しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「潜伏者」  折原一  

2013年07月30日 | 読書
「潜伏者」  折原一         文藝春秋

8年前、埼玉県久喜市で、 少女が連続して失踪する事件が起こる。
6歳の相沢奈美、島村亜衣、矢神沙織の3人。
そのことを書いた小説「堀田守男氏の手②」が、小説春秋推理小説新人賞に応募される。
堀田守男は、失踪事件の容疑者だった。
それを読んだ、ノンフィクション作家の笹尾時彦は、原稿に惹かれる。
犯人の視点から書かれた生々しさが強力だったからだ。
前年度に応募された「堀田守男氏の手①」を探し出した所で、同業者の高島百合子に声を掛けられる。
百合子も同じ事件を追っていると言い、堀田がまもなく出所することを伝える。
堀田は失踪には係っていないと主張するが、別の罪で服役していた。
2人は共同して事件を追い、お互いの情報を交換する取り決めをする。
そして、「堀田守男氏の手」を書いた松谷未来は女で、堀田がいたアパート「なごみ荘」に住んでいることが分かる。








折原さんらしい、叙述トリックが満載。
誰の視点か分からない物もあり、考えながら読んで行く。
失踪している少女がどうなったかも分からないので、答えはたくさんありそう。
しかし、途中で出て来る、死体を砂場に隠すというのは不可能だろう。
砂場は浅いし、砂は少しずつ減って行くから、定期的に足さなければならない。
その他にも、少々突っ込みを入れたくなることもあったが。
犯人捜しは、結構面白い形で進んで行く。
人の好い保育園の園長さんが何度も出て来るので、この辺りに何かありそうだと思いながら。
結末は、それほどあっと驚く感じでもなかったが、何となく納得も出来る。
そう言う気持ちは分かる、というもの。
ただ実際にはこれも不可能だろう。
もっと違う方法があったと思う。
そして、殺人の動機としては、短絡過ぎて弱い。
起承転結で言えば、承転が良かった。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「エアーズ家の没落」 サラ... | トップ | 「水の柩」   道尾秀介  »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事