主人公澪は「想いびとと添う幸せ」、「料理人として生きる幸せ」に悩み苦しんだ後に「心星」を見つけました。想いびととの人生ではなく、料理人として生きる道を選びました。そのことを1番に想いびとに伝えます。
ーならば、その道を行くのだ。あとのことは何も案ずるな。
と言われ、すべてことがうまく運びました。想いびとの澪を大切に思う気持ちが伝わりました。以前「恋はしておきなさい」と言ってくれた腰の曲がった「りう」さんに「恋を知って澪さんの料理が変わりましたよ」「恋を知って、食べるひとの幸せを心から祈る、切ない祈りが籠っているのですよ」と励まされます。澪は苦しんで料理人にとって大切な味覚や臭覚が利かなくなりました。そんな時に「匂いと味がわからないのは、料理人にとっては確かに試練だけれども、鼻と舌が眠っている間に、すべきことはあるはず」と忠告をして下さる方がありました。味覚臭覚が戻るまで手伝ってくださる料理人がいて澪は味覚臭覚以外の方法で精進するのでした。やっと元気を取り戻しつつあると思ったのもつかの間、吉原が火事になり、幼馴染のいる吉原へ必死で走って助けに行くのですが、又次が命がけで野江を守り息絶えました。この火事の最中に澪の味覚臭覚が戻りました。今は消防自動車があり、延焼が防げますが、ちょっと前まで木造の家は大火事になって被害が広がりました。又次の弔いが済んで表に出ると美しい虹が出ていました。
「夏天の虹の向こうに、大きく手を振る又次の姿が見えた」 美しい情景が目に浮かびます。
「心は常に振り子のごとく、希望と失望の間を行き来きする」とこの本にもありましたが、一難去ってまた一難、困難にもめげず、周りの人の気持ちを慮る澪、その慮る気持ちがまた周りの人から澪に返ってきます。登場人物一人一人に愛着がわきます。もうすぐこのシリーズも終わるのかと思うと寂しいです。
2022-4-9(土) 図書館資料 請求番号:913/B/タカ-7
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