私が城崎温泉を初めて知ったのは、おそらく志賀直哉の「城崎にて」だと思います。東京で山手線にはねられて重症を負った直哉が退院後、療養のために向かったのが、兵庫県の日本海側にある城崎温泉でした。その時は、東京からなぜはるばる城崎まで?と不思議に思ったものでした。
でも、城崎温泉の駅に降り立って、趣のある温泉街の町並みを見たとたん、直哉の気持ちがすうっと理解できたように思いました。まずはこの日お世話になるお宿に赴いて荷物を預け、街をぶらぶらと歩きがてら、お昼を食べに行きました。
城崎の町を流れる大谿川(おおたにがわ)です。観光ポスターにも使われていて、城崎といえばこの風景を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。石橋と川沿いの柳がなんともいえない風情があります。川の浅瀬に鷺?鵜?がちょこんと立っていました。
川沿いの風景は、瀬戸内の倉敷にも少し似ているような気がしますが、日本海側ならではの慎ましさが感じられ、ふと(場所は違いますが) ”夢千代日記” を思い出しました。
駅へと続く通りには、おみやげ屋さんやお食事処、宿屋などが軒を連ねています。城崎温泉は京都や大阪からのエクスカーションとして人気があるようで、なかなか活気がありました。観光地として整備され、大都市とは違う、この土地ならではの古きよき温泉街の魅力が、十分にアピールされていると感じました。
さて、城崎温泉の名産といえば、カニ、そして但馬牛です。この日は海鮮丼で人気の「おけしょう鮮魚の海中苑」でお昼をいただきました。1階の鮮魚店で扱っている、漁港・市場直送の新鮮魚介が、2階のお食事処でいただけます。本店と駅前店がありますが、私たちは本店の方に入りました。お店は活気があってにぎわい、わくわく期待が高まりました。
カニを目当てに、何も考えずに入りましたが、9月上旬までカニメニューはお休みとのことで、運よくぎりぎり食べられてよかったです。
こちらは11種類の季節の魚介を盛り合わせた、華やかな海鮮丼。
私は、カニ・エビ丼をいただきました。カニもさることながら、えびがとろりと甘くておいしかったです。
さて、おいしい海の幸を堪能したあとは、大谿川にもどり、外湯めぐりに向かいました。