しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「その犬の歩むところ」 ボストン・テラン 

2017年10月07日 | 読書
「その犬の歩むところ」   ボストン・テラン   文春文庫   
 GIV                      田口俊樹・訳

イラクから帰ったばかりの元アメリカ海兵隊員のディーン・ヒコック。
心に深い傷を負った彼が暴風雨の夜に出会った瀕死の犬ギヴ。
ギヴは‟生きたいと強い意志“‟身も心も自由になろうとする固い決意”‟究極の善良さ“を持っていた。
これはディーン・ヒコックが語る、ギヴが出会った人々の物語。

アンナ・ペレナが経営するモーテル〈セント・ピーターズ〉に1匹の老犬が辿り着く。
アンナはハンガリー動乱で国を追われアメリカに来ていて、この時47歳になっていた。
ボロボロの首輪にあった文字からギヴと呼ぶことに。
ギヴは、アンナの犬のエンジェルとの間に子どもが生まれる。
手元に残した子犬は、ギヴとよく一緒にいた。
ギヴが死ぬと、アンナは子犬に父親と同じ名前を付ける。
モーテルに音楽をやっているジェムとイアンの兄弟がやって来る。
19歳と18歳の兄弟は親から逃げるように離れて、音楽で身を立てる場所を求めていた。
2人には犬に対して辛い思い出があった。
イアンがギヴを気に入り、それに気が付いたジェムは、モーテルを出発する時、ギヴを盗んで行く。







犬が主人公の物語はいくつか読んでいる。
そのどれもが、犬は優しく忠実だ。
しかし、それに値しない人間が登場して犬の歩む道を困難にする。
それぞれの人間たちのドラマと、ギヴとの繋がりで、よりドラマチックな物語が展開する。
それぞれの登場人物にドラマがある。
世の中で起こった事も盛り込まれる。
しかし、ギヴにとってすれば、盗まれずにずっとアンナといれば平穏でゆったりとした日常を送れただろうに。
お互いが愛情を対等に与え合える人もいるのに、邪魔する人もいる。
人間次第か。

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