しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ながい眠り」 ヒラリー・ウォー 

2008年12月15日 | 読書
「ながい眠り」 ヒラリー・ウォー      創元推理文庫
  SLEEP LONG,MY LOVE      法村里絵・訳

1959年2月26日の朝、〈レストリン不動産〉に出社した仲買人ワトリーは、事務所が盗難に遭ったことに気づく。
が、ウィリクス刑事が尋ねると、奇妙なことに盗まれたのは賃貸契約書のファイルだけだったと言う。
そして、同社の貸家の一軒から、胴体だけの女性の死体が発見された。
遺されていたのはスーツケースと、「ジョン・キャンベル」という名前、そしてメモ用紙に筆圧で残った筆跡だけ。
殺されたのは誰か?
そして、殺したのはジョン・キャンベルなのか?
だが、わずかな手掛かりに基づくフェローズ署長の推理は、新たな反証に次々と崩されていく。
行き詰まる捜査陣が掴んだ決め手とは?
フェローズ最初の事件、新訳。
      <文庫本、1ページ目の粗筋より>



分からないことだらけの捜査を、推理を組み立て、人海戦術で当たっていく捜査方法。
1959年が舞台だと、何かを調べるのも大変だと時代を感じる。
しかし、面白かった。
フレッド・C・フェローズ署長とシドニー・G・ウィルクス二級刑事ともやり取りも面白い。
お互いに尊敬しあっている関係が気持ちいい。
最後まで諦めない、フェローズの心意気も好きだ。
小山正さんの解説の中にも取り上げられていたが、フェローズの殺人者に対する気持ちがジーンと来た。
警察の人たちはきっとこんな気持ちで居てくれるのだろうと思いたい。
その台詞、
「警察が殺人者に降参を強いられるたびに、人を殺したいという願望を持っている人間は心を揺さぶられる。
殺人者がつかまって罰せられるたびに、そうした人間の願望は薄らぐ。
つまり、犯人を捕らえることによって、他の誰かの命を救えるかも知れないということだ」

今は意味のない殺人も増えてはいる。
しかしそれだけではないので、少しでも良い方向に行くことを考えたい、と思う

そして、最後まで読まなくても、犯人が閃いて分かったところも、自分には面白かった。
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