清岡卓行作「マロニエの花が言った」をやっと読み終わりました。長~いお話でした。上下巻に分かれて1冊600ぺージほどあり、1冊が1kg以上ありそうなほど重くて読むのにも苦労しました。清岡卓行さんは10年もかかって仕上げられました。とても細かくすべてを書かれるので、上の写真のように後でインターネットで調べようと付箋を貼りはり読みました。書き始めは予想通りマロニエの花が咲く光景からだったので、嬉しくてパリの雰囲気にのめりこみました。19世紀終わりから20世紀前半のパリに留学した日本人のお話ですが、登場人物がすごく多くて、日本人だけでなくフランス人やその他の国の人もたくさん出てきて覚えきれません。その中の画家藤田嗣治さん、絵画の説明も詳しく書かれていたので、ネットで見るより図書館で画集を借りた方がわかりやすいと思って借りました。
「藤田嗣治作品集」 図書館資料 請求番号:723.1/フ
次は岡鹿之助さんです。点描画法で描かれて静かな誠実な感じを受ける絵でした。点描と言えばジョルジュ・スーラさんが有名ですが鹿之助さんはこの頃まだご存じなかったようです。音楽が好きで音楽が恋人だったようで生涯独身でした。
「日本の名画24」 図書館資料 請求番号:L 720.8/ニ-24
こちらはジョルジュ・スーラさんの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」です。女性のヒップのふくらんだスカートに特徴があり、題名は知りませんでしたが記憶に残っている絵でした。グランド・ジャット島はパリのセーヌ川に浮かんでいる島です。描かれているのはブルジョア階級だそうです。右手前のスカートに特徴があるご婦人がサルを連れているのは愛人だからだそうです。サルは「欲望」や「罪」の象徴だそうです。左のオレンジのドレスの女性は釣りをしているそうで、女性の釣りは「売春」を意味しているそうです。この絵と対になっているのが「アニエ-ルの水浴」、下の絵です。
アニエールは日に当たっていますが、グランド・ジャットは日陰です。アニエールは汚れのない未来、グランド・ジャットはブルジョワの腐敗を表しているそうです。ス-ラさんも出てきたのでちょっと寄り道してしまいました。
次は金子光晴さんと奥様の森三千代さんです。金子光晴さんは詩人ですがお小さい時から絵がお上手で東京美術学校日本画科を中退されています。どんな絵を描かれたのかと思ってまた本を借りました。
「金子光晴 旅の形象」 図書館資料 請求番号:911.5/カ
こちらの絵は岡鹿之助さんの「ラヴェル礼賛」です。ラヴェルが亡くなられた後に描かれた渾身の作だそうです。本には4回描きなおされたそうですが、戦争で作品は行方知れずと書いてありました。ネットで検索すると上の絵が出てきたので、3作目か?どうか私にはわかりません。ラヴェルに感謝の気持ちを伝えたかった思いのこもった作品です。
数えきれないぐらいの登場人物です。画家、音楽家、作家、詩人、ダンサー、哲学者、映画に関係している方、本当に沢山の芸術家。映画「アンダルシアの犬」を観たいと思ってアマゾンプライムで検索したらなくて「パリの空の下」があったので観ました。
こちらは音楽だけです。パーシーフェイスオーケストラの演奏です。
パリについて書かれたのをメモしていました。金子光晴さんが書かれたものです。
「惚れ込んでいるあいだは世界の花の首都であるが、嫌気がさしたら、売春の巷であり、目先の流行をつくりだすだけの浅墓な、そのうえ、吝嗇(けち)で勘定だかい、どこまでも小理屈で利害を守ろうとする、似而非才子佳人(えせさいしかじん)の腹ぎたない、見かけ華美な人間たちのうようよしている偽善の街に面変わりする」
そんな一面もあるパリに憧れて沢山の日本人が留学し功績を残しました。当時船で何日もかかって、費用もずいぶんかかったと思います。沢山の芸術家を、哲学者をこの本で知りましたが、またいつか違う本で出会うかもわかりません。その時は懐かしく思い出すのかそれとも忘れているのか。この本は私には難しすぎました。
2021-6-23 図書館資料 請求番号:913/キヨ1,2