しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「クララ殺し」  小林泰三 

2020年07月17日 | 読書
「クララ殺し」  小林泰三  東京創元社 創元クライム・クラブ   

『不思議の国』に住む蜥蜴のビルは道に迷い、『ホフマン宇宙』の世界に行ってしまう。
ビルのアーヴァタールで地球に住む井森健は、『不思議の国』以外の夢を見て唖然とする。
その世界で出会ったのは車椅子の美少女クララと老人のドロッセルマイアー。
ドロッセルマイアーは、ビルに地球で会おうと言っていた。
井森は、その言葉通りに大学の門で車椅子の露天くららと出会う。
おじのドロッセルマイアー教授が、研究所で井森を待っていた。
井森は、くららとドロッセルマイアーのアーヴァタールがホフマン宇宙と地球でそっくりなのに驚く。
井森のアーヴァタールは、蜥蜴で全然似ていないからだ。
クララとくららは共に脅迫状を受け取っていて、すでに命を狙われたと言う。
ドロッセルマイアーは井森に2つの世界での犯人探しを依頼する。
始めは断るが、くららに縋りつくように見つめられ引き受ける。
ビルには捜査の相談役として誰かを付けて貰う事にする。
しかし、くららは罠に嵌って殺され、クララは行方不明になる。







クララと聞くと『アルプスの少女ハイジ』を思った。車椅子にも乗っているので。
クララが鼠に襲われたとあって、『くるみ割り人形』のクララだと知る。
それで『ホフマン宇宙』。
他の物語は全く知らず、最後に解説を読んで分かった事が沢山。
ホフマンは19世紀初頭に活躍したドイツの作家、エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン。
ホフマンの物語の登場人物がたくさん登場して、かなりややこしい展開となって行く。
アーヴァタールもそれぞれたくさんいるが。
アーヴァタールは、どちらが主とかあるのだろうか。
死は連動しているのかと思ったら、違った。
今回は何度も死んだと思って行き返る人物がいる。
『アリス殺し』を読んでから随分経っているので忘れている事も多い。

しかし、死んだ時の感覚をアーヴァタールが語る所がなんだかシュール。
物語全体もそんな感じだけれど。
『不思議の国』よりも何でもありの『ホフマン宇宙』。
最後の真相も、色々と複雑。
それでも、面白かった。

これを書いていて思い出した。
自動人形のオリンピアって『ガラスの仮面』であったような・・・。

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