しましましっぽ

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「東亰異聞」 小野不由美 

2013年01月29日 | 読書
「東亰異聞」 小野不由美          新潮文庫

帝都・東亰、その誕生から二十九年。夜が人のものであった時代は終わった。
人を突き落とし全身火だるまで姿を消す火炎魔人。
夜道で辻斬りの所業をはたらく闇御前。
さらには人魂売りやら首遣いだの魑魅魍魎が跋扈する街・東亰。
新聞記者の平河は、その奇怪な事件を追ううちに、鷹司公爵家のお家騒動に行き当たる…。
   <文庫本裏カバーより>




舞台は東京ではなく東亰(とうけい)。
明治29年の物語。
始めの怪奇な事が起こる街の様子は、日本の妖怪話。
人が死んでしまうので、のっぺらぼう的な怖さよりも残忍だけど。
その原因が、鷹司家の相続争いかと予想して探るあたりは推理物。
探偵役の新聞記者、平河新太郎は少々頼りなく、ワトスン役かと思った万造が鋭い指摘をする。
それは後で役割が違ったとわかるのだが。
鷹司の常(ときわ)と直(なおし)の物語は、少々中だるみの感じもあるが。
というか、考え方とそれを実行するための行動に納得がいかない。
そこも、呪いが入り込んでいたからと理解しなければならないのか。
それが根底にずっとあったのだから。
終結に向けて、輔(たすく)が登場して、出だしの雰囲気に戻る。
これは、『幻魔大戦』を思い起こさせる。
この世の中、住んでいるのは人間だけではない。
そして、今世界を支配している人間が、いつまでも支配し続けられる訳ではない。

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