BBC Health Watcher

主にBBCニュースの記事で気になる医療・健康の話題についてのコメント

自殺の原因

2010-07-06 10:20:21 | 医学情報と健康
韓国の自殺率は、世界第1位とのことである。
しかし、日本も対岸の火事とは出来ない、世界第3位である。

自殺をいかに防ぐのかという問題に対し、フィンランドの調査報告が
一つの参考になると考えられる。

20世紀、フィンランドは自殺率が世界でもっとも高い国の一つであった。
産業化と都市化が進んだ1965~90年までの25年間で、
フィンランドの自殺率は3倍に拡大した。

原因は、地理的に極地にあるため冬が長く、太陽を見る機会が少ないことや、
人口密度が低く市民同士の交流が少ないため、
孤独感を感じやすいことなどが理由考えられたが、結局、特定できなかった。

そこで、世界初となる国家主導の「自殺予防プロジェクト」を発足させた。

プロジェクトの第一段階として、1337人の自殺者を詳細に分析する
「心理学的解剖(=自殺前の行動、周辺人物への綿密なインタビューなど
を通じて原因を探る作業)」を実施した。
 
その結果、 心理学的解剖により、自殺者の3人に2人が生前にうつ病を患
(わずら)っていたことが判明した。

更に、病院の診断記録によると、その15%しか抗うつ治療を受けておらず、
他の多くは自分がうつ病を患っているという自覚がないまま、
あるいは自覚しつつも適切な治療を受けないまま死に至っていること
も判明した。

この問題を解決するため、フィンランド政府は保健所や病院に通う
精神科以外の一般外来患者にもうつ病検査を実施し、
うつの兆候や自殺願望の有無を血圧や血糖値の検査と同じように
周期的にチェックすることによって、
潜在的なうつ病患者の早期発見を実施した。
 
更に、自殺する人たちの大半が、自殺前に家族や親戚たちに
何らかのシグナルやメッセージを発していることもわかった。
 
これらのことから、プロジェクトはカウンセリングと投薬治療を提供した。
その結果、たとえカウンセリングが受けられなくても、
投薬治療だけでかなりの自殺予防の効果があったという。

これからは、うつ病を患う人を、奇異な目で見るのではなく、
寛容に受け入れ、支援する社会体制が必要と考えられる。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿