しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「忘れられた花園」  ケイト・モートン 

2018年05月20日 | 読書
「忘れられた花園」  ケイト・モートン   東京創元社    上・下巻
 THE FORGOTTEN GARDEN               青木純子・訳

1913年オーストラリアの港に着いたロンドンからの船。
すべての乗客が去った後、小さなトランクとともにたったひとり取り残されていた少女。
トランクの中には、お伽噺の本が一冊。
名前すら語らぬ身元不明のこの少女をオーストラリア人夫婦が引き取り、ネルと名付けて育て上げる。
そして21歳の誕生日に、彼女にその事実を告げた。
ネルはその日から過去の虜となった・・・・・・。
時は移り、2005年、オーストラリア、ブリスベンで年老いたネルを看取った孫娘、カサンドラは、ネルが自分にイギリス、コーンウォールにあるコテージを遺してくれたという思いも寄らぬ事実を知らされる。
なぜそのコテージはカサンドラに遺されたのか?
ネルとはいったい誰だったのか?
茨の迷路の先に封印され忘れられた花園のあるコテージはカサンドラに何を語るのか?
     <上巻カバー見返し側より>

2005年、オーストラリアのブリスベンで祖母ネルと暮らしていたカサンドラは、亡くなった祖母からイギリス、コーンウォールの崖の上にあるコテージを相続した。
1975年になぜネルはそのコテージを買ったのか?
ネルの書き残したノートと謎めいた古いお伽噺集を手に、カサンドラはイギリスに渡った。
今はホテルになっているマウントラチェット家の豪壮な屋敷ブラックハースト荘、その敷地のはずれ、茨の迷路の先にあるコテージが彼女のものとなったのだった。
カサンドラは、コテージの手入れを進めるうちに、蔓植物に埋もれるようにして閉ざされ、ひっそりと忘れられた庭園を見出す。
封印された忘れられた花園が彼女に告げる驚くべき真実とは?
ネルとはいったい誰だったのか?
そしてブラックハースト荘の秘密とは・・・・・・?
     <下巻カバー見返し側より>








イライザ、ネル、カサンドラと3人に女性の物語が語られて行く。
物語の舞台になるのは、イギリスの崖の上にあるコテージとそれに続く閉ざされた花園。
そして、挿入されるお伽噺。
雰囲気満点の中で、謎が少しずつ明かされて行く。
『秘密』を先に読んだ。
似たような構成だがこちらの方が面白かった。
発端となる、イライザの物語が中心にある。
ネルやカサンドラが知る事がなかったことも、自分たちは知ることが出来る。
登場人物は癖があり、誰かに感情移入が出来る感じでもなかったのだが、それぞれが個性的。
みんな生きる為に必死になっているのが伝わる。
必死過ぎて怖くおぞましいことも、なんの迷いもなく行動してしまう。
そんな時代。
みんな自分の責任で自由に生きていたということか。
イライザがスウィンデルの所を出て行く時、お母さんの形見を忘れる。
「おーい、忘れているよー」と呼びかけたくなったが、後でそれが大きな影響を与えるなんて。
しかし、その前に大人になっていたのだから、もっと早く取りに行けば良かったのに。
そんな事を残念に思った。
苦労して来た人だから、その分もっと上手く行ってもいいのに。
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