しましましっぽ

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「薔薇の輪」 クリスチアナ・ブランド 

2016年02月19日 | 読書
「薔薇の輪」 クリスチアナ・ブランド  創元推理文庫  
A RING OF ROSES           猪俣美江子・訳

ロンドンの女優エステラ・ドゥヴィーニュ。
彼女の人気は新聞に連載されている<スウィートハート日記>に支えられていた。
エステラが17歳の時に生まれた障害を持って生まれた娘、ドロレスの事を綴った日記だった。
ドロレスはウェールズの片田舎のちっぽけな農場で、エステラの友人ローナとビル・キング夫婦と暮らしている。
エステラを女優として育てたのは、バニー・ポール。
赤ん坊のドロレスを連れたエステラと13年前に出会った時に始まり、今では親友で世話係り、秘書でもある。
<日記>も、バニーのアイデアでほとんどは彼女が書いている。
そんなある日、国際電報が届けられる。
それはドロレスの父親、アルフォンソ(アル)・ケンドリックスからだった。
ドロレスが障害を負ったのも、妊娠中にアルが乱暴をしたからだった。
アルはシカゴのギャングで服役していたが、病気で特赦を受け出所し死ぬ前に娘に会いに行くと。
エステラにはアルとドロレスを絶対に会わせたくはない理由があった。
アルと相棒のエルクがエステラと共に、農場に行った日の夜事件は起こる。
アルとエルクが死んで、ドロレスが行方不明になったのだ。
事件をトゥム・チャッキー警部が捜査する。










2人の死の真相と行方不明の少女の捜索。
事件はそうなのだが、それが中心ではない曖昧な雰囲気が漂う。
アリバイトリックを推理で解く場面もあるが。
スイートハートと呼ばれる少女が、日記にあるような愛らしい存在ではない事は直ぐに出て来る。
その他にも隠さなければならないことが、エステラ、バニー、キング夫妻にはある。
それが何かが分からない。
謎の中を進んで行く感覚が興味を引き出す。
そして真相が分かり、物語が一応終わりを見るが。
それが本当に真実だったのか、終わってもすっきりとはしない部分がある。
過去に起こったことも。
友人で新聞記者のジョニー・スミスの気持ちで書かれているラストのこと。
もしその人物評が違っていたらと思ってしまう。
別の物語が見えそうだ。
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