんですよね・・・。
あーあ、、、辛い内容ですが、こういう作品が大好きです。
そうそう、この映画、確かGEOかツタヤでも春にレンタル開始になるって見かけた様な・・・。
ようやく本作の感想をアップしました。
映画を見てから、なんと約1か月経ってしまいましたが
感想を書きながら、あらためてよい作品だったなーという思いを噛みしめています。
latifaさんもやはり同じことを思われたのですね。
実際には罪に問われなかったとしても、一生自分の中で罪を背負っていくことになるだろう、と思いました。
その方がずっとずっと辛くて、苦しみ抜くことになるかも...。
そうそう、弁護士さんに相談しに行く場面も印象的でした。
弁護士はこういう時、決して「自白した方がいい」とは言わないんですね。
あくまで「こういう場合はこうなる」という事実を専門家として伝えるだけで、自分で決断させるというのが興味深かったです。
私もこういう作品大好きです!
多くの方に是非見ていただきたいですね。
セレンさんのレビュー、楽しみにしていました。
頷きながら読ませていただきましたよ~。
本当に観ていてずっと・・・そして観終わってからも考えさせられる作品でしたね。
>もし有罪に投票すれば、自分が疑われることなく裁判は終わったはずです
そうなんですよ・・・、なのにそうは出来なかった・・・、できなかったけれど、自分の罪が明るみにでることも困る・・・、そうした彼の迷い、苦しみが自分のことのように感じられました。
キーファー・サザーランド演じる弁護士も印象的でしたね。決して同情的になるのではなく、冷静に指摘して・・・。
>「人間の良心に頼る制度」に限界がある
まさにそうでしたね。監督もきっとそのことも訴えたかったんだと思いました。
お返事が遅くなってしまって申し訳ありません。
瞳さんと共感しあうことができて、とってもうれしいです。
見た後も何度も考えさせられる、心に残る作品でしたね。
ジャスティンが一人だけ無罪を主張した時は「えっ? どうしてわざわざ自分が不利になることを言うの?」と信じられない思いだったのですが、もしもあの時にうまく逃げおおせたとしても、きっと一生苦しみ抜くことになるだろう、と思いました。
自分の犯した二重の罪に耐えられなくなってしまうだろう、とも。
弁護士の対応はさすがはプロでしたね。
自分で自分を裁くことは難しい。
でもそれこそが、大人の対応なのでしょうね。
そうですね。映画を見て、陪審制度の是非についてもあらためて考えさせられました。