しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「SOSの猿」 伊坂幸太郎 

2010年02月06日 | 読書
「SOSの猿」 伊坂幸太郎     中央公論新社

「私の話」の主人公は遠藤二郎。
他人が発するSOSを敏感に感じ取り、助けてあげなくてはと思ってしまう性格。
イタリアのベネチアに留学した時、友人のロレンツォはその性格を見込み、悪魔祓いの神父に紹介する。
二郎は悪魔祓いを身に付ける。
そんな二郎は知り合いの辺見のお姉さんに頼まれ、引篭もりの息子の眞人に会いに行く。
そして、眞人の引篭もりの原因を探ってみる。

「猿の話」は因果関係の物語。
話し手が誰かは分からないが、狂言回しの役割を演じるのは、40歳の五十嵐真。
システム開発会社の管理部門で、ものごとの原因を調べるのが仕事。
五十嵐は、菩薩証券が20分で300億円失った原因を調べに、菩薩証券に赴く。
孫悟空の登場人物が見え隠れしながら、物語は進む。




「私の話」と「猿の話」が交互に書かれる。
共通の話題として「孫悟空」があり、やがて、「猿の話」の語り手も分かりひとつにまとまっていく。
物語というよりも、理論を書き表したもの、という感じ。
「孫悟空」も通り一遍しか知らないので、あまりすんなりと入って来ないが、孫悟空も奥が深いのだろう。
なるほどと、感心したり、納得することもあるのだが、物語としては、何となく中途半端な気持ちが残る。
問いかけられた問題が、これが正解というのがないから。
考え込んで終ってしまう感じ。
考えるための物語なのかも知れない。


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