しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「天下城」 佐々木譲 

2015年06月08日 | 読書
「天下城」   佐々木譲    新潮文庫  上・下巻

石積の穴太衆の親方の一人、戸波市郎太は信濃の佐久の出だった。
13歳の時、武田軍に攻められ志賀城が落ち、従兄の辰四郎と共に甲斐と武蔵の国境にある黒川金山に売られる。
16歳の時に、戦に駆り出されそれを好機に逃げ出す。
辰四郎は、侍として武田を倒す道を選び、市郎太は兵法者、三浦雪幹の弟子になり諸国を回る。
戦で落ちぬ城を作りたいと言う思いを持つが、学びの途中で雪幹は亡くなりその道は断たれる。
市郎太はひょんなから、穴太の親方、戸波作兵衛と知り合い、石積の仕事を手伝う。
そして、弟子となり石積の技を身に付けて行く。
やがて、市郎太の作る石積は、城の様相を変えて行く。
織田信長は安土城の石積を市郎太に任せる。








戦国時代の城がどう変化していったか。
鉄砲の出現と共に、変化して行った戦い方と城の作り。
そんな様子も良く分かり、面白かった。
石積みと言うと、まず思い浮かべるのはお城の石垣だったが、その他にも色々とある事も。
市太郎から見た戦の様子も今までの時代物とは少し違った感覚。
学ぶ道を選んだ市郎太の、美しい物や芸術を愛する気持ち。
安土城が焼かれた時、 “こんなに美しく素晴らしい物を壊してしまおうとする人がいる”事が信じられなかったのだろう。
そう言う感覚を持っていれば、争いは起こらないのかも知れない。
たった3年で焼失してしまった安土城。
これを読んでいて見てみたいと思った。
そして、元々お城好き・石垣好きだが、もっと石垣が好きになった。
石橋も同じ様に好きだが、この話に出て来る、アーチ型は石橋に共通する事なのだろう。


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