しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「風の墓碑銘(エピタフ)」 乃南アサ  

2007年01月18日 | 読書
墨田区東向島、解体工事中の住宅跡から、白骨死体が発見される。
発掘作業を進め、死体は大人が2体と子どもが1体と確認される。
死後15年から25年、時効は25年と変更になったばかりだったので、殺人事件として捜査されることになった。
隅田川東署に勤務する、音道貴子刑事と玉城刑事は白骨死体の身元調査にあたる。
住宅は借家として使われていたが、年数が経過している為、住んでいた人ははっきりしなかった。 
住宅の持ち主の今川篤行老人は認知症だが、時々昔のことを思い出すことあるというので、音道と玉城は今川老人のもとに足しげく通っていた。
その今川老人が撲殺される。
葛飾区金町署に勤務していた滝沢刑事は「今川老人殺害事件」の応援の為、隅田川東署に出向し、音道刑事と組むことになる。



「凍える牙」でコンビを組んだ、音道刑事と滝沢刑事がもう一度コンビを組む。
その間にも二人の接点はいくつかあり、その物語も面白かったが、今回もこのコンビに楽しませてもらった。
滝沢刑事がすでに音道刑事を認めているのは以前の物語から分かってが、音道刑事は知らない。そのギャップがまた面白かった。
事件そのものも、過去の事件がはっきりして行く過程や、登場人物の心の動きなど丁寧に書かれていて、結構感情移入していた。
そして今回の犯人の生き方が結構興味深かった。ふと「白夜行」の雪穂を思い出した。
犯人の生きてきた道は最後にわかり、あっさり書かれているが、この人生だけでもひとつの物語になる。この人物を主人公にしたら、雪穂のような物語になると思った。
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