しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「空襲警報」  コニ-・ウィリス  

2016年05月10日 | 読書
「空襲警報」  コニ-・ウィリス   ハヤカワ文庫SF  
 ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィルス          大森望・訳

5編からなる短編集
シリアス系短篇から、ヒューゴー賞/ネビュラ賞受賞作のみ全5篇を収録した傑作選。

「クリアリー家からの手紙」 A Letter From the Clearys
郵便局に、クリアリー家からの手紙があったのを見つけた私は、それを持って帰って来る。
しかし、その事が家族に波風を起こす。

「空襲警報」 Fire Watch
前は「見張り」と言うタイトルだったもの。
オックスフォード大学の史学生がタイムトラベルで過去へ行く初めての物
オール・クリアに名前が出て来る、ジョン・バーソロミューが空襲のセント・ポール大聖堂へ降下する。

「マーブル・アーチの風」 The Winds of Marble Arch
20年ぶりにロンドンにやって来た、トムとキャス夫婦。
キャスは地下鉄を嫌って乗らない。
一人地下鉄に乗ったトムは突然突風と臭いを感じる。
それが自分だけと気が付き、その理由を捜そうとする。
そして、それは空襲と関係があるのでは思う。

「ナイルに死す」 Death on the Nile
3組の夫婦で、ナイルに旅をする。
私、ゾーイ、リッサとその夫。
ゾーイは観光ガイドブックを読んで、独自の観光案内をする。
リッサは私の夫のニールにべったり。この旅行中に決定的な言葉が飛び出すのではと不安を感じている。
雲の中を飛ぶ飛行機で、実は自分たちはもう死んでいるのではないかと思う。
私は途中で『ナイルに死す』の本を買って持っている。

「最後のウィネベーゴ」 The Last of the Winnebagos
RV車を禁止していない州は4つだけ。
その車を取材で撮影しに向かう途中の道で、ジャッカルが死んでいるのを見付ける。
私は匿名で公衆電話から動物愛護協会にその事を知らせる。
すでに犬が絶滅しているので、協会は動物の死に敏感になっている。
犬の絶滅は新型パルボによるところが大きかったが、私は15年前に自分の犬アヴァバンを轢かれて喪っていた。







コニ-・ウィリスの物語は、始めはどんな物語なのか見当が付かない事が多い。
それは短編も同じ。
あまり面白くないやり取りや、意味が良く分からない行動にゆっくりと付き合って行く。
そして、少しずつ状況が分かって来くる。
その世界は終末の未来の事が多いが。
分かってからじわじわと面白くなり、ラストで驚かされることも。
最後まで、この解釈でいいのかなと思うのもあるけれど。
「空襲警報」は、前にも読んだが、今回は「ブラックアウト/オール・クリア」を読んだ後だけに、その時間のポリーたちが浮かぶ。

「最後のウィネベーゴ」は、最後があんな話になるとは思わなかった。
この世界では犬が絶滅し、バーソロミューの時代には猫が絶滅している。
そんな時代が来ませんように。
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