しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ラットマン」  道尾秀介 

2015年01月28日 | 読書
「ラットマン」  道尾秀介    光文社  

姫川亮は高校時代に結成したバンド『Sundowner(サンダウナー)』を30歳の今も続けていた。
姫川はギター、ベースは谷尾、ボーカルは竹内、ドラムはただ一人に女性で小野木ひかり。
2年前、ドラムだけ小野木の妹の桂にバトンタッチしていた。
練習場所は、ジャズをやっていた小野木の父親の友人の野際が経営するスタジオ。
ひかりはそのスタジオを手伝っていた。
姫川とひかりは高校2年の時から付き合っていたが、結婚には踏み切れないでいた。
それは姫川が子どもの時に起こった事が影響していた。
それは当時小学3年だった姉の塔子と、父親をほぼ同時に喪った事。
しかし、その事は誰にも言えずにいた。
そして、姫川は桂に惹かれ始めている事を自覚していた。
そして、スタジオで練習中、倉庫でひかりが死亡する事故が起こる。
それは事故のように思われたが。









「ラットマン」とは、心理学の中での話し。
2列に5つの絵が並んでいる。
上段は人の顔の列、下段は動物。
5つ目の絵は同じ物だが、上段だとおじさんの顔に見え、下段だとネズミに見えると言う物。
おじさんだと言ってしまえば、おじさんにしか見えず、ネズミと言ってしまえば、ネズミにしか見えない。

これはそんな思い込みの物語。
過去と現在で2つの死亡事件が起こり、それが周りの人の思い込みで本来と違った姿を見せて行く。
どうも、こちらの筋の方が強く打ち出され、登場する人物が薄い感じがする。
魅力的な人物もいない。
言葉で高校時代からのバンド仲間と紹介されているからそうなのかと思うけれど。
そう言う空気感はあまりない感じ。
そして、過去の事件は少々こじつけの感じも。
30にもなる大人が、1度も自分の戸籍を見た事がないなんて、あるのだろうか。
袖口の汚れに対しても、そんなに敏感になるだろうかと言うのもある。
しかし、思い込みの怖さは分かる。
勝手に相手の気持ちを分かった気になって、そう信じる人。
それがプラスのことならまだいいが、マイナスだととんでもないことになる。

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