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しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「検察官の遺言」 紫金陳

2025年03月27日 | 読書
「検察官の遺言」 紫金陳   ハヤカワ・ミステリ文庫  
                       大久保洋子・訳

2013年3月2日、中国江市地下鉄1号線の入口のセキュリティチェック。
スーツケースを引いたボロボロのジャケットを着た男がチェックを拒み、騒ぎを起こし取り押さえられる。
そのスーツケースの中には全裸の死体が入っていた。
スーツケースを持っていた男は刑事事件専門の有名な弁護士・張超(ジャン・チャオ)。
死体は張超の教え子だった、元検察官・江陽(シアン・ヤン)。
張超は自分が争いごとから江陽を殺した事を認める。
取り調べにも協力的で、供述と証拠も完全に一致した。
しかし初公判で張超は突然自供を覆し潔白を訴える。
犯行を認めたのは大きな圧力を受けた為で、自分はその時北京にいたと完璧なアリバイも示す。
裁判官は事実不明瞭として審理を一時停止し、警察に再調査を命じる。
江陽の事を調べるうち、侯貴平(ホウ・グイピン)の名が登場する。
侯貴平は張超の教え子で、江陽の同級生だった。






素直に殺人を認めていて、証拠も揃っていた男が裁判で覆す。
そんな面白い事から始まる物語。
警察の協力者として、『悪童たち』の厳良(イエン・リアン)が登場して、何か嬉しい。
『知能犯の罠』の高棟(ガオ・ドン)も登場、こちらは相変わらずな感じ。
現在の話と、2001年の侯貴平の物語が交互に書かれ、読者の自分たちは警察より先に2つの事件の繋がりを知り事になるのだが。
それがどう繋がって、そうなって行くかは、また色々と考えられていている。
権力を持って思い通りにしようとする側と、普通の正しい心を持った側の戦い。
その戦いに勝つためには、どうしたらいいのか。
あまりにも力の差があって、正当に攻めても勝ち目のない普通の心を持った人たち。
それでも社会的な地位はあるのでそれを使って、と言う事になる。
そんな戦う人々の物語だがかなり辛辣になる。
あまりにも理不尽なことだらけで、落胆したり憤ったりとすっかり物語に引き込まれていた。
ラストの1行は意味不明だったが、解説を読んでモデルがあった事を知る。
こう言う事は中国だから、というだけでないだろう。
日本も。

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