しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「クリスマス・プレゼント」 ジェフリー・ディーヴァー

2008年03月21日 | 読書
16編からなる、ディーヴァー初の短編集。

「ジョナサンがいない」
ジョナサンがいないことに慣れようとしているマリッサ。
マリッサが会う約束をしていた男は、会う前に仕事がひとつあると言っていた。
その仕事とは殺人だった。

「ウィークエンダー」
コンビニ強盗をしたジャックとトス。トスが客に発砲して殺してしまう。
2人は人質をとって逃走する。
その人質のウェラーが色々と話しかけてくる。

「サービス料として」
有閑マダム相手の精神分析医、ハリー・バーンスタイン。
しかし、本当にやりたいことは重い精神病患者の治療だった。
ある日、父親の幽霊の声が聞こえるというパトリシア・ランドルフ夫人がやって来る。
パトリシアの異常な症状は段々重くなり、ついには夫を殺してしまう。
夫人は精神障害と診断されたが。

「ビューティフル」
特別の美貌を持つスーパーモデルが選んだ、究極のストーカー撃退法。

「身代わり」  
夫の浮気を知り、夫を殺そう計画したキャロリン。
しかし、それには罪を被ってくれる身代わりが必要だった。
キャロリンは知り合った男に白羽の矢を立てる。

「見解」  
ハイスクール時代に苛められたネイトは、大人になってから町に戻ってきた。
町の保安官助手のエドとボズはネイトを苛めた側。
ある強盗事件の解決にネイトを利用しようとする。

「三角関係」
ピートはモーが自分の父親と不仲なのが不満だ。
そして、ピートはモーが自分に隠れて新しく恋人を作ったと思い込む。
ピートはモーの恋人を殺そうと計画する。

「この世はすべてひとつの舞台」
チャールズ・クーパーはある日、自分の父親が罠に嵌められて殺されたことを知り、復讐をくわだてるが、相手は町の顔役だった。
復讐を成功させるに方法はあるのか。
クーパーの友人の劇作家シェークスピアが力を貸す。

「釣り日和」
エリートのアレックスの精神安定剤は釣り。
しかし、その日娘のジェシーは釣りに出かけることを不安がる。
アレックスは誰もいない釣り場で一人の陰気な男に出会う。
そして、地面に捨てられた紙を見つける。それは近くで起きている連続殺人の情報を求める張り紙だった。

「ノクターン」
バイオリンを盗んで逃げた少年を追いかけたトニー・ビィンチェンツォ巡査。
盗んだ少年の目的は。
盗られた音楽家はストラディヴァリウスだと言ったが、そのバイオリンは。

「被包含犯罪」
今までも罪を犯しているが、裁判では無罪になるハートマンという男。
今度の殺人も明らかなのに、金で買収した証人が登場して逃げられそうだ。
ダニー・トリボウ検事は今度こそ負ける訳にはいかなかった。

「宛名のないカード」
妻が浮気をしていると疑う夫。その証拠は宛名もメッセージも書かれていない封がされた赤いクリスマスカードだという。
妻は封がされたのは雪で濡れたからだという。

「クリスマス・プレゼント」
リンカーン・ライムとサックスが登場。
母親が行方不明になったと探す娘の手助けをする。

「超越した愛」
マコーンは自分とアリスンとの間にあった愛について語る。
2人の愛の障害になったのは、アリスンの父親だった。

「パインクリークの未亡人」
夫を亡くし事業を引き継いだ未亡人。しかし会社の経営は行き詰っていた。
そこに現れた男は、会社を救う手助けをするというが、詐欺師なのか?

「ひざまずく兵士」
ストーカーに狙われている娘を守るためなら、そのストーカーを殺しても構わないというロン。
実際にそのストーカーが殺される。
ロンは殺していないと言うが、それでは犯人はだれなのだ。



短編集も面白かった。
何を信じていいか分からなくなるドンデン返しの数々。
ディーヴァー自身のまえがきにあったが、「長編の結末は善が勝利するようにしている」と。
やはりこの方が後味はいいので、自分もその方が好きだ。
しかし「短編は事情が違う」ので、悪が勝つノアールも登場。
それでも、その背景には理由があり完璧な悪ではないので、何かしら救いを感じるものが多い。
ちょっと例外もあるけれど。
普通に見えて心に闇を抱えている人物の登場も多いが、これはあっと言わせるにはいいキャラクターだからだろう。
短編でも趣向を凝らした、あっと驚きを含んだ物語で、物足りなさは感じられない。
ライムとサックスの登場するのもあり、嬉しい。
クリスマスということで、トムがリンカーンの車椅子にリースを飾っている。ライムはそのことを娘から聞いて知る。筋には関係ないが、そんなところも面白かった。

充分楽しめた短編集。

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