しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ベスファストの12人の亡霊」   スチュアート・ネヴィル

2012年05月24日 | 読書
「ベスファストの12人の亡霊」   スチュアート・ネヴィル     RHブックス+プラス
  THE GHOSTS OF BELFAST      佐藤耕士・訳

かつて北アイルランド共和派のテロ実行役として恐れられたフィーガンは、和平合意後、酒に溺れる日々を送っていた。
彼を悩ませるのは、常につきまとって離れない12人の亡霊。
すべてテロの犠牲者だった。
その苦しみから逃れるため、フィーガンは亡霊たちが指差すままに、テロ工作の指令を出した昔の指導者や仲間をひとり、またひとりと殺していくしかなかった。
彼の不可解な連続殺人が、危うく保たれていた各勢力の均衡に大きな亀裂を生じさせることに!
     <文庫本裏カバーより>






自分が殺した人間が、亡霊となり自分のそばにいる。
その亡霊が、結構存在感があり、迫力がある。
その様子がとてもリアルに感じられる。
手を下した人間ではなく、その命令系統に復讐しようとする。
殺された人間の恨みの大きさ。
そんな設定が、凄かった。
しかし、自分の死を原因を探れば、関係している人間はもっと出てくるような気がするが。
裏切りや策略が蔓延している時代。
カトリックとプロテスタントの対立や、政治的な対立。
社会が悪い、とも言える。
復讐を果たした亡霊は消えて行くが、実際に手を下した人間は許されるのだろうか。
恨みを果たした亡霊たちは、消えて天国に入れたのだろうか。
そんなことが気になっていた。
恨みの大きさを考えたら、手を下した人間が許されるとは、思えなかった。
最後、激しいせめぎ合いの後に本当のラストが。
やはりそうなるかと思ったら、『慈悲』が。
何でも、子どもの力は大きいのだ。


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