しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ちくま日本文学  泉鏡花」     泉鏡花  

2012年09月09日 | 読書
「ちくま日本文学  泉鏡花」     泉鏡花      筑摩書房

「雛がえり」
昔見た母親の雛飾りを、ふと旅先の静岡で見た気がする。

「国貞えがく」
国貞を錦絵を、自分の我が儘で売ってしまった。
が、それを取り戻して、預かってくれた平吉。
しかし、返してくれと行っても、言葉を濁して、なかなか返そうとはしない。
ふと、平吉の周りにいる女たちが、その絵に似ていることに気が付く。

「三尺角」
木材に葉が茂ると願いが叶うと、病に伏せる娘が言う。
孝行者の与吉が切っていた材木に、一陣の風が吹き、何かが起こった。
そして、「材木に葉が茂った」と叫ぶ。

「高野聖」
山奥深く、白痴の子と暮らす、美しい女。
女は旅人を動物に変えていた。
女の手に触れられても、動物に変わらなかった坊主。高野山に席を置く旅僧だった。

「山吹」
人形使いが昔、女を傷つけたことがある。
その償いとして、女に打たれたいと思っていた。
ある日、何でも願いを聞いてあげるという女が現れ、人形使いは、打たれることを望む。

「天守物語」
姫路城の天守の主、妖怪の富姫。
手鞠を持って遊びに来た、亀姫のお土産に、城主の白鷹を捕える。
天守に消えた白鷹を取り戻すため、命じられて天守に登る、鷹匠の姫川図書之助。
富姫は図書之助を好ましく思い、生きたまま返す。
しかし、謀反人の罪を着せられた図書之助は、人の手で打ち取られるより、富姫の手に掛かろうと天守へ向かう。


「縁結び」
故郷で講演をした清川謙造は、その夜の宴会で昔隣にいた姉さんと良く似た人お君に出会う。
それは百人一首の絵札にも似た人だったが、謙造が10歳にもならない時に産後に死んでいた。
次の日訪ねて来た、お君はその人の娘だった。
自分の出生や母親を知らなかったお君に、謙造は、自分の知っていることを伝える。

「歌行燈」
桑名に来た年は62、3の弥次喜多を模した2人さん。
上旅籠の湊屋に泊まる。
実は、能楽師の恩地源三郎とその連れ。
饂飩屋の門で、三味線を弾いて歌っていた門附は饂飩屋へ。
門附は恩地源三郎の甥の喜多八。
按摩の歌をやり込め、その按摩が悔しがり憤死してしまう。
源三郎は怒って、喜多八を勘当した。
桑名で、喜多八は芸が出来ないという芸子、三重に能の踊りを教える。
その子が、人手が足りずに源三郎の座敷に上がり、原三郎は喜多八が近くにいることを知る。

「湯島の境内」(婦系図―戯曲―一齣)
「切れるの別れるのッて、そんな事は、芸者の時に云うものよ。」
お蔦と早瀬の別れの場面。






泉鏡花は名前は勿論知っている。
映画で見たり、先日舞台で「天守物語」も観た。
しかし、きちんと読むのは初めて。
天守物語が戯曲ということも知らなかった。
幻想的な世界が広がると言われるが、妖怪や不思議な話で雰囲気がある。
ユーモアもある。
しかし、ストーリーは追っていても、ラストがよく分からないのは、困ったものだ。
理解の前に表現に馴染んでいないからなのか。
「歌行燈」のラストが、はっきりしない。

日本語も、こんなに変化しているのだと、改めて思う。
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