しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「砂漠のゲシュペンスト」 フランク・シェッツィング 

2010年02月05日 | 読書
「砂漠のゲシュペンスト」 フランク・シェッツィング  上/下巻  ハヤカワ文庫NV
  DIE DUNKLE SEITE    北川和代・訳

1991年、湾岸戦争の末期。三人の傭兵がクウェートの砂漠で戦闘機に襲われ、瀕死の状態に陥った仲間を二人が置き去りにした。
そして8年後、ケルンで青果店を営むエスカーの惨殺死体が発見され、メネメンチ警視正が捜査を開始する。
その二日後、女性探偵ヴェーラの事務所にバトゲという男が現われ、旧友のマーマンを探してほしいと依頼する。
バトゲは、マーマンに見つけられるよりも先に彼を探し出したいと望んでいた…。
   <文庫本上巻裏カバーより>

バトゲに渡された写真から、ヴェーラは意外な事実を知った。
問いつめる彼女に、バトゲは秘密を語る。
彼とマーマン、エスカーは傭兵として湾岸戦争で戦ったが、砂漠に置き去りにしたマーマンが復讐のためエスカーを殺し、自分も狙っているというのだ。
メネメンチの捜査が難航する中、しだいにバトゲに魅かれていく彼女はマーマンの調査を進め、やがて驚くべき真相が!
『深海のYrr』の著者が描く緊迫の冒険サスペンス巨篇。
       <文庫本下巻裏カバーより>




『深海のYrr』が面白かったので、読んでみようと思ったのだが。
いまひとつテンポがなく、サスペンスとしては盛り上がりにもいまひとつ。
結構、早い内に真相が推理出来てしまう。
特に意外性もなく、素直に進んで行き、終わる。
推理を楽しむのではないのかも知れない。

物語の中で語られるリアルタイムで見られた湾岸戦争の形。
実際に戦っている相手も見えず、それを信じていいのだろうか、と言うこと。
「写真を信用してはいけない。リアルタイムの映像や、自分の頭で思い描いたイメージを信用してはいけない」、という。
目で見たものを信じろと言うことはあったが、インターネットはフィルターが掛かっている。
それに惑わされてしまうことがある。
と物語の中でもそんな例を示している。
現実に見るという事と、映像を見ていることの違い。
コンピューターに支配されることへの警告が書かれている。

登場する警察官にも2つのタイプが登場。
頭で考え想像しながら推理を組み立てて行くメネメンチ警視正と、実際に調べてその事実を大事にする部下のクランツ。
その対立が面白く書かれている。

しかし、全体的にはやはり、いまひとつ面白くなかった。
主人公のヴェーラが、あまり好きな感じではないのも、その要因かも。
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