しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「鬼の跫音」  道尾秀介 

2012年01月18日 | 読書
「鬼の跫音」  道尾秀介       角川書店

5編からなる短編集

「鈴虫」
11年前、大学生の時、私は友人のSの死体を埋めた。
それを見ていたのは鈴虫だけだった。

「 (ケモノ)」
予備校生の僕は、家にあった刑務所作業製品の椅子の脚に刻まれた文字を発見する。
「父は屍 母は大 我が妹よ 後悔はない」、そしてフルネーム。
僕はその受刑者に興味を持ち調べ始める。

「よいぎつね」
20年振りに訪れた故郷。
W稲荷神社で行われる伝統芸能「よいきつね」の取材のためだ。
しかし、私は神輿を見るのが怖い過去があった。

「箱詰めの文字」
小説家の僕のもとに、見知らぬ青年が訪ねて来る。
そして、泥棒に入って盗った貯金箱を返しに来たと言う。
押入れにあったという“招き猫”の貯金箱は僕が見たこともないものだった。

「冬の鬼」
1月8日
遠くから鬼の跫音が聞こえる。
1月7日
どんどやの火に達磨を投げ込んできた。
日記に綴ったのは、私とSが幸せになるためのこと。

「悪意の顔」
小学4年生の時に僕が知り合った女性は、不思議な絵が描かれたキャンパスを見せてくれる。
それは、何でも吸い取ってくれると言う。
一度“怖い心”を吸い取ってもらった僕は、次に別のことを考える。






ホラー・ミステリな物語。
はっきりとした結末が付くのか、超常現象で終わってしまうのか。
どちらかと言うと、きちんと結末が付いた方が好きなのだが。
ホラーはそんなにはっきりとはしないもの、と認識しているのだが。
しかし、それはその人の気持ちの問題かも知れない。
結末に、ドンデン返しを持って来たものもある。
以外と驚かないで終わってしまうが、それまでの過程の方が面白い。
1人称の主人公の気持ちが、よく伝わってくる感じ。
「悪意の顔」の、キャンバスの絵に吸い込まれるというのは結構ある話だが、これが1番よかった。

ところで、イニシャルで登場する人物はみんな“S”。
“S”は自分の中では優しいイメージで、あまり怪しい人物な感じがしないので、少々違和感が。


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