しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「くらのかみ」 小野不由美 

2007年04月05日 | 読書
小学6年の耕介は「ハンコ屋」を営む父親と2人暮らし。
夏休みに入ってすぐに2人は「本家」を訪ねることになる。
「本家」とは、死んだ母親の実家の親戚で、耕介の大伯父が会いたがっているというのだ。
その家は、四方を山に囲まれた山の麓にあり、城のような石垣の上に大きな瓦屋根がぎっしりと並んで続いていた。
古くて厳しく、時代劇に出てきそうな立派なお屋敷だった。
「本家」には耕介とは面識のない親戚が集まり、大人達は何やら話し合いを始め、子ども達はすぐに仲良くなる。
本家の三男、大人の仲間にはまだ入れてもらえない大学生の三郎から不思議な「四人ゲーム」を聞いた子ども達は、早速土蔵に行って「四人ゲーム」をしてみる。
「四人ゲーム」それは真っ暗にした部屋の四隅に4人の人間が立つ。
そしてひとりが壁伝いに歩いて隅にたどり着いたら、そこにいる人の肩を叩く。
叩かれた人は同じように壁伝いに歩いて、3番目の隅にいる人の肩を叩く。そうやって順番に肩を叩きながら部屋をぐるぐるまわるという遊び。
しかしこれは成立するはずのないゲーム。だから「四人」は「しびと」と読むのが正しいのだと。
しかし、子ども達のゲームは成立した。始める前は4人だったのに、いつの間にか5人になっていたのだ。
誰が増えたのか、本当に最初は4人だったのか、誰も分からなくなっていた。
そして、大人達にも不思議なことが起こる。

かつて子どもだったあなたと少年少女のための―“ミステリーランド“の1冊


物語の始まりは「四人ゲーム」。もうそこから面白かった。
遊んでいるうちにひとり増えるというのは、座敷童子の話だ。
古い屋敷なので、そんな怪奇な伝説や底なし沼といった環境で雰囲気は盛り上がり、そして、現実の欲に絡んだ話もあり、犯人当ての推理もあり、盛りだくさんなのに違和感なくまとまって、面白かった。

小野不由美さんの「十二国記」は大好きだが、他はタイトルからして怖そうで読んではいない。
これは子どもも読める本だから大丈夫だろうと思い、手にする。
座敷童子の話はこんな風に使えるのだと、感心した。面白かった。
そして、イラストは村上勉さん、コロポックルを思い出す。でも、この物語にはちょっと合っていなかったような気がするが。
他の小野さんの本も読んでみたいと思うが、怖くないかな?

そうだ、小野不由美さん、「十二国記」の続きを書いてください。あれはまだ終わっていません。
戴国はどうなるのですか。泰麒もなんとかしてあげてください。
とここで訴えてもどうにもなりませんが。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「夜のピクニック」 恩田陸  | トップ | 「デッドマン」 1995米 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事