しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「虚ろな十字架」  東野圭吾 

2014年09月23日 | 読書
「虚ろな十字架」  東野圭吾   光文社    

中原道正は警察から別れた妻の浜岡小夜子が自宅近くで刺殺されたと知らされる。
中原は11年前に8歳の娘、愛美が殺され、それが関係して妻と別れることになった。
小夜子を殺した犯人は、まもなく自首して金銭目的で襲い刺し殺したと言う。
町村作造と名乗る老人だった。
しかし、何か釈然としないものがあると言う。
小夜子は、離婚後フリーライターになっていて、犯罪についてのレポや、犯罪被害者を支援する活動をしていた。
中原は、小夜子の取材が、愛美の裁判にも向けられていたことを知り、後を追うように関係者に会って行く。
そして、ある事実を掴む。







とても難しいテーマ。
死刑制度について。贖罪について。

物語には2つ、いや3つの殺人が起こり、それについて書かれる。
人間の命を絶つことの行為は許されることではないのだが。
その理由や状況が違えば、心情も変わり、刑罰をどうするか違って来る。
遺族にとっては納得できないことも当然起こる。
どちらが正しいとか、間違っているとか、絶対と言う結論は出ない。
『目には目を、歯には歯を』で、人の命を奪ったなら命で償いのは当然という思いもあるが。
それほど単純にはならない。
勿論冤罪もある。
過失致死と言うのとらえ方が難しい。
人が人を裁くこと、人の気持ちを知ることの難しさ。

これは罪を犯した者と被害者の両方の立場から、どちらかに肩入れすることなく書かれた物語。
そんな重いテーマに中にも謎解きの面白さもある。
ただ主人公が警察がより先に犯人にたどり着くのが少々不自然な感じがするが。
そうでなければ、書けない展開だから仕方ないのか。

よくプロローグがあって、それが後で分かってから‟ああそうだったのか“と気が付く。
本来ならもっと早く気が付いてもいいのに、プロローグでの事を忘れている。
今回もそう。
しっかり名前も出ているのに、それが直ぐに結びつかない。
記憶力が悪いだけか。
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